説明
「実は、私の国、ラグーンでは今、王家の一人娘がドラゴンの毒にあてられて生死の境を彷徨っています。」
「ふうん。」
辰美はまだ疑いを解ききっては居ない。
場所は公園のベンチである。それほど人気のある公園ではないが周りにはちらほらと人影がある程度のどこにでもある小さな公園だ。
「その、犯人のドラゴンは犯行直後、世界を隔てている壁に穴を開け、逃亡した可能性があるのです。」
「それで?」
「そのドラゴンが…」
そこまで言ってジェイは言葉を切った。そして辰美をじっと見た。
「ちょっと待って。私にとり憑いてるのって…」
「そのドラゴンの可能性が高いんです…最低限、あなたから引き剥がして連れて行ければ良いのですが…」
ジェイは俯いて何かを言い辛そうにしていた。
「出来ないの?」
下を向いていたジェイが顔を上げた。そしてじっと辰美の瞳を見つめた。
「…この件…何か裏があるような気がするんです。」
「裏?」
「ドラゴンは基本、人を害するような生き物ではありません。彼らは気高く、温厚でラグーン王国の人間と古くからの馴染みがあります。」
「…馴染みがあったって、変わる事もあると思うけど。」
辰美は昔、いじめにあったことがあった。原因は辰美の癖のある髪の毛のことだった。いじめはクラス替えと共に収まったが、その時、幼馴染の女の子もいじめに加わっていた。その子が好きな男の子が辰美を好きだと言う理由で。
「それは、そうですが…私はまだ調べる余地があると思うんです。」
「まぁ確かに、探偵としては真実を追究しないとね。私もミス研部員としてはその辺は協力したいところだわ。」
俄かだけど、という台詞を辰美は飲み込んで代わりに咳払いした。
「では、協力していただけるのですね。」
ジェイは両手を組んで目を輝かせた。
「え?うん、まぁ。」
その勢いに多少気おされる形で辰美は承諾した。
「良かった。まずはドラゴンを分離して話を聞かないといけないですから、ちょっと手荒なことをしないといけないんですよー。ああ良かった。承諾してもらわないと軽く殺人未遂になっちゃいますからねー。」
「えっ?ちょっと待って、今、すごく危険な発言をさらっとしなかった?」
「では行きましょー。」
ジェイは辰美の発言を無視すると何やら小さな冊子を取り出した。冊子は開くと自動的にパラパラとページが捲られ、ぱらりとひとつのページを開いた。と、思った直後、まばゆい光が辺りを包んだ。
そして、公園から二人の姿が消えた。




