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異世界の重装飛行歩兵  作者: ライフル兵
1章 異世界召喚と内戦
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4話 死闘

 近衛兵のアドルフさんとの交渉は決裂した。


 今は互いににらめっこ状態である。

 人数も3対3で互角だ。

 ただ、キースさんとライナーさんの二人は軽装だ。これが一体どう出るか。


 

「最終警告だ。国璽を渡せ。そうすれば何もしない」

「お断りだ。国璽は渡せない」

「そうか・・・・・覚悟はいいか?そっちの親衛隊の兵士もだ」


 アドルフさんがこっちを見てくる。

 ・・・・え?親衛隊って俺?


「そっちこそできてるのか?」


 キースさんが答える。

 

 え、ちょっと待ってよ。俺が親衛隊ってどうゆう事・・・





「いくぞ!」


 えーーーーーーーー!!!!


 いきなりアドルフさんとその部下たちが突っ込んできた。

 

 キースさんはアドルフさんと、ライナーさんと俺はその部下と戦うことになる。


「ち、ちょっと待ってってうお!!」


 剣が何度も突き出されてくる。

 なんとか避けるとライフルを持ち替え、そのままストックで殴りつけた。

 プレートアーマー相手に有効なのは斬撃よりも打撃だ。

 装甲服のパワーアシストでパワーアップした打撃を見舞う。


「げ、壊れた」


 ストックの打撃で相手をよろめかせたのはいいもののストックが壊れた。

 M4の元であるM16はもともと強度不足が指摘されていたので鎧をぶん殴ったらこうなってもおかしくない。

 

 こうなったらさっさとM4を捨て、他の武器で応戦した方がいい。

 ここで出すのはスタームルガー・スーパーレッドホークである。

 理由はリボルバーで威力が高いものと言ったらこれくらいしか思いつかなかったからだ。


 ピストルは当てるのが難しいといわれているが、白兵戦で相手がよろめいているときに撃てばへましなきゃ当たる。


 

「喰らえ!」


 ダブルアクションなので引き金を引くだけで発砲できる。


 銃声が轟く。

 至近距離から.44マグナムを浴びて無事な鎧なんてない。

 胴体部分に穴が開き、敵兵は倒れる。


「うひょー、うるせぇー」


 結構強い反動に驚きつつ、周りを見渡す。


 ライナーさんは結構優勢だが、キースさんの方は少々劣勢だった。

 あのアドルフさんは近衛兵だけに結構強い。素人目にもわかる。


 レッドホークから新たにAKMに持ち替え、銃剣を取り付ける。

 AKMを選んだのは木製ストックで頑丈だということだ。

 近距離戦なら精度も悪さも関係ない。


 あ、ライナーさんが勝った。

 組み伏せてスリットから短剣を突き刺した。ウゲッ


「終わりましたか、ライナーさん」

「ああ」


 ホントこの人は寡黙だな。

 キースさんなら「お疲れ」とかもうちょっとなんか言うのに。


「ぐあっ!!」

「兄さん!」


 突然キースさんの声がしたと思ってみてみるとキースさんが崩れ落ちた。

 とどめを刺そうとするアドルフさんにライナーさんが割り込む。


「テツロー!兄さんを頼む!」


 見てみるとキースさんの右足の腿から血が大量に出ている。

 キースさんが傷口に手を当てて、そこから光が出ている。


「キースさん、大丈夫ですか?」

「あ、テツローか。何か布とか持っていないか?」

「包帯ですか?ちょっと待ってください」


 いそいで包帯を出す。

 ん?出血が少し収まっている?


「すまんな。助かる」


 包帯を渡すとキースさんは手慣れた手つきで巻き始めた。

 さすがは軍人。


「テツロー、まだ余裕か?」

「え?まあ余裕ですけど」

「それだったらライナーに助太刀をしてやってくれ」

「でも、キースさんケガしてるじゃないですか」


「俺のことはいい。早く。あいつは強いぞ」


 

 その時、後ろでものが叩きつけられる音がした。

 振り返るとライナーさんが壁にたたきつけられていた。

 あのままだととどめを刺されてしまう。


「早くしろ!」

 キースから怒鳴られ、AKM持って走る。







「次はお前か」


 アドルフさんが剣をもって待ち構えていた。

 

 AKMを構える。


「降伏してください。見逃してくれれば何もしませんから」

「降伏?ふむ・・・俺を負かすことができたら考えてやろう」


 ん?妙な間があったぞ。

 もしかして意外に降伏させらるかも。まあ制圧できたらの話だが。


「いくぞ!」


 アドルフさんが突っ込んできた。

 速っ!


