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醜く美しい彼女
もう十年以上前になるか
ここではない場所で
ひたすら恨みの詩を
綴っている女性がいた
毎回毎回それだから
僕はもう厭きてしまって
他の詩を書かないのか
聞いたことがある
その時の彼女は
確か笑いながら言った
わたしにとっては
これが現実なの、と
淡々と呪いを吐きながら
生ける詩を愛でた女性
僕はあなたに褒められることが
いっとう嬉しくて
だからこそ
闇の底から一歩もでない詩に
苛立っていた
青かったな
あなたが
しあわせでも
しあわせでなくても
詩がありますように