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Taboo  作者: obshidian
2/7

序章

「「「やっと終わったぁ~‼」」」


4月6日、AM2:00。

都内のあるスタジオで期待の新人とされるバンド、『Full Spirits』のメジャーデビューシングル。「辛酸サディスト」の収録が終わりを迎えた。


「今回は長かったね…今までで一番試行錯誤したかもしんない…」



「やっぱ待ちに待ったメジャーだし大崎さんも頑張ってくれてんじゃない?」



「………僕も納得……」



「お前ってホントにスティック無いと性格変わるな…」



「でも明るくなったんだからいいじゃん。凛だって寮じゃ結構普通に喋れる様になってきてるよ」



「そうだな…最初は紫苑としか喋らなかったくらいだしな…」



僕らは三年前の中学二年生の時に出会った。



僕、水無月紫苑は地元北海道では結構な名家の子供だった。

しかし、僕はある病を抱えていることがわかった。

それを知った両親は僕を自宅へと軟禁した。

両親は名家の子供がこの病気だということを周りに知られることを恐れた。


ある日、僕が帰ると僕の部屋にあったものが急に離れの蔵の二階に移されていた。

そして、僕に「あなたは頭がいいので学校に行かせるのは勿体無い」と言われ、蔵から一歩も出されずに生活することを決められた。



僕はその蔵で誰が入れたか知らないが、初めてギターというものに運命の出会いをする。

埃をかぶったアコースティックギターは汚かったが何もなかった僕には輝いて見えた。

両親も流石に引け目はあったのか欲しいものは通信手段以外、ほとんど買ってくれた。

それから僕はエレキギター、アンプ、エフェクター、楽譜などを買ってもらい、ついにはインターネットは繋いでないがパソコンと作曲ソフトまで買ってもらい音楽へと勉強以外の時間を寝る間も惜しんで費やした。



冬の夜長、僕はふと星を見たくなって蔵を抜け出した。

それが僕らの出会いの始まりだった。


裏山の山頂に近い隠れた広場へとギターを背負った僕は獣道を抜けて向かう。

視界が開けた時、広場の切り株には先客がいた。

ボサボサの髪が顔を隠していたが、同じくらいの少年ということはわかった。

軟禁されていて、久しぶりに人と接したため、少しぎこちなく「こ、こんばんは…」と挨拶すると彼も戸惑った様子で挨拶してくれた。



「僕の歌、聞いてもらえる?」

彼は顔を伏せながらも頷いてくれた。


初めて自分の作った歌を人に聞いてもらったがあまり緊張せずに歌うことが出来た。

彼は歌い終わると僕に向け拍手を贈った。

それが凛と僕の出会いだった。



ガサガサっ‼

「「ビクッ!」」


「今日は流石に油断したなぁ…って誰かいんのか?あれま、逢引か…お邪魔したぜぇ~」



「ちょっと待て!てめえ!僕は男だっ!」



「あれ?そうなの?じゃ、ここで寝てもいい?」



「奏、騒がしいぞ。」

突如木の上から聞こえる声。


「誰だ!」



「んっ?奏じゃないのか?」



木の上から短髪の眼鏡をかけた背の高い少年が降りてきた。

手には本を持っている。


「僕は水無月紫苑だ。そもそもこの山は一応水無月家と遊馬家が半分ずつ所有する私有地のはずだがお前らは何者だ」



「すまん、そういえばそうだったな。俺は御堂煉だ。」



「そういや、俺も名乗ってねぇな…俺は高岡奏。そこの煉とは前にもここで会ったことあるけど水無月の坊ちゃんの隣にいるオタクみてぇな奴は知らねぇな。名前聞いても構わねえか?」



「…遊馬凛…ここには久しぶりに来た…」



「遊馬家の隠れ子に水無月家の眠り姫か…」



「なんだそれ?」


「お前らは知らねぇか…この辺じゃお前らはちょいと有名なんだよ」



「お前もそこそこ有名だろ?暴れ鬼さん?」



「バカ、それ言うならダ・ヴィンチだって有名じゃん」



「お前らもしかして女尊男卑な暴れ鬼と不眠不休のダ・ヴィンチ⁉」



「そうともいうかな…」



「というかそのギターはどうしたんだ?」



「…歌…歌ってくれた………」



「確かに言われてみればさっきなんか歌ってたか?」



「じゃ聞かせてくんねぇ?」



「俺も聞きたいな。」



「わかったよ…歌うよ…」




「…星を手にする〜♪」




「「「おぉ~‼」」」


パチパチパチパチパチパチっ!!



「てかさぁ紫苑ってソロ?」



「どうゆう意味?」



「バンドやんねぇの?」



「バンド?」



「俺らでやんね?」



「「「はぁ?」」」



「奏って楽器なんか出来んの?」



「いんや」



「バカだ…」



「俺、ベースやりたいなぁ」



「なんでいきなりそうなるんだよ?」



「お前ら紫苑の歌聞いてなんにも感じなかったのか?」



「それは…すごいと思ったけど…」



「違ぇんだよ!そんなことじゃねぇ!こいつの歌を一番近くでずっと聞きたいとは思わねぇのか⁉俺はうまく言えねぇけど、お前らと音楽をやりたいと思った‼」



「…でも…紫苑しか楽器出来な…」



「奏を止めるのは無理だよ…こうなったら何言っても無駄だ…それに君もホントはやりたいんだろ?俺もなんだかずっと勉強して頭よくなるより楽しそうな気がしてきた…」



「…まぁ、否定しない…僕も…救われた…」



「そうと決まったらとりあえず名前決めようぜっ!名前っ!」



「…じゃあ…常に音楽に全身全霊を込めるって意味で『Full Spirits』ってどうかな?」



「いいじゃん、いいじゃん!」



「悪くないな」



「…気にいった…」



満点の夜空の下、僕らの運命はこの奇跡のような出会いをきっかけに猛スピードで加速していった。



三年前の遠い夏の話だった。






駄文ですがどうぞよろしくお願いします。

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