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自動記述〔Flesh〕
脳髄から血が滴り落ちて
落ちて
飼えなくなった絶望が
笑いだす
あの日を埋め立てて
腐り果て
鎖は千切れもせず
契りなく
産み落とされた空虚
ああ.
その名前を呼ぶな
忌まわしい子
その名前を捨てよ
いとおしき子
お前の腹には
澱んだ水しかない
セミ
蝉
あのように
乞うのはもはや
無謀でしかない
姦しい求愛は
耳を塞ぐばかり
だろう?
愛玩を去り
風と共に生きよ
肌を剃る闇路を抜けて
神泉たる聖域に還れ
我々の本能はもはや
適応を過ぎてゆく
あまりにも
あまりにもできすぎた
社会となっては