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冬空  作者: サショー
2/2

〈下〉

ーーー第四章ーーー

ーーー遡ること一年前

俺はいつものようにレンとトモカと一緒に

帰っていた。

「やっぱり女子は顔だよ顔」

「シノのそういうところが嫌われるんじゃね?」

俺とレンはまぁ、馬鹿みたいな会話をしていた

「あのさぁここに女子いるんだけど」

「は?お前は男にしか見えねえよ」

「はぁ!?どこがよ!!」

「性格と喋り方がだよバーカ!!」

「なんですってぇ!!」

このときの俺とトモカはいつもこんな風に

俺から馬鹿にするようなことをしていた

そうしてトモカの気を引こうとしていたんだ

………トモカのことを好きでもないのに……

レンとトモカが両思いなのはずっと知っていた

レンからはレンが俺に直接教えてくれた

トモカがレンのことを好きなのは見てればわかる

なのに俺がトモカの気を引こうとしていたのは

この関係を終わらせたくなかったから

ーーークリスマスイブーーー

「受験でまだ合格してないのはシノだけだぞ?」

「シノは馬鹿だから落ちたんだよ~ww」

この時俺だけまだ高校に合格してなくて

二人が勉強を教えに来ていたんだ

そしてこの日、俺が俺の勇気を無くす日になる

トモカにちょっかいを出されながらも

俺はレンに勉強を教わっていた

「にしてもなんでクリスマスイブなのに勉強してんだよ俺はぁ!!」

「それはシノが合格してないから」

とレンは冷静にツッコミを入れた

ぐぬぬとなにも言えない自分が悔しかった

それを見て笑っているとトモカが

とてもじゃないが腹が立ったのを今でも覚えてる

「お前らも暇だなぁ?クリスマスイブなのに

クリスマスイブなのに!!」

レンが「なんで2回言うんだよ」という声を聞きながらも俺は話を続けた

「だってさぁクリスマスイブだぜ世の中のカップルはイチャイチャするもんだ」

と俺が言うとそれに対して

「それと私達の何が関係あるのよ?」

とトモカが言った

「おいシノやめろよ」

レンは俺に言わせたくないと言う目で

こちらを見ていた

だが俺は

「お前らいい加減付き合って俺のことばっか考えんなよ外でイチャつけや別に二人が付き合っても俺は気にならねえよ」

と言った………いや言ってしまったのだ

「え?それって…………」

トモカがなにも言わなくなる

「シノ!!」

そのあとレンに俺は殴られた

なんの事か何も分からなかった

しかし後から分かった………

トモカはレンが好きじゃなくて

俺を好きだったのだと…………

俺の勘違いから俺はトモカを傷付けた

俺の好きじゃないのに気を引こうとしたことから

トモカは俺を好きになっていた

気持ちが隠せなくなっていた

そしてレンはそれに気づいていた

だからこそ俺にレンとトモカをくっつけようと

させる言葉を言わせたくなかったのだ

何よりも大切なトモカを傷つけたくなかったから

この事から俺は自分に誰かに告白する勇気……

いや誰かと付き合うことをしてはいけないと思ったんだ…………


ーーー第五章ーーー

時は戻り今へ

その過去のことがあってからか

前のようにトモカをいじったりできなくなった

自分にはそんなことしていいはずがないのだと

だけど二人は俺と今も仲良くしてくれている

二人との過去を思い出していると

ーーピーンポーン

ん?こんな時間に誰だ?

時間は夜の10時過ぎを指している

「はーい」

と声を出し扉を開けると

そこにいたのはレンの姿だった

…………

「んで何のようだ?こんな遅くに」

「いやーお前のことだからまだ昔のことを引きずってんじゃねえかなぁって」

ギクッ……流石幼なじみ

なんでもわかんのかよ…………

俺がなにも言わずにいると

「んでサキちゃんに何も言わないのか?」

とレンは言った

「俺にはその権利がねえよ」

「権利ってなんだ?」

レンが聞いてきた

「分かってんだろ?俺はお前らを傷付けた

どれだけお前らが許してくれたとしても

俺は俺が許せないんだよ」

と俺は言う

「んじゃ何も言わないのか?」

「何度も言わすなよ」

俺は再度レンに言った

するとレンが言った

「くだらねえな」

んな!?くだらねえだと!?

俺は声にも出さないくらいに驚いた

レンは続けた

「俺らのために言ってるって思ってんだろうけどよそんなんシノが勝手に思ってることだ!!まず俺はシノを許してねぇ!!」

以外な言葉で俺は目をパチパチさせていた

だがそれを無視してレンは続ける

「俺が一緒にいるのは許す許さねぇとかじゃなくてただ俺が一緒にいたいからいただけだ!!

トモカを傷付けたことは許してねぇよ!!!

