39 心晴のお仕事初体験
ギルドマスターからは〝街を出ては行けない〟という条件で許しを貰えた
子供の冒険者も少なくないこのギルドではまともな教育方針など無いのだろう
故に実戦経験第一主義な訳で それもホズミナは昨日からこのパーティーを考えていたらしい
早速依頼の紙切れを持ってくる彼は内容を俺に見せてくる
「盗賊退治?」
「ここエレクトリシティーの四番街と五番街 露店が並ぶ二番街とは正反対の住宅街だな!
そこで度々 大人子供が仕事や学び舎に出払う真っ昼間に盗みを働く輩がいるんだ
この街には中央都市みたいに憲兵がいないから仕事を請け負うのは決まってギルド!」
「けんぺい? 警察官みいたな奴かな……?」
「ここはギルドであって自警団でもあるんだ
市民をしっかり守ればブラン王族からの羽振りも良くなり
ギルド自体が名実ともにデカくなれば 奴隷を連れ歩く街市長よりも偉そうに出来るってこったぁ!!」
「ふ~~ん…… 奴隷達も助けてやれるのか?」
「……そうだな!! 俺だってミキョシィの鎖を取っ払いたいって思ってんだぜぇ?!!」
「……じゃぁ仕事頑張るよ!!」
「その意気だぁ頑張ろうぜ心晴!!」
昨日まで坊主呼びだったのに いつの間にか名前呼びで親しくなってる二人にミヤコは嫉妬していた
何故分かるのかといえば 俺がチラッと彼女の方を振り向いてた時
頬を膨らませてホズミナを睨んでいたからだ
そして俺はそんなミヤコを見てドヤ顔していたのを覚えている
ミキョシィといえばギルドの外で荷物を持って待機していた
建物の中に奴隷を連れて来てはならないという掟とかは無いらしいのだが
ホズミナが頑なに入れさせないんだとか
「ようし! じゃぁちょっくら行ってくっからよぉ!!
心晴は無事に帰すから安心して待ってろよミヤコちゃん!!」
「当たり前です…… 怪我をさせたらその首を刎ねますから」
ミヤコはお留守番だ 何やらマスターとヒソヒソ会話をしてその決断に至ったらしい
彼女の不満で心配する表情を見れば本意ではないことは確かなのだろうが
来なければ来ないで中々 淋しいものがある
でもテレビでやっている初めてのお使いという試練は
こういう気持ちを乗り越える為でもあるのだろうと この時の俺は呑み込んだ