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私と竜と探偵と  作者: 零
19/25

敵対

男の怪我を手当てしながら話を聞くと、男はドラゴンを説得しようと山に入ったのだということだった。だが、ドラゴン達は話を聞かず、攻撃してきたのだという。

「と、いうことは、あなたは王家の縁の方ですか?」

「いいえ。単なる一般市民です。でも何かの役に立てれば思ったのですが…」

男は心底悔しいというように手のひらを握りこんで震わせた。

「なぜ?」

麗華が包帯を巻きながら聞いた。

「なぜ、とは?」

男は青い瞳をいぶかしげにゆがめた。

「なぜ、国が動くのを待たずに自分で?それほどの事が何か?」

「ええ。私は竜が好きなので我ら人と竜が争うことを止めたかったのです。」

「一人で?」

「他の人間を危険に晒す必要は無いでしょう。」

「なるほど。はい。出来たわ。」

「ありがとうございます。」

落ち着いて見ると、金色の髪に青い瞳、そして人好きする綺麗な容姿の持ち主だった。

「申し遅れました。私はサラヤと申します。お名前をお聞きしても?」

「私は、」

「その前に、聞いてもいいかしら。」

名乗ろうとした辰美を制して麗華が口を挟んだ。

「あなたの怪我、何か鋭い刃物のようなもので切ったように見えるのは私だけかしら。」

「竜の爪は鋭いんですよ。」

「ふうん。」

そう言うと麗華は翡翠を指で呼んだ。そして、何も言わずに翡翠の手を取ると、その爪で自分の腕を裂いた。

「麗華!」

辰美が叫んだ。麗華は構わずにだらだらと無造作に流れる血をそのままにサラヤの前に傷を晒す。

「これを、あなたの怪我と比べてみましょうか?」

「なるほど、ただの馬鹿ではないようですね。」

そう言うと、男はすばやく動いて辰美を捕らえた。

「辰美!」

全員が叫んだ。辰美の喉元に短刀が突きつけられる。拭いきれなかった血が刃の輝きを曇らせていた。おそらくは傷を偽装する為に自らの短刀で自らを傷つけたのだろう。

「彼女を助けたかったらそのドラゴンを殺しなさい。何、この国では英雄になれるでしょう。」

「ダメよ!」

辰美が叫んだ。

「煩いですね。ちょっと黙っててもらいましょうか。」

サラヤは辰美の口をふさいだ。一瞬の隙をついて辰美はその手に噛み付いた。

「・・・っ、」

「えいっ」

サラヤの顔が痛みに歪んだ瞬間、一番早く動いたのは翡翠だった。サラヤに体当たりして辰美から離したのだ。

「翡翠!」

「たつみぃ!」

だが、今度は両方がサラヤの手に落ちてしまった。

「やれやれ、無駄な事を人質が増えてしまったではないですか。」

その、瞬間だった。

 辰美とヒスイは同じ物を見ていた。それはあの時の映像だった。ヒスイが薬を飲まされた、その時の。ぼやけた視界。曖昧な意識。だが、二人分の感覚が同じ夢をクリアにした。

 刹那、二人の額に第三の目が開き、かっとまばゆい光がサラヤの目を貫いた。

思わず手を離す。その光の中、辰美は突き飛ばしたサラヤの胸ポケットから薬の小瓶を掠め取っていた。

 光が収まった時、翡翠と辰美は皆の元へ戻っていた。麗華が二人を抱きしめている。幸也とジェイは前に出て、発覚したばかりの敵との間に立ち塞がっていた。

「幸也さん。銀バッジに手を当てて、守りたい想いを強く持って下さい。」

ジェイはそう言うと同じように金バッジに手を当てた。すると、二人の手には金と銀の一対の剣が握られていた。

「麗華さん。翡翠君と辰美さんを連れてドラゴン達の元へ。」

「でも。」

「ここは僕たちが抑える。だから早くドラゴンの元へ。君達なら、行ける。」

幸也が微笑んだ。

「…分かったわ。」

麗華は二人を促すとその場から立ち去った。

「随分と信用しているのですね。この森は並みの人間には荷が重いですよ。」

「残念。」

二人は同時にそう返した。

「悪いけど。」

「お二人とも並みの人間じゃないんですよ。」

にっと同時に笑った。


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