けどな俺だってそれ以上に俺が許せないんだよ

お前があの時言ってくれなかったら結局何も言おうとしなかったトモカに対して!!」

レンは今まで抱えていたもの全てを俺にぶつけにきたのだ

俺が俺自身を許せないのと同様に

レンはレン自身を許せなかったんだ

「だけど俺は決めた……」レンが言う

「え?何を」俺はすかさず聞き返した

「クリスマスの日に俺はトモカにもう一度告白するそして今度こそあの日と決別する

だからよ、シノはシノで勝手に諦めたり言わないのは無しだぞ、俺らのことが原因で告白しなかったならもうそれは無くなったろ」

「……レン」

「だからよ俺に見してくれよ最高にカッコいいお前をよんで俺はそのお前を越えてトモカに俺を見てもらうさ」

その言葉で俺は何もかもから解放された気がした

まだ俺を縛っているものはある………だけど

それでも俺は変わろうとしなきゃいけないんだと

気付いた……レンが言ってくれたように

いや…レンが変わったように

俺もあることに決意した

そして俺はあるところに電話をしたのだった


ーーー最終章ーーー

クリスマス当日

高校には近隣のおじいちゃんや

おばあちゃん、小学生や幼稚園の子供

そして卒業生と思われる人など

色んな人が集まってきた

「シノくん!!」

「え?あーわりぃ」

「大丈夫?ボーッとしてたけど」

「大丈夫大丈夫!!ちょっと考え事してた」

やはりサキちゃんは天使だ………

俺に気を張ってくれてとても優しい

「何ニヤニヤしてんの?」

とトモカが来た

「なんでもねぇよ」

と答えるとなーんだとつまらなそうに言った

そういえばいつも二人一緒のはずなのに

レンの姿が見当たらない

「レンは?」と聞くと

「私も分からないからシノのとこにきた」

とトモカは答えた

するとクリスマスイベントの開催の合図がなった

「ヤバいクラスに戻んねえと」

俺はトモカにクラスの劇のチケットを渡した

「レンに渡してくれ!!」と伝えると

俺は全力疾走でクラスに戻った


20:50

演劇開始10分前

みんなに緊張が走る

まぁ当然のことだ

ただでさえ外で劇をやろうだなんて

普通考えもしないだろう

更にまさかの満席以上で皆がとても緊張している

のが伝わってきた

するとサキちゃんが

「皆で練習頑張ってきたんだもん

大丈夫!!必ず成功するよ!!」

と声をかけた

それに対して皆が少しずつだけど

笑顔が見えた

サキちゃん君はやはり天使だ………


劇が始まった

ヒロインは江野サキ

言い出しっぺのサキちゃんがヒロインに

ふさわしいと皆の案で決まった

サキちゃんに聞いたこの高校に伝わる恋の噂話

それを題材とした話はドンドン進んでいった

そして最後の感動のフィナーレへと進んでいく

しかしこれはこの劇のフィナーレではない


急に演劇のステージライトが暗くなる

お客さんも驚いた様子でざわめき始めた

さぁ始めようこの冬の物語にフィナーレを


一人の男の子が声を出した

「スゲー綺麗なお空」

その言葉にお客さん全員が上を見上げると

空一面に雲一つない綺麗な冬の夜空が

広がっていた……

そしてまたステージライトが二つだけ光る

そしてお客さんがステージに目を向けた

そこには…………

「え?……シノ…くん?」

1つのライトにはサキちゃんが

そしてもう1つのライトに俺が照らされている

「どうして?」

サキちゃんは台本に載ってない俺の登場に

驚きを隠せていない……

しかしもう引き返せない俺は今日伝える

「サキちゃん……」俺は口を開いた

サキちゃんはこちらを見た

「俺は……いや音原シノはずっと前から

江野サキさん……貴女のことが好きでした」

サキちゃんは動揺しているのか全く動かない

俺は続けたしかしこの後は台本通りの台詞

「一生のクリスマスプレゼント

を貴女に贈りたい」

俺は作り物の指輪を出した

「貰ってくれますか?」

これは半分が劇であって半分が劇ではない

貰わないというのも1つの物語だ

江野サキは……………


ーーーー数年後ーーーー


俺は高校一年の時に劇をしたあの

松の木の下に来ている

そこで待ち合わせをしているのだ

「よっ久しぶりぃ」

「おう久しぶりぃ」

始めに来たのはすっかりカッコ良くなった

レンだった

次に来たのはトモカがやって来た

そして二人は先に歩いていった………

え?俺は行かないのかって?

言っただろ?待ち合わせだって

そうそうここでクリスマスの日に告白する

男女は一生を共に過ごすって

噂話になったらしい

本当かどうかは知らないけれど

少なくとも俺は………おっと

やっと来たみたいだ……

最初に言っただろ?

これは俺と彼女の冬の物語だって

「遅くなっちゃったゴメンねシノくん」

「大丈夫だよ、んじゃいこうかサキ」







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