21/130
一行詩集《桐一葉》
足をなぞる、いつの間にか冷たくなった風……
日も暮れてあちらこちらに鈴の音
星座は思い出の中置き去りで
あの旅の写真をめくる
青空を抜けて君のもとまで行きたい
波立つ世界にのまれそう
誰が正しいの、きっともうわからないわ
草を食む夢、秋の時雨。
彼のサックスもうまくなったね
病んだ体を引きずる自由
優しい日傘の彼女
瑠璃盃のような桔梗二輪
おんぼろ社が見事に栄え
瑞竹玉砂利赤灯籠ーー君ゆえに乞う
脱け殻数えた短い夏
引き千切れていく体、世界の王冠
ロイヤルブルー、今こそ永久に
今年は秋刀魚、食べそびれそう