45 ミキョシィ・ウォード
「そう言えばホズミナ! ミキョシィは自分のことレア物って言ってたけどどういう意味だ?」
「レア物だぁ?! 別にアイツはそんな高額で買ってねぇぞ俺ぁ……」
そのレア物というワードに一番に反応したのは店の主だった
それはもう喉から手が出る勢いの存在らしく
「そのミキョシィって奴隷はどんな見た目なんですか?」
「普通だよ…… 金髪で色白ってくらいだな特徴は」
「……フルネームは〝ミキョシィ・ウォード〟じゃぁございませんか?」
「そうそう!! 飯食ってる時にそんな話してたぜ!!」
「なるほど…… そいつぁお高いでしょうな
そこらの奴隷とじゃぁ比べ物にならない
何故なら知る人ぞ知る希少種ですからねぇ」
「マジか…… たったの2,0000ギルアだったぜ?」
「となると~~ やはりエレクトリシティーの中心地の方に売られましょうなぁ
レア物を持って来る輩にはどの店でも羽振りの良い待遇がされます
貰える金は人攫い屋の気分というデタラメな取引が交わされても不思議じゃありあせん!」
根拠がある訳ではないが それでもこの地区に来た頃よりは捜索範囲が狭まった
店の売主曰く ここの三番街の奴隷ショップの中では一番大きい店らしく
農夫の泥濘と呼ばれる街の中心にあるという情報を貰って俺とホズミナは赴く
ちなみにエレクトリシティーの外周を農夫の地盤と言うらしい
「御達者で~~!! 私が経営する【奴隷ショップ:グランヴァシエル】もよろしくねぇ!!」
そして場所は変わって中心街
一から六までの区域の先端が集中するこの場所はエレクトリシティーの核と言っても良い
奴隷ショップだけではなく そこそこ大きな建物が首を上げれば聳え立ち
一等地と呼ばれても可笑しくないほど生活水準は飛躍していた
勿論お目当ての奴隷ショップはサーカスのテントが張られ
来る者の気持ちを昂ぶらせる 遊び心満載な店構えとなっている
裏には百を超える選りすぐりの奴隷達が檻の中で待機させられ
人権など疾うに焼き尽くされた人間以下の者達がただ怯える時間を過ごしている
ここは街一番の見世物&販売雑技団【デスピエロ一座】
「この野郎…… さてはあまり調教されずに飼われやがったなぁ??」
「……プッ!!」
顔面を鞭で叩かれたのか 唇が切れて血まみれのミキョシィ
しかし反抗的な眼は死んでおらず 血混じりの生唾を調教師の顔に吹き付ける
「っ……!! 汚ぇなぁおい!!」
鞭による暴挙は続く だがそこに座長と呼ばれるこの店の最高責任者が現れて
「もうそろそろ競売が始まるぞ?
さぁこの子も服で隠せるところ以外の傷は治癒してやらんとなぁ」