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鍵になる夢
あの、夢だ。もう辰美には感覚で分かる。目を開くと。いつかのお姫様がこちらを心配そうに見ている。後ろの方で白い服を着た人たちがバタバタと走り回っていた。部屋は一転して明るく柔らかな雰囲気の部屋になっている。
身体はまたしても動かない。
お姫様が医師と思われる老人から器を受け取った。そしてそれを笑顔で辰美に飲ませた。
その、瞬間だった。
熱い!
辰美は思わず叫びそうになった。激しい熱さが辰美の中で暴れ始めた。熱くて苦しくて辰美は思わず大きく息を吐いた。しかしその息はどす黒い煙となってお姫様や他の人間を襲い始めた。
違う!
辰美はそう叫んだ。否、それは本当に辰美の心であったのか。
違う違う!こんなことがしたいんじゃない!
嫌だ!嫌だ!助けて!助けて誰か!
強い想いが辰美を貫いた。自分のものとも、誰かのものとも分からない。ただ、どこまでも純粋で強い思い。そして叫びだった。




