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第二話 ゲートの不具合?孤立する人々 (3)

 ――大規模ゲート不具合の発端になったのは、たった今結ぼうとしていた地球・ガニメデルートであると推測された。


 とりあえず、ここは停止させたからこれ以上の不具合はおこらないはずだけど……。


 「先ずは本社に連絡をしないといけない。

 本当はラクーンさんが上司と連絡をとってその上司が担当部署の上司まで接続してもらって……」


 なんて面倒なことやっている暇はない。


 「ラクーンさん、該当部署の担当と直接やりとりする許可をもらえますか?」


 「いいわよ。責任はとったげるから好きにやんなさい。

 その代わり私にも説明はしてもらうわよ」


 「承知しました」


 と言ってはみたものの、該当部署ってどこだ? 

 

 それにしても原因はなんだ?


 回路の接続間違いだとしたら、エラー番号が違うはず。

 まずは、地球側のエラー番号も知りたい…… 


 「なんで、ここが震源ってわかるの?」


 「そうですね。先ずはその説明からしなきゃですね……。

 おそらくといったところなんですが。

 シエン、さっきのネットワークの断線時刻の画像を出してくれ」


 「こちらですか?」


 「そう。

 0.1秒で全世界に広がっているわけなんですが……。

 これをスローで1秒間に0.001秒ずつ表示してもらえるかな」


 「スロー再生します。」


 「これに、ルート0とここガニメデの直線を引いてもらえるかな」


 木星と地球のルート0の直線状から波のように何かが進行していく様子が見える。


 「おおー。中心が見えてきたわ」


 「そうでしょう」


 「次に、こちら。

 シエン、閉じてしまったゲートの対応関係を結んでみてもらえるかな」


 「了解です。

 こんな感じでよろしいでしょうか」


 全てが先程の直線に跨っている。


 「確かに、このルート上になにかがありそうね」


 「そうなんです。

 しかし、うーん……」


 このゲートの解放が何らかのトリガーになったことは判ったが、それだけだ。

 原因は今もって不明だ。

 このままでは再接続していいかどうかもわからない。


 「って、これさっきのほとんど一瞬でここまで判断したってことなの……。

 まさかニュータイプ?」


 「……」


 ラクーンさんはスルーするとして。


 この現象は、地震みたいに見えなくもない。

 まるで断層がずれたみたいな衝撃が全体に伝わっているようにみえる。

 

 「シエン、この時間に地球で地震は?」 


 「発生していません」


 「先ずは、地球の接続先、新規ゲート開通部第一課それぞれに連絡してくれるかな。

 むこうのエラーも知りたいし」


 「それなら、済ませてあります。

 むこうのエラー番号も651です」


 「時刻は?

 こちらと同時刻に発生している?」


 「それなんですが、こちらのほうが1ピコ秒早いんです。」


 「シエンちゃん。1ピコ秒って、つまり何秒なの?」

 

 「0.000000000001秒のことですね」


 「計測器の誤差の可能性をいれれば同時刻と言えなくもないですが」


 「しかし、これが誤差でないとしたら、まさしく震源はここだ」


 ここにいたのは、自分とラクーンさんと、シエン……


 疑ってみるべきだろうか。


 シエンはロボット三原則に従って動いているはずだ。

  1.人間への安全性

  2.命令への服従

  3.自己防衛

 1がある以上、こんなこと起こせるはずはない。だけど……

 シンギュラリティがこのタイミングで起こったのだとしたらどうだろうか?

 人間よりも進化したことで人を滅ぼそうとしているとか?

 なんて、そんなどこかのいかしたマッチョが出てくる展開はないか。

 だいたい、今も忠実に三原則守っているし。


 マスター認証すればログを解読できるかもしれないけれど。

 それにはラクーンさんに事情を話さないといけない。


 しかし、この状況ではシエンよりもラクーンさんが疑わしくないだろうか。

 本当に何も知らなそうだけれど……

 そもそも彼女が何かしていたとして、一体誰がどう得をするというだろう?


 ポブレに住む人の復讐か何かなんだろうか。

 しかし、一番最初に困るのも彼らだ。

 

 テロリストとか……

 

 そうか、本社に照合かければ身元が判るか。

 

 「ラクーンさん、ちょっとシエンと二人? で確認したいことがあるんですが」

 

 「ダメよ。私はあなたの上司で、この現場をおさめる義務があるもの」


 いたずらに疑っても仕方がない。

 とはいえ、本人に気づかれないようになんとかして身元を確認するしかない。


 しかし、そう考えると奇妙に府に落ちることがある。

 ユニットをエウロパにとりに行くことをやけにすすめたり、

 途中であった裏ゲート?の売人ともめた時もすんなり解決したし、

 何より、あの身のこなしは何だったのか……。

 ミリタリー関係のソフトがインストールされているシエンといい勝負だったじゃないか。 


 そもそもここで合流する上司の顔も名前も知らされてなかったから、誰かと入れ替わってても判らない。

 引き続きなんて行われていない可能性もある……。


 迂闊だ。本人が来たときに身分証で確認すればよかった。

 しかし、こんなことになるなんて思いもよらなかったし……。


 でも、仮にラクーンさんの犯行だとして、この時代の科学レベルでどうやってこんなこと起こしたんだろう。


 人間に、いや、太陽系にはこのレベル以上の科学力をもった知的生命体はいない……。


 「どうしたの、ゲーニー君。急に黙り込んじゃって……」


読んでいただき、ありがとうございました。

感想、レビューなどお時間がありましたらお願いいたします。

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