帰還
「ふう。」
ジェイはしばらくぶりに自分の世界の土を踏んだ。時刻は大体昼頃だ。
「おっと。」
そう零してジェイは金バッジに触れ、何かしらのコードを唱えた。するとそれまで黒スーツだったジェイの姿は黒いラグーン王国の探偵の制服に変わった。
ジェイが出てきた場所は王都の近くの森の中だった。王都へは小一時間もあればつく。辰美と移動したように空間を切り離して移動することも可能だが道々で得られる情報もあるだろうと判断し歩き始めた。
程なくして同じ制服の男に出くわした。
「先輩!」
ジェイが駆け寄る。
「おお。ジェイか。かのドラゴンは見つかったか?」
「いいえ、まだ…」
「そうか。ではお前行った世界も違う、ということだな。」
「まだそうも言い切れませんが…」
「ん?可能性ありか?では他にも人を回そう。新人のお前だけでは心配だしな。」
先輩探偵の言葉にジェイはぎょっとなった。探偵達には確保の後、即、王宮へ差し出せとの指令が下っている。そうなれば真実の追究は難しくなるかもしれない。
「いえ!今のところ確たる証拠もありませんので!まして他にいたのにこちらに回したために発見が遅れたなどということになれば私の立場が…」
ジェイがそう言って声を小さくすると先輩探偵は噴出して笑い始めた。
「まぁそうだな。新人の判断に惑わされて大事な人員を可能性の低い方に回すわけにはいかないな。」
先輩はぽんぽんとジェイの肩を叩いた。
「頼りない、ってことか…」
ジェイはひとりごちで俯いた。だが、俯いてなど居られなかった。今は自分の最善を尽くすしかない。
ジェイは顔を上げて走り出した。




