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第二話 ゲートの不具合?孤立する人々 (2)

――このエラー651が世界中で発生しています


 「なんですって」

 「なんだって」


 あっ、ラクーンさんとかぶった。


 とりあえず、接続解除すればこの警報は解除される。

 しかし、世界中でこの警報が鳴り響いていると思うと……。

 

 「世界中で発生しているなんて大変だわ。

 他のゲートも早く接続解除しないと……」


 ラクーンさんも同じ気持ちのようだ。


 今ここに自分がいたことはまだ幸運なのかもしれない。

 対応できる技術者がいないゲートはどうなっているのだろうか……。


 「ゲートの大規模不具合なんて設置以来初めてのことなので、皆さん対応に困っています。

 メンテナンス技術者が総出でエラーが出たゲートを閉じる作業を行っているようです」


 よかった。

 皆も、とりあえずゲートを閉じる方向で動いているようだ。 


 「事故は? なにか起こっている?」


 「今のところ、閉じたゲートに巻き込まれた人はいないようですが」


 確率的には不自然ではあったが。被害者がいないにこしたことはない。


「一次被害がなかっただけでも幸いだよ」


 さて、これからが問題だ。


 水道、ガス、ネットワークなどのライフラインは全てゲートを通してる。

 全滅ってことではないようだから、電気やネットワークに関してはルートの迂回ができるとしても、末端のルート10、ポブレに住む人間へのライフラインは死んでいると思ってもいいだろう。


 車も全体の流れを制御していたコントロールセンターからの通信が途絶えているなら、自立運転で急場をしのいでいるに過ぎない。

 無線給電もとまってしまっては、安全に停止できるところに止まってしまうだろう。

 確か現代の車はそういう風にプログラムされているはずだ。



 こうなってしまっては、ここのエラーだけの話ではない、

 

 エネルギーラインが途絶えた地点に取り残されているマシン派の人はどうなってしまうんだろう。

 省エネモードで耐えるとしても、身動きせずにもって3日。

 本来は救難信号をネットワークに出すはずだけど、それも止まっている可能性がある。

 

ゲートで移動する時代だ

 それ以外に、街から街へいく方法なんて……。


 車も直ぐにとまってしまう。

 21世紀の中ごろまでは飛行機とかヘリって乗り物があったらしいけど。


 仮に救援に向かおうと思うなら、歩くしかないのだろうか。




 今、自分が考えるべきことはなんだろうか。

 自分はゲートのユニット技術者で、ユニットの事は熟知しているはずだ。

 マニュアルからある程度の内部構造も予測がついている。

 そして、今、ガニメデにいる。

 このどうしようもない距離のディスアドバンテージをまずどうしようか……。


  

 与えられた仕事は、ガニメデ・地球間のゲートのオープンだ。

 この仕事を終えてしまえば、文字通りすぐに地球に戻ることができるが、今それができない。

 

 

 そもそもこの大規模不具合は、

 事件なのか、

 事故なのか……。


事件だとしたら、

  なぜ

  だれが、

  なんのために、

  どこから、

  どうやって……


事故だとしたら、

  原因はなんなのか



 事件にしろ事故にしろ原因はあるはずだ。

 それさえわかれば……。


 「地球では約1/3のゲートが使用不能。

 ネットワークも迂回していますが5%の末端は接続不能」


 シエンからの追加情報だ。

 そうか……。


 「ネットワークの迂回ルートと今閉じているゲートから、震源を割り出せるかも……」


 「震源って、この大規模エラーに原因でもあるっていうの?」


 「エラーがあるってことは原因があるんです。

 ネットワークはなぜ止まるのか、そこに原因があるからです。

 それさえ判れば元通りとは言わないまでも復旧への一歩になるはずです」


 「いち技術者が対応できる問題ではないわ。

 先ずは会社の本部に連絡しなきゃ」


 「それは、やっておいてください。

 お願いします。」


 「シエン、最大解像度で、

 今起きているゲートエラーの場所と地図を可視化してくれ。

 地球内外、火星圏、木星圏も」


膨大な両になりますけど、全て出力してかまいませんか?

 

 「問題ない。

 やっちゃってくれ」


 「わかりました。現在判明している部分を全て表示します」


 「ゲーニーくんちょっと大丈夫なの?」


 「これくらいなら平気です。

 あ、でもちょっと黙っててください。

 集中しないと」


 「私には、何が何だかわからないわ。

 こんな膨大な量人間が処理できるわけないじゃない……」


 「それより、エラーが出ているところと、そうでないところを色分けして表示……」


 「処理に時間がかかります。

 5,4、3……」


 世界中の全ゲートが表示される。

 100人に一つはゲートがあるといわれているこの時代だ。

 およそ1億個のゲートがある。


 「表示します」


 こんなときはシエンの能力が最大限発揮される。


 「次……。

 ネットワークの最終接続時刻のログから、ネットワーク断線の進行具合を時系列で表示」


 0.1秒の間に世界中に広まっている。

 しかし何らかの順番が見え始めた。


 「次……。

 ルート番号の若い順に、エラーの出た箇所だけピックアップして」


 「ここ、拡大して!

 どこだここ?

 ルート0の……

 木星接続ステーション。

 このゲートの接続先か?」


 

 どうやら、震源はこのユニットの接続ルートのようだ。


 

 「シエン。ここガニメデと地球の接続ポイントを直線で結んで。

 それから、エラーのおきた部分を表示……」


 見事に一致している……。

 完全にこのルートが中心だ。


とりあえず、ここは停止させたからこれ以上の不具合はおこらないはずだけど、

 先ずは本社に連絡をしないといけない。



読んでいただき、ありがとうございました。

感想、レビューなどお時間がありましたらお願いいたします。

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