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3-4

12/22 セリフの句読点スタイルを修正しました。


セクハラ描写が入ります。

 寝台の上に仰向けになって、目を閉じる。長いこと使われていないそこは、ひんやりとして少し湿っている。

 先ほどから、何かがちりちりと神経を揺らしているのに、それが掴めなくてもどかしい。

「大胆な方だ」

 いきなりアドリアンの声がして、ユーディトは飛び起きた。彼は寝台の足下の方の柱に寄りかかって、にやにやしていた。

「そんな誘われ方をされては、何もしない訳には行きませんね」

 そう言うと、彼はユーディトの右足を捉えた。蹴って離れようとしたのに、意外に力が強い。

 足首を掴んだ手の体温が、薄い絹の靴下越しに感じられて、震えが体を走った。ジーヴァの手とはまるで違う、血の通う人間の男の熱。

 そんな彼女の反応にそそられたのか、アドリアンが嗜虐的な表情を浮かべた。

「なるほど、あなたは処女なのですね。てっきり、男女の秘め事はもうご存じだとばかり思っていました」

「っ!」

「それでは、こんな愛撫もご存じではない、と」

 彼は右手でユーディトの右脚を持ち上げると、つと左手を滑らせて、彼女の膝裏をなぞった。

「いやっ!」

「その手を離せ」

 ユーディトが叫ぶのと、ジーヴァがアドリアンの肩を掴んだのとは、ほぼ同時だった。

 ごうっ、と部屋を突風が吹き抜けた。

「えっ、君は……」

 突然現れたジーヴァに、アドリアンは目を丸くしている。手の力が緩んだのをこれ幸いと、がっと蹴りを入れて、ユーディトは自分の脚を彼の手から解放した。

「あたた。痛いじゃないですか、公女(プランセス)

 わざとらしくアドリアンが悲鳴を上げる。

「フン。指の四、五本、折れてしまえばいいのよ」

「ほんのちょっと、誘惑しただけなのに……」

 寝台から降りたユーディトは、ジーヴァの後ろに駆け込んで、彼の上着にしがみついた。

「まさか騎士(シュヴァリエ)をお連れとはね……」

 手をさすっていたアドリアンは、彼を見下ろすジーヴァを振り仰いで、そして口を開けたまま固まった。

「君、まさか……」



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