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7 他者紹介?

「栄えあるブレイズ王国立ブライトネス学園の生徒として、大いに精進することを誓います。新入生代表。首席特待生リーゼリン・ブレイズ」

壇上で王女殿下が宣言した。

透き通るような白い肌。長い黒髪。輝くような蒼い瞳。凛とした佇まいが美しいが、淡々としていて最後まで無表情だった。


大講堂を満たす大きな拍手に対して一礼すると席に戻っていく。

スキルはレアスキルの「錬金術」だそうだ。俺のスキル「加工」の遥か上位スキルだ。

錬金術になると錬成や薬品調合も行える。

何とも羨ましいスキルだ。


最後に学園長ブリヴァム公爵が、新入生を歓迎する挨拶をして終わった。

王族が二人もご入学だ。盛大な入学式だった。その後にクラス毎でのホームルームがある。俺は一年一組。「恵遇生」になったが、不安でいっぱいだ。


教室に案内され、自己紹介が始まる。

クラスメイト達は一三才。

成人と見なされているだけで、全員がまだまだ子供。

エネルギーに溢れている感じがする。


そんな子供達の中に、中身が前世知識の俺。

知識だけで前世記憶は無いからか、心は今の体に引っ張られているようでアンバランスだ。

そんな俺に学園生活は大丈夫なのか心配だったが、学ぶには良いところだし前世の学校と違って毎日何時間も授業はしない。寮の暮らしも厳しくはないし、何といっても無料なのが大きい。

貴族は在学中に社交に勤しみ、知恵を求める者は学業や研究をする。下っ端貴族の俺は目立たぬように魔道具を学びたい。


(わたくし)は首席特待生リーゼリン・ブレイズ王女です。スキルは錬金術。王女ですが社交よりも静かな生活を好みますので、ご理解を頂きますようお願いいたします」

言葉は丁寧でお願いとは言うものの、私に関わらないようにしなさいという命令だろう。

王族の自己紹介に気圧されたか、粛々とした自己紹介がしばらく続いた。


「わたち、ミーミシア・フレアです! レッツ共和国から来ました。「天槍」スキルを持っています! 大武道大会で優勝して、将来は騎士団長になります! よろちくね!」

小柄ながら立派な胸部を持つ、ブラウンの短髪の見るからに元気いっぱいっ子が挨拶した。


天を頂く名を持つスキルは「天位スキル」とも言われるウルトラレアスキルだ。よほど身分制度に厳い国以外では、このスキルを持つだけで騎士団長に成れると思う。

大武道大会とは二年に一度この国で開かれている歴史ある武道大会だ。各国からの出場者も居る。天位持ちを他国に留学に出すとは珍しいが、大武道大会での優勝を狙っての派遣なのかな。


「やあ、みんな。ケイン・ブレイズだ。王族だけど第三王子だからね。皆と仲良くしていきたいんだ。妹のリーゼがああいう性格ですまないね。根は良い子なんだけどね。僕には気軽に声をかけて欲しいな、ああもちろん女性限定だよ。趣味は珍しい物や面白い品を見ること。美味しい食事も好きだな。美しい女性と一緒だとなおさらだね。よろしくお願いするよ」

そう言ってにっこりと笑うケイン・ブレイズ殿下。

金髪碧眼眉目秀麗で立ち居振る舞いもいかにも王子様だが、発言は遊び人風で軽かった。女子たちはきゃーと沸いた。リーゼリン王女殿下は眉を顰めて睨みつけてるけど。


王族男子のスキルは保安のためか公表されていないが、スキルの系統は知られている。

第一王子が剣のレアスキル、第二王子が将を纏めるレアスキル、ケイン・ブレイズ殿下は経済のレアスキルだという。豪華なラインナップだ。噂ではレア以上の、つまり天の名の付くウルトラレアだとされている。

王位継承は長子が基本だがスキルによって変わることもある。領地無しの下級貴族の俺には関係ないことだが、出来たら継承争いなどなく決まって欲しい。

ケイン殿下は王位には興味なさそうで一安心だ。


それにしても何故、俺は王子と王女と同じクラスになったんだ?

生徒会で一緒になるからと特待生面接で揉めたのに。

そんなことを疑問に思いつつ、俺の順番が来た。

自己紹介は無難に。

スキルも爵位も省略だ。


「ジョウ・ライトと申します。魔道具制作を学びたいと思っています。よろしくお願いいたします」

これで良し。

「おお。君がジョウ・ライト男爵か。叔父が言っていたよ、優れた「分析」と「加工」の珍しいダブルスキルホルダーで、今期の学問試験で最高得点者だと! 何とも珍しい人材だ。実に面白い! 男子生徒だが、仲よくしてくれたまえ!」

優雅な笑顔でケイン殿下が他者紹介をしてくれました……

お読み頂きありがとうございます。

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