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第六話 解析 (2)

 「シュリヒト、ゲートユニットの解析したいんだけど」


 そういって、アタッシュケースからユニットを取り出す。


 「ユニットかぁー。装置はあるけど、ソフトがないなぁ。一部はたしかに読めるファイルだけど、残りは特殊なフォーマットでしょー」


 「あぁ、今から仕様をそっちにわたすから、ソフトを組んでほしい。二人でやれば倍速でできる」


 「仕様はどこから持ってくるの?」

 

 「全部覚えてるから、それを書きだすよ」


 「おー、相変わらずすごい記憶力だよねー。僕は暗記苦手ー」


 「そのかわり、プログラムの腕は確かだろ?」

 

 「僕の専門はハードなんだけどなぁ」


 「僕は仕様をそっちに流しながら、こっちはこっちでプログラムするから」

 

 「相変わらずマルチタスク得意だよねー」


 …………。


 …………。


 …………。


 「先ずは二つ上がったからシュリヒト頼む」


 脳をフル回転させれば、仕様を書きながら、プログラムして、あまったリソースで会話もできる。


 「シエン、状況は? なにか掴めた?」


 「やはりといいますか……。

 盗まれたのは私達がガニメデから繋ごうとしていたゲートです」


 「つまり、これとペアのユニットってことか」


 「そうです。

 私たちが接続しようとしたときはまだ、うちの手のなかにあったので、障害が起きてから盗られたということになります」


 「うーん、ひっかかるなぁ」


 「なにがですか?」


 「順番が逆なんだよね。奪われたあとに、なにか細工をされて繋ごうとしたらエラーならわかるけど、エラーが起きてから盗まれてるわけだ。僕たちが繋いだときにはまだなにも細工をされていなかったことになる」


 「そのようですね」 


 「内部情報はラクーンさんが洗ってくれてるから、社内情勢はわかると思うんだけど。

 そうだ。

 うちのトップ50人分のプライベートのメールってとれる?」


 「やってみます」


 「じゃおねがい。

 社内メールでは出てこないものも案外出てきそうだし」


 …………。


 …………。


 …………。


 「ゲーニーできたよー。

 ついでに、ユニットの接続するモジュールも改造しといたー」


 「オッケー、シュリヒト。あと、二つプログラムお願い。

 仕様はこれとこれね。

 で、おわったら僕がつくってたこれと、これをくんでくれるかな」


 「がってんだよー」


 さて、次は社内情報を調べてもらっているラクーンさんかな。ラクーンさんはプライベート携帯で各方面に連絡をとってくれていた。


 「どうですか?」


 「私の社内ネットワーク使って調べて聞いてるけど。

 現金要求は本当みたいね。50億だって、バカみたい」


 「ゲートの片側にこれだけ、要求できるってことは、なんらかの裏付けがあるんでしょうかね」


 「奪われたのは僕たちが作業してたペアみたいなので、もしかすると……」


 「もしかするとなに?」


 「僕たちのもってるこいつとの接続ログがあるはずで、上層部はそいつを隠蔽しようとしてるかも。あと、ペア同士は繋ごうとすれば、お互いどこにあるかわかるんですよ」


 「てことは、接続スイッチ入れたらこっちの位置がもろばれなわけね」


 「ええ。でも、ここですらこんな状況で、正規の手続きふまないと、とてもログにアクセスできないんですよ。とても外部の犯人グループがそこまでできるとは思えない」


 「昨日みた通信ログは?」


 「あれは、ほんとに見せていい通信ログだけで。ほとんどの部分はこうして、専用のツールがないと……」


 「なるほどね」


 「社内のネットワークつかって、取引方法とか場所とか情報さぐってみてください」


 「はいはーい」


 …………。


 …………。


 …………。


 次はティグレさんか。

 ティグレさんは裏ゲート関連のネットワークももっているから外からの情報も期待できる。


 「何かでましたか」

 

 「あぁ、裏ゲート界隈にあたってみたんだが。お前さんたちみてぇに、裏ゲートつかったゲートの社員がいたみてぇだ。経費の出所からゲートの人間だってわかったってお粗末なもんだが。

 どうやら木星圏から火星に向かったみてぇだ」

 

 「それって……」


 「そう。つまり、おめぇさんたちを追っている奴が近くにいるかもしんねぇってことだ」


 「火星から月の裏ゲートはうちんとこにえるやつだけだって聞いてるからな。

 とりあえずスタンバイになってるが、あれでよかったんか?」


 「ええ。うちの社員でもユニット技術者かメンテナンスの人間くらいしかスタンバイから解放できないですから。おそらく追手も振り切れるかも……」


 「なるほどな」

 

 「僕たちが月にいるのがわかったら、表のゲート通ってでも追ってくるでしょうけど。月も広いですからね。どこに行ったのかまではわかるにはまだ時間がかかるでしょう」


 「お次は、ゲート強奪をどこの組織がやったのか調べてみるぜ! 同業者がからんでそうだからな」

 

 「お願いします」


 さて、そろそろシュリヒトと解析始められるかな。

 

 「出来てる?」


 「うん。組み上がってるよー。ユニットはー?」

 

 「これだ」


 もってきたユニットを解析装置にセットする。この装置があるだけでもここに来たかいはあったというものだ。


 「解析スイッチ、おーん。バグないといいけどな」


 「オッケー、シュリヒト無事にリードできた。シエン、こっちのログと。それから、そっちが終わっていたら結果を映してくれないか」


 「了解です。抜けはありますが、34人分のプライベートメールが集まりました」



読んでいただき、ありがとうございました。

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