 AKMで防ごうとしたが間に合わなかった。

 首筋に重たい衝撃がくる。


 幸い衝撃吸収装置によって首がポキンなんてことはないがそれでも痛い。

 痛みをこらえてストックで殴打する。

 カウンターなら素人の俺でも攻撃に耐えればできる・・・はずだった。


 あっさりと避けられました。

 ついでに2,3発放つが当たらない。

 

「ふむ。なかなかいい鎧だな。それにその珍しい武器ときた。君は貴族のでか?」

「そんなことはないですよ」


 どうしようか。

  

 あちらの攻撃はこちらに致命傷とはならない。

 一方こちらの攻撃は当たらない。


「まだまだやるぞ!」


 くそ。何とかして打開策を編み出さないと。


 

 繰り出してくる突きを何とか避けた。

 この際、体勢が崩れるが気にしない。

 どうせ俺のストック殴打は避けられてしまう。


 それだったら・・・


「でりゃ!」


 体当たりした。

 ただの体当たりではなく、飛行能力をマックスに使っての体当たりだ。


「むっ!」


 崩れた体勢から体当たりなんて普通はできない。

 どんな体勢からでも飛行できる能力のおかげだ。

 

 どんなプロでも相手が予想外の手を出して来たら隙ができる。

 その隙をつくことができれば何とか勝機が見えてくるかもしれない。

 

 体当たりで体勢を崩させるとそのままアドルフさんを壁にたたきつける。


「ぐふっ!」


 面頬越しなのでよくわからないが相当なダメージを喰らっているはずだ。

 


 ついでに・・・


 手元にスタングレネードを創りだし、目の前で炸裂させる。

 もちろん俺は視覚、聴覚センサーを遮断する。


 そして数秒後センサーを復活させると目の前でアドルフさんが伸びていた。

 左腕がおかしい方向に曲がっている。折れてるなこりゃ。


 アドルフさんの兜を取り上げる。

 とってみて思ってみたけどすんごいイケメンだな。

 いわゆる貴公子とかそういったような感じか。


「う・・・ッチ。負けたか」

「アドルフさん、降伏してくれますか?」


 AKM(銃剣付き)を突きつける。 


「分かった。降伏しよう」


 あっさりと降伏してくれた。

 近衛兵なのにこんな態度をとるなんて裏になんかあるのか?



「終わったか。テツロー」


 声をかけられ、振り返るとライナーさんに支えられたキースさんがいた。


「キースさん、それにライナーさん。終わりましたよ」

「どうだった、アドルフ。そいつの武術は」

「技能自体は大したことはないが、武器が豊富だな。タケオ君といったか、君のは何の魔法なんだい?」

「武器創造に飛行ですけど」

「創造魔法だと!?」


 キースさんが驚く。

 寡黙なライナーさんまでもだ。


「テツロー君。君はいったい何者だ?」


 アドルフさんが聞いてくる。

 

「えっと、異世界から来たものですけど」

「異世界人か・・・それなら納得できるが・・・」


 ????どういうことだ?何が起きている?



「あ、しまった。キース、ライナーここに近衛騎兵が来るぞ」


 アドルフさんが思い出したように言う。


「それはヤバイな」


 こちらは徒歩でけが人もいる。

 相手は騎兵だ。

 速度差は歴然としている。

 

 ・・・って


「アドルフさん。そんな情報流していいんですか?来るのは同僚でしょう?」


 アドルフさんにとっては味方を売ることになる。


「テツロー君、いやタケローでいいか?自分はもともとキース側につく予定だったからな。まぁ、裏切りだよ。あ、自分のことはアドルフでいいぞ」

「そうなんですか・・・」

「おい、テツロー、アドルフ急ぐぞ。どこかに身を隠さないと。あ、俺もキースでいいぞ」


 キースがせかしてくる。

 

 4人は急いで迷宮から出ていく。

 今度は退却戦の始まりかな?

 


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