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幸福教団へようこそ! ~神になりし女子高生は異世界を征服す~  作者: 出雲大吉


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第095話 戦争って大変だわ


 私は篠田さん達を迎えに行き、ついでに20名以上の女子の勧誘に成功した。

 転移で南部に帰ってくると、新しくやってきた女子達を村上ちゃんに任せ、篠田さん達や鈴木に休むように命じた。


 私はノゾミと東雲姉妹にも休むように言うと、ミサと共に会議室に向かう。

 会議室にはすでにリースと勝崎が座って待っていた。


「お待たせ」


 私はミサと共に席に着く。


「いえ……篠田さん達は無事に帰還しましたかね?」


 リースが聞いてくる。


「ええ。ついでに勧誘中の24名も連れてきたわ」

「多いですねー」

「ほら、女子が集まっているってやつ。篠田さん達の先輩らしいわよ」


 吹奏楽部の先輩だって言ってた。


「へー。まあ、良かったですね。こちらとしても、南部に残る人員が足りていないので助かります」

「それよね。で? どんな感じ?」


 私は本日の議題である決戦の作戦会議を始めることにした。


「まずなんですが、敵の中枢である神殿を爆撃します」


 いきなり強行手段だなー。


「爆撃すんの?」

「はい。ランベルトからの情報によると、女神教は権力が中央の一部に集まっているようです。だから最初にここを叩くべきとランベルトからの進言です」


 ランベルトは中央の貴族で女神教の司祭だし、女神教の内部にも詳しいのだろう。

 それにしても、やる気満々だわ。

 さすがは東雲姉妹のご主人様。


「それを採用?」

「ええ。良い策かと思います。敵の頭を叩けば、現場は混乱しますし、総崩れでしょう」


 命令する人間がいなくなればそうなるのはわかる。


「まあ、いいんじゃない? 許可します。その後は?」

「基本的にはひー様が言っていた方法と同じです。マイルを獲り、敵を引き付けます。そして、各地に転移させた仲間がガラ空きの中央を押さえます」


 すでにエルフを各地に潜伏し終えている。

 あとは獣人族を西部の砦に送るだけだ。


「人員配置は?」

「ひー様の力ですでにエルフは300名を各地に潜伏させています。この者達は主にヘリでの活動になります。また、200名がマイル攻めに加わります」


 エルフは合計で800名程度いる。

 その内、500名が戦争参加を願い出たのだ。


「獣人族は?」

「1000名が西部から進軍予定。300名はマイル攻めです」


 獣人族は老若男女問わず、8割程度が戦争に参加するらしい。

 そして、士気が異様に高い。

 あのエロギツネのヨハンナですら戦うらしい。

 私は経理のこともあるし、止めたのだが、一族の長として、前線に出ないことはありえないと言われた。

 当然、他の一族の長もそうらしい。


 私はあまりの士気の高さに少し不安になり、やりすぎを抑えるためにジークにはランベルトを副官につけることとランベルトの意見をちゃんと聞くように伝えた。

 ランベルトも大概だが、あいつは戦後も見据えているので大丈夫だろう。


「では、マイル攻めは合計で500名ですか?」

「そうなります。ただ、マイルを落とした時点で南部貴族のアルバン、マルクスが挙兵し、マイルに援軍に来る予定です」


 あいつらか……


「援軍? 周囲の領主は大丈夫なの?」


 マイルに来る前に他の領主の領地を通るんじゃない?


「両名がすでに手を回しております。元々、南部はそこまで女神教の影響が及んでいないですし、食糧援助が効きました。参陣は出来ないが、邪魔もしないようです。要は静観ですね」


 様子見だね。

 私達が勝てば、私達につくし、女神教が勝てば、そのまま。

 貴族らしいわ。


「よろしい。それで進めなさい」

「はい。それと皆が戦地に向かう影響で南部の管理が難しくなります。どうしましょう?」


 問題はそこだ。


「ここはともかく、人族の村よね?」

「そうなります。月城さんのおかげでスパイは全員、捕らえましたが、面倒なクレーマーがいます」


 私の信者ではないうえに働きもせずに食料を要求してくるヤツらだ。


「面倒ね……」

「村上曰く、このままでは治安が悪化し、他の真面目な者にも影響するそうです」


 中にはまだ私の信者にはなっていないが、もらった食料の分は真面目に働いて返そうとする者もいる。

 そういう人達への悪影響を懸念しているのだろう。


「さてさて、どうしますかねー?」


 私はリースとミサを見る。


「処分でいいと思います。幸福教は1人だけが幸福になるような利己的な宗教ではありません。皆で手を繋いで幸福を目指す共助的な教えです。それを妨げる者は幸福教団だけでなく、ひー様に弓を引くも同然」


