第四話 ゲートをくぐるとそこは火星でした (4)
「問題はゲートがある場所ね。そこがわかれば対策も立てやすいんだけど」
「あ、それなら僕にちょっと考えがあるんです。ゲートはその構造上、異なる重力場をつなぐ場合には重力制御装置が必須なんですが。重力制御装置があるってことはそこに軽い重力異常が発生するんです。
この屋敷のなかからそれを場所を探せば……」
「重力異常なんて、人の目にはわからないわ。」
「たぶん、あのミリオタオヤジのことだから、シエンにグラビトンカメラもついててもおかしくなさそうですけど」
「ええ、搭載済みです」
「やっぱり……」
「シエンちゃん、やっちゃって」
「お姫様は北側の棟のてっぺんにいますね」
なんだか、どこかで聞いたような話だけど……
なんだっけ、僕ですらもうついていけなくなってきた。
「さてと、目的地ははっきりしたわけだから、後はどうやって行くか考えなきゃね」
「ゲートまで一直線で行けるようなそれこそゲートがあれば……」
「そんなものがあったらとっくに月に着いてるわっ。んー。でもそのアイディアいただきだわ。
一直線にゲートにたどり着いちゃえばいいんだものね」
「ちょっと、待ってください。良からぬ予感しかしないんで、その案は却下で。
どうせ近くの塔から飛び移るくらいしか考えてないでしょう」
「あら、よくわかったわね」
「嫌ですよそんな案。せっかく屋敷の見取り図もゲットしてお膳立てしたのに」
「あと他に使えるカードはないかしらねぇ」
「東側の棟は警備が手薄なようです。それから、私単騎なら光学迷彩可能です。」
そういって、シエンが立体映像で警備の様子を投影する。
確かに東側は警備が手薄で、旧式の光学式の監視カメラがあるだけだ、
「うーん。ゲーニー君には悪いけど、東側の棟から北側の棟に行くのが一番ね。
でも飛び移るのは私はよくてもゲーニー君にはちょっときついか」
いやいや、普通の人間には無理ですけど。
この人バイオに見えるけど中身はマシンなのか?
「私とシエンちゃんならいいけど、ゲーニー君抱えては飛び移れないし……
ここは折衷案で行きますか」
「は? といいますと?」
「いい? 先ずシエンちゃん、私とゲーニー君の二組に分かれて潜入するわ。
それから、シエンちゃんは光学迷彩で北側の棟に侵入して、てっぺんを目指して」
「了解です」
「私たちは警備の薄い東側の棟を行くわよ」
「で、どうするんですか?」
「シエンちゃん、持ってきてもらった道具を貸して」
「って、なんか荷物持ってるな~とは思ってましたが、何ですかそれ?」
「何かの役に立つと思って持ってきたのよ。主に暇つぶしに使うつもりだったけど。
決行は翌0時、合流はフタマル」
「あのー。まだどうやって渡るか聞いてないんですけど」
「それは着いてからのお楽しみよ」
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