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レイプサバイバー
日本において
性暴力を訴えるひとは少ない
「忘れなさい」と言われる
しかし忘れても様々な形で
後遺症は残るのだ
男性不信
頭痛と肩こり
人格の断裂
「原因不明の」不調
記憶を何らかの方法で塗り込めれば
フラッシュバックは起きない
だが
似たような状況で確実にストレスは受け
客観的に見れば非常にささいなことで
逃避行動を始めてしまう
そして
自己嫌悪に苦しむのだ
「なぜチャンスをふいにするのか」
「なぜこんなに弱いのか」と
ずっと記憶を抱えたまま
生きてきたひとは
自傷や過食に走ったり
克服しようとして
性依存症に陥ったり
壊れないだけの世界を持っていた
幸運なひとは
そのまま走り続けたり
どちらが良いとも言えないが
忘れるのも忘れないのも
訴えるのも訴えないのも
本人が選択することだ
周囲は選択肢を提示し
本人の意思決定を尊重してほしい
そして未成年だった場合は
その意思の変化を許容してほしい
絶望のその先へ
歩いてゆくために