 ミサが珍しく、意見を言う。


「ひー様、私もミサの意見に同感です」


 リースが頷いた。


「勝崎、あんたはどう思う?」


 私は勝崎にも意見を求める。


「基本的には俺もそう思いますが、まだ、幸福教の教えが広まっていない今の状況でそうやって処分をするはマズいかと……」


 そうなんだよねー。

 これから幸福教に入ろうと思う者が足踏みしてしまう。


「そもそもの問題はあの村って、村って呼んでるけど、避難所になっていることよね。まとめる村長がいない」

「誰かを村長に任じては?」

「誰がやんの? ここに残る人族は私、ミサ、リース、東雲姉妹だよ? あとは生徒達」


 適任者ゼロ。


「南部に残る獣人族やエルフは避けた方が良いですよね?」

「そらね。当然だけど、ハーフリングもダメ」


 ハーフリングはさすがに無理だろう。

 まず、ロクに森から出てこない。


「ひー様、避難民から選ばせればいいと思います。元より、我らは教団員ですし、政治や人の管理にそこまで関わるべきではありません」


 リースがまともなことを言う。


「まあ、そうね」


 私は世界を統一するが、政治に関わる気はない。

 ランベルトやフランツあたりが勝手に法律やら何やらを決めて、国を治めればいい。

 大事なのは幸福教の教えを守ることだ。


「では、そのように進めますか?」

「そうね。戦が始まる前に決めてちょうだい。もちろん、両方の村よ」

「了解です。適当に投票でもさせます」


 それでいいと思う。

 これでも問題が起きれば、法に則って処分すればいい。


「問題はこのぐらいですかね?」


 もうないよね?


「あとは物資の支援です。戦時中は常に物資を補充してもらう必要があります。主に食糧、水、銃弾などですね。これらの物資の不足分や戦果報告も合わせるとひー様の負担がものすごくなります」


 勝崎がさらに問題点をあげてきた。


「私のお告げは一方的だもんね」


 向こうから私に連絡することができないのがネックだ。

 マイル方面はまだ早馬というか、ヘリを飛ばせるが、中央を狙う連中が困る。

 特に1000人近い獣人族だろうね。


「いかがしましょう? あまりにもひー様に負担をかけるのは気が引けますが…………」

「皆が命を懸けて戦うのです。それくらいはしましょう」


 寝れるかなー?

 神だから倒れはしないが、きつそうだ。

 回復魔法を使える山村さんをそばに置くかな……


「ひー様、大村先輩にお願いしては? ほら、さっきの副会長です。あの人のスキルは念話ですし、先輩を前線に置けば、向こうから連絡を取ることができます」


 ミサが提案してきた。


 うーん、大村さんねー……

 実はその考えがなかったわけではない。

 だが、大村さんはさっき降ったばかりだ。

 それなのに、いきなり戦地に行けとは言いにくい。

 ましてや、あの子は戦闘ができるタイプではないのだ。


「難しくない? そら、命令すれば、行くでしょうけど……」


 私は信者を幸福に導く存在である。

 学生に戦場に行けとは言いにくい。


「とりあえず、聞いてみては?」

「そうするかなー……」


 私は目を閉じる。


『大村さん、大村さん』

『何かしら?』


 大村さんだ。


『今、何してます?』

『お風呂から上がって、ゆっくりしているところね』


 ここに来ると、皆、最初にお風呂に入るんだよなー。

 気持ちはわかるけど。


『ちょっとお願いがあってー……』

『何かしら?』

『直接、話したいから社の会議室に来てくれない? 場所は誰かに聞けばわかるから』

『いいけど、トウコも連れていってもいい?』


 宮部さんか……


『いいよー』

『じゃあ、すぐに向かうわ』

『ごめんねー』

『いえいえ、ものすごく下手に出てることに対して、嫌な予感がするけどね』

『ごめーん』


 私は念話を切った。

 そして、目を閉じたまま、別の人物にお告げを使う。


『ヨハンナ』

『はーい』


 ヨハンナの明るい声が脳内に響いた。


『忙しいかもだけど、会議室に来てくれない? 頼みたいことがあるの』

『了解です! すぐに向かいます!』


 私は目を開ける。


「宮部さんも来るってさ。それにヨハンナも呼んだ」

「エロギツネに護衛を頼むわけですか。良いと思います」


 私は大村さんに悪いなーと思いながら3人を待つことにした。

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[一言] 通信は大事ですね
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