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幸福教団へようこそ! ~神になりし女子高生は異世界を征服す~  作者: 出雲大吉


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第018話 人の関係はそれぞれなのだよ


 ミサのご機嫌取りをした後、私は他の者に指示を出すことにした。


「カルラ、お前は早急にハーフの仲間に話してきなさい。この町を出て、南部の拠点に行ってもらいます」


 私はまずもってカルラに指示を出す。


「南部の拠点というと、エルフの森ですか? 純血のエルフが我らを受け入れるとは…………」

「問題ありません。私の子を差別することは許されないのです。そのように周知していますし、そこまで言うならば、念を押しておきます」


 私の子は皆、平等。

 能力で優劣の差はあるだろうが、それは種族の差ではないのだ。


「わかりました。人数が100人を超えているのですが、どうやって門を超えましょうか? それに子供が多いのでエルフの森まで行けるかは…………」


 私とミサが車で3日程度もかかった距離だ。

 貧困の100人が行けるかは微妙だな。

 途中で兵士や盗賊に見つかったら終わるだろうし…………


「前野、お前、バスの運転はできますか?」


 私はカルラから目線を切り、前野を見る。


「バスの免許はありませんけど、まあ、できるのでは? 普通車なら運転できますし…………」


 なら大丈夫!

 でっかい車がバスだ!


「お前はカルラ達と共に南部に向かいなさい。勝崎に迎えを寄こすように伝えておきます」

「あのー、バスに100人も乗れるんですかね?」

「頑張れば乗れます! お前だって満員電車の経験はあるでしょう?」


 多少、我慢しなさい!

 奴隷船よりかはマシでしょ!


「まあ、わかりました。南部に行ってどうすれば?」

「勝崎の指示に従いなさい。あそこは近いうちに争いが起きます。人手が足りないでしょうし」

「わかりました。ちなみに、それは勝てますかね?」


 何を言っているんだ、この医者は……


「逆にどうやったら負けるのです? 勝崎にはヘリ5機と戦車20台、マシンガン100丁を渡したのですよ? あと、スナイパーライフルと地雷と装甲車と…………まあ、いいです。負けることはありません」

「やりすぎなような気がしますが、わかりました。私達は南部に向かいましょう」


 うんうん。


「よろしい。ランベルト、門を越える方法は?」


 私はランベルトに意見を求める。


「それは簡単だ。実はスラムにいるそういった連中を処分しようという意見もある。獣人族に与するんじゃないかと懸念してな…………俺が獣人族のスパイを命じるという体で町の外に追放してはどうかと進言しよう。おそらく、すぐに受け入れるぞ」


 うーん、優秀なんだが、ホント、ひどい男だわ。


「…………それでいいわ。早急に動きなさい」

「了解した。俺はどうした方がいい? この町を落とすつもりなら早急に逃げるが……」


 さすがは東雲姉妹のご主人様だわ。

 保身力がすごい。


「あんたはここで待機。この町はまだ落とさない。今、落としても守りようがないし、落とす時期を見極めるわ。あんたはその時になったらスムーズにここを落とせるように内部で暗躍するの」

「なるほど。爆弾とやらをもらえたら領主の家と門を壊してやろう。それで終わりだ」


 門は壊れ、領主も死んだら指揮系統はマヒするし、パニックになって終わるもんね。


「わかっているならいい。その時はあんたにこの町をあげるわ。収益も何もかもあんたにあげる。王様でも名乗りなさい。ただし、幸福教の教えに背いたらダメよ」

「やる気が出てきたなー! ひー様、ばんざーい!」


 …………こういうヤツは逆に裏切らないだろう。


「私らは?」

「またメイドの仕事?」


 食っちゃ寝してオセロするのがメイドの仕事と思っていないだろうか?


「私は獣人族との話を終えたら北に向かいます。お前達はそれに同行すること。それまでは待機」


 元から連れていくつもりではあったが、この姉妹をここに置いておくと、ロクなことがなさそうだ。


「やったぜ! ようやく退屈とおさらば!」

「バイバイ、ご主人様。メイド服は洗わずに返してあげるよ」


 フユミがランベルトに手を振る。


「ああ、どうせ、すぐに焼却処分だから洗わなくていいぞ」


 ランベルトが真顔でフユミにしっしっと手を振り返した。


「あ! そうか! ベッドがあるもんね!」

「知らなかったのか? 実を言うと、私はお前のことが好きじゃないんだよ」


 なんか漫才かコントが始まってんな……


「え? じゃあ、私?」


 ナツカが驚いたように自分の顔を指差す。


「姉貴かー! 私の方がおっきいのに!」

「ふふっ! お姉ちゃんの方がスレンダーでモデル体型だからね!」


 ちなみに、こいつらは身長が175センチあるので女子としてはかなり背が高い。

 だが、どっちもまったく同じ体型にしか見えないので競われてもよくわからない。


「悪いな。お前も好きじゃない。というか、髪以外で差がわからん」

「…………つまり、両方? ツンデレ?」

「…………おっさんのツンデレはきついって」


 東雲姉妹が小声でゴニョニョしだした。

 でも、微妙に聞こえる声量だ。


 ところで、この漫才はいつ終わるんだろう?


