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汚れた女
何も言うことのできない絶望を
誰も掬い上げることがない時代
涙すら汚らわしく思えて
泣ける女を疎んでいた
言えば言うだけ責められる
女には沈黙と化粧しかない
甘く弱く己をたわめながら
支配する男達を嘲笑する
溺れるだけ毒は回ると
本能が囁くのだ
いずれこの毒が
男達を蝕んで
家族もろとも
滅ぼすであろうと
最後の一滴を飲ませるのは
別の女がやればよい
それが娘達であれば
なんと愉快なことであろう
ああしかし
なんと哀れな、
なんと愚かな、
「赦されることの少ないものは、愛することも少ない」
ルカ7:47
新共同訳聖書より引用。