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11:45発
ぶうんと
透き通っていく
新幹線の中のわたし
電信柱が走り出して
町と田んぼが
追いかけっこ
ぷうんと
どうにも煩い
おにぎりの匂い
顔を背けて
ジャスミン茶を一口
サンドイッチを頬張る
青い海に
溶け出していった
心
言葉を捨てて
眠る
わずかな間
光輝く水面だけ
まなうらに留めた
□
世界が生まれる
ざわめき
駆け降りる人
気づけば後一駅
堂々たる
都心のビル群
忙しないやりとり
靴音も高らかに
脈動する街
刺さる光に
身を震わせて
歩み出す
たぶん、きっと
命を燃やしに行くのだ