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跪いて祈る
スマホ越しに
予定調和の別れを終えて
浮かび上がった
朗らかな悲しみを
ためつすがめつする
少しずつ
少しずつ
ズレてきた関係で
もう長くはもたないことを
沈黙から知っていた
いずれ離れる君に
何ができるだろう
考えて
知りうる限りのアニミズムと
聖書の話をした
絶望の中で一人死ぬのだけは
避けてほしかった
だからと言って
君に近付く「宗教じゃない何か」は
なおのこと狂わせるように見えた
夏目漱石は
死か、狂気か、宗教かの
三択だと言ったらしい
人間でしかない私に
救えることはない
君を生かす神の言葉があるように
祈りながら眠る
夜明けが迫っていた