始まり
戦闘描写は下手です。それでも頑張って描いていこうと思います。
お昼ご飯を食べ終えた私は庭に出て、お父さんのところへ向かう。
「今日からは少し厳しくするといったからなぁ。それじゃあ3周増やして村の周りを8周するか。それと剣の素振りを200回追加するか」
「わかった」
雑談を交わしながら、走る準備を整える。
「よし。いくぞ!」
そういって今日の鍛錬を開始する。私は数年前にこの鍛錬を始めた。親や冒険者に憧れていたことからお父さんに頼み、一緒にやっている。最初は5周走るだけで動けないくらいにヘトヘトになっていたが、今では普通にこなせるようになった。でもお父さんはこれの10倍以上の鍛錬を普通にこなしている。いつかお父さんと同じくらいできるようになりたいと思っている。
村の周りを走っていると、ミスティアがいじめっ子たちに説教をしているのが見えた。私のことを思って手助けをしてくれる数少ない友人だ。大切にしていこうと改めて思った。
8周走り終えると、少し休憩した後に剣の素振りを始める。いつもより量が増えたので少しヘトヘトになった。
「それじゃあ最後に手合わせするか」
そう言ってお父さんは木剣を構えた。それに合わせて私も木剣を中段で構える。
「それじゃあいくよ」
と言って私は突きを放つ。お父さんは木剣で突きをずらし、私に隙ができたところに剣を振る。私は下がり、同じような攻防をくり返す。剣を振っては防がれ、突けば逸らされ、剣を振られれば防ぎ、突かれれば回避する。そんな攻防を何十回もくり返していると、もう日が暮れる時間になっていた。
「もうこんな時間か…それじゃあこれで決めるぞ」
と言ったので私は頷き、それに答える。
そして二人が構えたと同時にお父さんが一瞬で間合いに入る。剣を振り下ろそうとしたので、防ごうと剣を前に出すと同時にお父さんの姿が消える。背後に気配を感じ、振り向こうとしたら首に剣を当てられる。
「……参りました…」
「あのフェイントに引っかかるとはまだまだだな」
「むぅ」
「ほらほらそんな顔するな。母さんが飯を作って待ってるぞ」
「はーい」
そんな会話を交わして家に入るが、
「あらそんなに汚れて。取り敢えず先に体を拭いてらっしゃい」
と言われたので家の裏に行き、井戸から水を桶に入れてタオルを使い、体を拭く。家に戻り、お父さんも帰ってきたら、お母さんが料理を運んでくる。
「はい。今日はシルヴィが取ってきたボアの肉を使ったシチューよ」
「おお!ほんとか!シルヴィが取ってきた肉に母さんの料理か!これは最高の料理だな!」
「またお父さんはそうやって。前のステーキのときだって言ってた」
「そうか?まぁ細かいことはいいじゃないか。ほら、早く食べるぞ」
「「「いただきます!」」」
こんな会話をしながら夜ご飯は始まる。
「もぐもぐ。そういえばもうそろそろシルヴィの誕生日だな」
「あらお父さん。そんな大切なことを忘れていたの?」
そう言うと、お母さんの後ろに小さな般若が薄っすらと見え始めた。
「い、いや10歳になるからステータスプレートを貰うからさ」
「そうね。どんなスキルを持っているのか楽しみね」
「うん。でもどんなスキルがあるか少し心配かな」
「大丈夫さ。俺たちの娘だ。物凄いスキルがあるさ」
「そう、かな?」
「ええ」
ステータスプレートは10歳の誕生日のときに協会から貰う自分のステータスを見るためのものだ。ステータスプレートはその人の魂と同調するため、ステータスを見ることができると言われている。数百年前の勇者がゲームのようなステータスを見たいと女神にお願いした結果造られたらしい。そのためゲームのようなウィンドウだなと勇者が毎回言うらしい。
「ま、気にしても仕方ないさ。ほら早く寝るんだぞ」
「うん」
そう言って私は自分の部屋に行きベッドに横になる。
「どんなスキルが手に入るかな」
ちょっとワクワクしながら、睡魔に身を委ねる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
陽の光も届かない深い森の中。そこには何かが住んでいたような小さな建物の残骸と小さな人型の死体が辺り一面に広がっていた。そんな中にあるはずのない山があった。その山は音を立てていた。肉を裂き、骨を砕く音が辺りに響き渡る。
「GUAAAAOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
まだ誰も気づいてはいない。この事件のことを。