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幸福教団へようこそ! ~神になりし女子高生は異世界を征服す~  作者: 出雲大吉


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第049話 アウトドアも悪くないね……和服は暑いけど


 感動の再会を果たした吹奏楽部の先輩後輩はバーベキューセットをガツガツと食べている。

 運動部の男子みたいだ……


「そんなに食べると太るわよ?」


 一応、忠告しておく。


「この1年で結構、痩せたんで大丈夫です」


 この世界は飢饉もあったし、日本ほど食べることは出来なかったのか……

 でも、リバウンド……


「まあいいわ。食べながらでいいので聞きなさい…………村上ちゃん」


 私は自分が言うより、村上ちゃんが説明した方がいいと思い、村上ちゃんに振る。


「4人共、聞いてください。ひー様より、提案がありました。あなた方に勧誘の旅をしたらどうかという提案です。お優しいひー様は危険な目に遭っている他の生徒を不憫に思い、恭順の意を示すならば、幸福を与え、庇護して下さるそうです。とはいえ、全員は厳しいでしょう。あなた方の友人だけでもいいですし、可能な限りで構いません。また、これはあくまでも提案です。一応、武器は与えますし、使い方は教えますが、外は危険です。断っても構いません」


 村上ちゃんが提案すると、4人は顔を見合わせる。


「あのー、ヨモギちゃんもですか?」


 篠田さんが私に聞いてくる。


「ヨモギには別の仕事があります。ですからお前達4人になります。とはいえ、女子4人では狙ってくれと言っているようなものですから護衛もつけましょう」


 誠実な男を選ぶか……

 悪いが、青木とか勝崎は信用ならん。


「…………もちろん、ヒミコ様に従うことが前提ですよね?」

「そうなります。私にはお前達を含め、私の子を守り、幸福に導く義務があります。不穏分子は私の世界には必要ないのです。私は誰がどこで何をしようと問題にはしません。幸福教は人種、思想、性別…………ありとあらゆるものが自由なのです。ただ、幸福を求める事。そして、同じ幸福教団員同士で争わないこと…………これが幸福教の絶対の掟です」


 まあ、多少のケンカはいいけどね。

 ウチのツートップであるミサとリースですらナンバー2を争っている。


「やりたいとは思います。ですが、私達に出来るでしょうか?」


 まあ、問題はそこだよね。


「難しいとは思います。ですが、逆に言えば、これはお前達にしかできません。私達がやってもカルト教団でテロリストの言うことを聞くわけないでしょう?」


 まあ、私ならいくらでも落としてやるが、私が生徒達のためにそこまでしてやる義理はない。

 篠田さん達は村上ちゃんの助命を聞いたからだし、ヨモギちゃんは役に立ちそうと思ったからだ。


 4人は再び、顔を見合わせる。

 そして、頷いた。


「…………やってみます」

「説得は難しいかもしれませんが、出来るだけのことはしてみます」

「基本的に女子は固まって行動をしていますので、場所もすぐにわかると思います」

「あのー、護衛っていうのは?」


 護衛か……


「村上ちゃん、良さそうなのがいる?」


 私は村上ちゃんに聞いてみる。


「…………町に行くなら人族ですよね? うーん、青木はダメ……前野先生は戦闘員じゃない…………東雲姉妹は?」

「無理に決まってんじゃん」


 東雲姉妹は私の護衛だし、そもそも、あいつらに任せたら絶対に失敗する。

 というか、女子やんけ。


「鈴木はどうでしょう?」


 鈴木…………鈴木ケイタか……

 私に絶対の忠義を誓った30歳のおっさんだ。


 確かにあいつは鍛えていて、ガタイが良いし、護衛にはぴったりだろう。


「鈴木か…………大丈夫? JK4人だよ?」


 おっさん×JK4人……

 犯罪やんけ。


「鈴木は問題ありません。具体的な理由は言えませんが、絶対に手を出さないでしょう」


 何、その自信?


