65 マタタビーム
「おい自警団気取りのギルド共!! 早くその愚民のガキを捕まえねぇか!!」
カルカロドンの背後よりやって来たのは
私設で育成された兵達を引き連れる街市長アンスターだ
「もうすぐこの騒ぎを嗅ぎつけて他の手練れ達もここに到着するでしょう」
「何が手練れだ二番街の蛭共が……」
「しっかり街市長殿には納税していますが?」
「街のイメージの問題だ 煌びやかな別番街と違い
ここの住民は奴隷よりも醜い無法者の集まりが主ではないか
前の市長会議でもマウントを取られる始末 どう思うよギルドの君は?」
「……アンスター殿は心が広く器の大きさがお有りなのですが
それを他の街市長達には上手く伝わっていないとお見受けします
ギルドマスター率いる我等【黄金守の抱擁龍】は貴方様を支持します」
「そうだろうそうだろう?! だったらクソガキと私の奴隷を献上するのも本望の筈だ
足りない兵力はいくらでも貸す 手早く私の手元へ持って来ておくれ
……えっとあぁ貴様の名は??」
「……カル力ロドンです」
「……ハハハ!! 名付けた親を恨んだ方がいい面白い名前だなぁ!!」
胸糞悪い奴との会話を終えれば
明るそうな雑談とは裏腹に不機嫌な表情のカルカロドンはこちらに近付いてくる
「聞いてた通りですよミヤコさん 粗相一つで我々の居所は明日にも滅びてしまいます
貴方もギルドにお世話になっているのなら そこの少年と奴隷を引き渡しして下さい」
「……ハァ 話にならないわね」
ミヤコの右手は銃の様な形を模し 人差し指と中指を彼に向けて伸ばす
左手は添えるだけで次の瞬間 指先が発光し始め 辺り一帯は空気が歪む高温状態となる
彼女の焦点はカルカロドンよりさらに奥にいるアンスターを睨み 標準を合わせた
それは彼自身にも気付かせて悪寒を走らせる
「ど…… 奴隷を私の前に密集させろ!! 私が狙われているぞ!!」
連れてきた奴隷達を肉壁として盾を作らせるが
生憎ミヤコに躊躇という言葉はなかった
「やめろミヤコさん!!」
「いなくなれば済む話なのに 生かしておく貴方も随分お人好しなんですね」
「クッ…… クソォ!!」
彼もアンスターの盾となる
ここまでくると街市長の権限がどれほどの物なのか興味が湧き出していた
「捕食型防壁魔法〝巨口的大雨〟!!!!」
「猫速・破壊光線」