55 追加された試練
「ミヤコは何処にいるの?」
「……郊外に仕事に行ってますよ? ちょっとふて腐れてましたね」
鼻水を垂らしながらホットミルクを飲む俺は落ち着いていた
別に自分がこの世界から嫌われていないだけ まだ俺は平静を保っていられる
「ミキョシィは連れ戻されるのか?」
「人様の物だからねぇ……」
「物……」
「ただ勘違いしないでおいて欲しいのは
ここのギルドの人間も街市長の事が大好きって訳ではないんだ」
「??」
「寧ろ皆は何故か私を次の街市長選っていう偉い役職を誰がするかで推そうとしている
ここの冒険者達が欲しがっているのもまた自由なんだ おそらく奴隷達と同じでね
納税も自分達に都合良くして 有り余った金で贅沢したい
どんな指示も二つ返事で動く様な言いなりにもなりたくないと思っている」
「……ご馳走様でした」
タダミルクを奢って貰った形になってしまったが金が無いので仕方がない
すぐに外へ出ようとする俺にマスターは心配していた
「一応尋ねるけど何処に向かうんだい?」
「ミキョシィを助ける そして僕とミヤコが暮らす森に連れて行くんだ」
「君も頑固だねぇ どうしてそこまで……」
「もしこの世界に僕じゃない誰かが迷い込んでも同じ事をする
行動に移せなくたって間違ってるのはこの世界だって誰もが思う筈だ!!」
「…………」
磨いていたグラスを頭上に吊されている収納棚に飾ると
少し圧を掛けるかのよう 顔に凄みを増して最終警告を促す
「ミヤコさんは戻らないよ これは君にとっての試練なんだ」
「……まだ続くの?」
「私のあくまで個人的な意見なんだがね
誰も寄りつかない森の中で綺麗なお姉さんとずっと二人で暮らしていても良いと思うんだ
喧嘩はしても取り返しつかない戦争までは発展しない 仲睦まじくどこまでも共に
しかし心晴君は外の世界に出たいと言い出したそうじゃないか?
だから私が追加の試練を間接的に君へ 直接的にミヤコへ課した訳さ」
「っ…… 僕はどうしたらいいの?」
「どういう試練かはもう身を以て解っているだろう?
この外の世界そのものが心晴君にとって向かい風 醜い史実が積んで来たまさに地獄さ
逃げ場のある森に押し戻されるか 抗うか そういう試練なんだよ」




