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Taboo  作者: obshidian
3/7

第一話 日常

AM2:30


「やっとついたぁ~…」



「さっさと寝てぇ…」

僕らはウトウトしながら雑居ビルへと向かう。


事務所のスタジオからタクシーで20分くらいの場所にあるこのボロい雑居ビルが僕らの住処だ。

本来テナントが入るはずの場所なので、シャワーは二階に暮らす煉の部屋に一つ、キッチンは飲食店が入っていた一階にしかない。


ちなみに僕は三階、凛は四階、奏は五階に住んでいる。


「じゃあなぁ~」



「…おやすみ…」



「おやすみ~」

電気をつけると、コンクリうちっ放しの中にシンプルなアルミ製のベッドと脇に小さな冷蔵庫、黒いレザーのソファー。IKEAで買った白いタンス。壁にかけた数本のギター。


まぁ寝床として機能してればこんなもんで十分だ。


入った時からなんもない殺風景なワンルームだったし。

他の階は前のテナントが残した物がいくらか残っていたらしい。


例えば、二階はデリヘルの待ち合い室だったようでシャワーがついていたり、引っ越した時にはコンドームが散乱していたり、四階の凛の部屋は小さいコールセンターでロッカーが倒れていたり、他の部屋より電話線やコンセントが多かったりして片付けが大変だったらしい。



なんでこんな面倒なビルに住んだかというと、事務所には一応寮があるが僕らには他の人に見られると困る色んな事情があるからだ…

実はこのビルは一応事務所の所有だが凛が引きこもっていた時にネットで稼いだ金でかわりに買ってもらったもんだ。



僕らが北海道からみんなで冬休みに東京でライブしてスカウトされるために家出したときに煉が目をつけていて卒業と共に上京した際、事務所に提案したのだという。

事務所には理由を少し話すと理解してもらうことが出来た。



ってかそろそろ眠くなってきたな…

そんなわけで明日は久しぶりの休みだし早く寝よ~…


もう着替えんのめんどいだからジャケット脱いで魅惑のベッドへダーイブ!

…おやすみ…







AM3:00 御堂 煉


「ふぅ…やっと終わった…」


俺はタクシーから降りると居城を見上げる…


「相変わらずボロいな…」


俺の帰りはいつも遅い…それは俺がこのバンドのリードギターでありながら、マネージャーでもあるからだ。

今日は収録を終えた後、30分ほど一週間のスケジュールを事務所の広報と立てていた。


ビルの外についた螺旋階段を登りながら先程見上げたビルの三階に灯りが灯っていたのを思い出した。



自分の部屋がある二階を通り過ぎ、三階の紫苑の部屋の前に…ドアがあいていた…無用心め…

俺は全ての部屋の鍵を一応持っているが、出来ることならあまり使いたくはない。

なにせ、人の部屋に勝手に入るのは気分が悪い。



ドアを静かに開けると案の定紫苑はベッドに倒れ伏していた。

疲れているこいつが、30分前に帰っているのに起きているはずない。

ましてや俺を待っているなんて論外だ。


乱れた布団を直し、電気を消して外に出ると鍵をしめる。


「明日は久しぶりに学校か…」


俺は下の厨房にある冷蔵庫の中身から明日の朝飯、弁当のメニューを考えながら自分の部屋に帰る。

男四人の生活には金がかかる。一応収入はあるが無駄には使えない。

楽器の雑費やレコーディングにも金はかかる。



「寝られるのは数時間だな…」


俺は多少の気持ち悪さを我慢してシャワーを浴びるのを朝にし、紫苑と同じように外着のまま仮眠をとることにする。

ベッドは汚れるからソファーにしよう…

来ていたロングコートを脱ぐとそれを自分にかけて目覚ましを6時にセットする。



「まさか、あいつ等学校忘れてないよな…」


寝る直前のおぼろげな頭でそんなことを考えながら俺は睡魔へと身を委ねた。








なかなか主人公達の抱える問題が出て来ませんが、今週中にはそこまで行くつもりなんで、我慢して欲しいです…

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