56 覚悟と行方
「それでも僕は行くよ…… ホズミナの…… 仲間の娘を助けに行く!」
「……君ぐらいの子は年齢の近い子達に仲間意識が向くものだと思ってたんだがね」
「仲良くなるのに年の差は関係ないよ
……と言っても僕もイジメられてきた側の奴だから普通とは違うんだろうけど
クラスに味方はいなかったのにこっちでミヤコが俺を拾ってくれた
学校だけが全てじゃないって思え始めたからホズミナの勧誘にも応えられたし
イジメられたからこそ ミキョシィを人として見れるのかもしれない
今までの生活を経て ここでの生活が自分の弱さを強さに変えてくれたんだ」
「……!」
「止まる理由が無いんだよ ……一回屋上から飛び降りてるし怖い物なしだ!!」
マスターの制止は裏表ない善意によるものからだろう
そんな事は百も承知 しかしだからといって協力を頼んでも助けてくれないのが現実だ
俺はそのままギルドを飛び出し 社員達が追って行った方向へと走り出す
二番街中がミキョシィを追う大捜索が繰り広げられている
自分が犯人だったらまず逃げられないだろうと思う もしくは全力疾走で街の外へ向かうか
しかし俺なんかの予想など大人達は朝飯前なのだろう
既に外側に割かれる人員は密度が濃い肉の堅牢となっている
だけど見つかっていないのも事実 彼女は一体どこへ逃げたのやら
「思いつくのはホズミナの家だけど…… やっぱり先回りはされてるだろうな
でもミキョシィが行きそうなところはそれくらいしか…… いや……」
消去法で導き出した俺の答えは
ホズミナの家ではなく ホズミナ自身のとこへ向かったという結論
「ミキョシィは確か…… 僕がこの世界の人間じゃないとすぐに見破った
その特殊な力が〝身体の質〟ではなく〝人の考えや心〟を読み解いて判断しているのだとしたら……」
不思議と頭が回り 自身が捻り出す語彙力の数々が気持ちよかった
おそらく数分後には忘れている 土壇場に訪れる頭が冴え渡っていたのだろうが
でもそれなら彼女が見つからない理由に合点が行く
目的地のアテを社員の誰にも割り出せないのだから尚更予想に自信が持てた
彼女なら辿り着ける 俺も見当つかない 現在のホズミナの居場所へと