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神と人はいづれにて
奇跡が人を救うのではない。
批判から愛は生まれない。
王はその民を救わなければならない。
まつろわぬものを虐げてでも我らを救えと民は叫ぶ。
故に地の王は万民を救えず、万民の王は一つの地を治めることができない。
地の王は己が民を一時救っても、いずれ踏みにじったものの報いを受ける。
王は庇護する民から祝福を受け、対する敵から呪詛を受ける。
民は忘れる。
一切の因果は王が担う。
民は忘れる。
罪業はいずくにありや。
少年は偶像〔アイドル〕を夢見て破れ、
青年は理想を組織〔システム〕に求める。
人と人に造られたものは神たりえない。
虚しさを防ぐ城壁が高く築かれていく。
自ずから囚われてそれを自由と呼ぶ。
憐れみは背後に佇んでいる。