「え? あいつ、ゲイなの?」

「違います。他に好きな人がいるんですよ」


 へー……なるほど。

 さっきからリースの顔が怖い理由がわかった……

 いや、私もJKだから犯罪やんけ。


「えー……教団員の幸福を叶えるのが私の義務だけど、応えれそうにないわー」

「いや、あいつはドルオタなんで、その認識でいてもらえると……」


 私はアイドルかい……

 いや、偶像っていう意味では合ってるけど。


「まあいいわ。今度、握手会でも開きましょう。それより、鈴木はどこにいるの?」


 この森に来ているという情報は聞いていない。


「夕方から勝崎と共に作戦会議を兼ねた報告をする予定でしたが、各地に散らばっている教団員の半数はすでにこの基地の近くまで来ております。鈴木はマイルの町ですね。潜入捜査をしています」


 なるほど。

 教団の幹部共は人族だから潜り込める。


「なるほどね……一度、顔合わせをさせなさい。篠田さん達が嫌がれば、別の者にします」

「かしこまりました。では、篠田さん達に武器の使い方を教えましょう…………マシンガンはマズいですよね?」

「目立つからね。携帯できるハンドガンで十分でしょう。当人達もスキルを持っているのですから」


 スキルとハンドガンで行けるだろ。

 護衛もいるわけだし。


「ですね」

「篠田さん、藤原さん、山村さん、川崎さん、路銀も食料も全部こちらで用意します。定期的に連絡を取りますので、その時に必要な物資を言いなさい。遠慮は無用です」


 どうせ、パンを出そうが、金を出そうが、使うポイントは一緒だ。


「わかりました」

「ありがとうございます」

「やってみます」

「頑張ります」


 うんうん。

 頑張れ。


「話は以上です。さあ、食事を再開しなさい」

「ひー様、肉ばっかりですけど、海産物も出してあげては?」


 私が食事の再開を勧めると、村上ちゃんが提案してきた。

 海産物と聞いた4人は目を輝かせる。


「だーめ。今、ミサと東雲姉妹が釣りに行っています。それなのに私達がここで魚とかを食べていたらあの3人が拗ねるでしょう? 4人共、夜に来なさい。そうしたら出してあげます。どうせ、釣れなくて、私に出せってせがむのでしょうから」


 東雲姉妹が交互にせがんでくるのが目に浮かぶようだ。


 夜に来る約束をした4人と村上ちゃんは食事を終えると、銃の扱い方を勉強しに平原の基地に戻っていった。


「あー、疲れた」


 今日は人と会ってばっかりだな。

 まあ、本来はそれが仕事なんだけど……


「お疲れ様です」


 リースが労いの言葉をかけてきた。


「お前は反対ですか?」


 私はリースに聞く。


「正直に言えば…………ただ、村上のことを考えれば、これがベストでしょう。ひー様は裏切者がわかるのですし、信者が増えるのは良いことです」

「そうね…………お前、今でも転移が使えますか?」

「使えます。1人、2人ならば、すぐにでも日本に送れますね」


 やっぱりか……


「そのことは誰にも言わないように。日本に帰還するのはあくまでも、この世界を統一してからです」


 もし、すぐにでも帰れることを知ったら篠田さん達はごねそうだ。

 ごねなくても不満に持つだろう。

 もしかしたら幹部連中の中にもそういうのがいるかもしれない。

 だが、今は戻るわけにはいかないのだ。


「承知しています。今、戻ってもどうしようもありませんからね」


 うん。

 捕まるだけ。

 そして、それに対抗する手段もない。


「リース、お前はあっちの世界に残っている教団員と接触し、現在の状況を把握しなさい。そして、帰還後の計画を練りなさい」

「かしこまりました」

「世界を獲ったら乾杯しましょうか……夜景の見えるホテルで私のかわいい子供達を眺めながら勝利の美酒を味わいましょう」

「…………はい」


 ……………………いや、何を頬を染めているんだ?

 ホテルってそういう意味じゃないのに……




 篠田さん達や村上ちゃんが去り、しばらくすると、ミサと東雲姉妹が戻ってきた。

 予想通り、何も釣れなかったらしく、東雲姉妹が魚をねだってきたため、夜は海産物によるバーベキューをすることとなった。

 最近、バーベキューばっかりをしている気がするので、バーベキュー女子を名乗ろうかと思う。


 夕方になると、篠田さん達や幹部達もやってきて、私が出した海産物で皆、思い思いに楽しんでいる。

 そして、私、ミサ、リース、勝崎、村上ちゃん、青木、前野の7人でバーベキュー用のコンロを囲みながら座った。


「さて、こんな時間になってしまいましたが、幸福教団の幹部による作戦会議を行います」


 私は全員の顔を見渡しながら告げた。


 東雲姉妹?

 あっちで無言で焼いたカニを食べている。

 しかも、いつの間にかメイド服に着替えていた……


 篠田さん達が『なんだあれ?』という目で見ている。

 私達も同じ気持ちだった。


 まあ、静かでいいか……

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