「今、ものすごく嫌いになったな」

「…………確かにきっついね」

「…………ご主人様の好みを受け入れるのもメイドの仕事だよ」


 あんたら、やっぱりそっちのメイドじゃん。


「頼むからさっさと連れていってくれ」


 ランベルトが心底嫌そうな顔をして私に懇願してくる。


 ……どうしよう?

 私もなんだかツンデレにしか見えなくなってきた。

 何だかんだ言って、将来、東雲姉妹を囲ってそう…………


「もうちょっと待ってなさい。獣人族との話を終えたら呼んで連れていくから」

「早急にお頼み申す」


 ランベルトが初めて片膝をつき、頭を下げた。


 やっべ。

 東雲姉妹をくれと言っているようにしか聞こえなくなったわ。




 ◆◇◆




 今後の指示を終えた私はミサを連れて町の外に戻ってきた。

 方法は来た時と同じで東雲姉妹が狂人のフリをするという方法である。

 なお、フリかどうかは置いておく。


 町の外に出て、森の前まで送ってもらった私はここまで送ってくれた姉妹を町に帰らせると、ミサと共に森に入った。

 森と言っても普通に道がある。


「この道を進めば、獣人族の集落に着きそうね」


 私はそう言いながらチラッと上を向き、木の上を見た。


「途中で襲われますよー。やっぱり帰りましょうよー。せめて、マシンガンを出してくださいよー」


 うるさい子だなー。


「森でマシンガンなんか意味ないです。木に隠れられたら終わりでしょ。それよりも丸腰で行って、敵意がないことを示すことが大事なのです」


 ねー?


「ホントですかー? 食べられません?」


 食うわけねーだろ。

 獣人族を何だと思ってんだろ?

 ねー?


「大丈夫だって…………仕方がないわねー」


 私は絶対神の天授を使い、小瓶を取り出した。


「何です? 香水?」

「そうそう。これを振りかけときなさいよ」


 私はそう言いながらミサに香水を渡す。


「意味あるんですか?」

「あんただって、香水臭いステーキは食べたくないでしょ?」

「なるほど。お借りします」


 ミサは香水を手首に吹きかけ、なじませると、首筋などにこすっていく。


「ひー様は?」

「私はいらない」

「いらないんです? ひー様の方が食べられやすそうですよ?」


 ミサがそう言って、私の胸をもんできた。


「それ、どっちの意味よ?」


 性的な意味で食べられる場合は香水は逆効果でしょ。

 ねー?


「いや、ガチの方。ひー様って死なないって言ってましたけど、マジです?」

「神が死ぬわけないじゃん。死ぬのはあんたら信者がいなくなった時」


 信者ポイントがゼロになったら私は消滅する。

 これはわかる。

 何故かわかる。


「もしですけど、ひー様を銃で撃ったらどうなるんです?」

「そら、死ぬわよ」

「はい?」

「いやね、この身体は死滅するっていう意味。女神アテナを見たでしょ。神は基本的に実体がない。だから巫女に憑依するの」


 私は元々、肉体があったのでそんなことをしなくてもいい。

 でも、この肉体が死滅すれば、そうしないといけない……


「ということは、ひー様が死んだら私に憑依です?」

「たまにね。嫌だったらリースにするわよ」


 東雲姉妹はなんとなく嫌だ。


「リースはやめた方がいいような…………あいつの頭がショートしそう……」


 リースを何だと思ってんだよ。


「私、あんたの身体に憑依したら絶対にいたずらをする自信があるわ」

「でしょうね! ひー様って基本、私をいじめますもんね!」


 心外な……

 傘を借りパクしたことをまだ根に持っているのかな?

 それとも、バカめがねってあだ名をつけたことかな?

 いや、給食のハンバーグを奪ったことか?

 まさか、あんたの夢小説を朗読したことじゃないよね?


「ミサ、私はお前が大事なのです」


 ニコッ!


「あんた、嘘つく時に笑うよね」


 あ、怖い。


「親友って心の友って書くんですよ?」

「あんたはどうして素で嘘をつけるの?」


 全然、信じてないし。

 ちょっとショック。


「本当ですよ。信じなさい。ちゅーしてあげましょうか?」


 んー?


「いらね。とにかく、死ぬんだったら香水をかけましょうよ」

「大丈夫だって。殺す気ならとっくに殺してるでしょ」

「え?」


 私の言葉にミサが呆ける。


「とっくに囲まれてるわよ」


 私がそう言うと、ミサが慌てて周囲を見渡す。

 私はそんなミサに上を指差した。


 ミサが私の指につられ、木の上を見る。


 周囲にある木々の上には10人以上の狼男がこちらを見下ろしていた。

 しかも、弓を構えて…………


「…………いつからです?」


 ミサが狼男たちを見ながら聞いてくる。


「森に入って3秒」

「早く言ってくれません?」

「私、結構、上をチラチラ見てたじゃん」


 ねー?

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