23 第一関門
森は三種の怪物の領地になっており
大きく分けて三つのエリアがある
野宿と町での宿泊を考慮した二人の荷物は
自分達の身体の倍の大きさはある
「さて…… では出発しましょうお兄ちゃん!!」
「おし…… おし!!」
頬を叩いて気合いを入れ
俺とミヤコは森の中へ するとさっそく二匹の大蛇にご挨拶
『なんや兄ちゃん~~ 随分と意気ごんで怖いな~~』
「……おはようございます!!」
『……もう食べてえぇんか? ミヤコ姐さん』
「えぇ! どうぞどうぞ!!」
ミヤコの掛け声で二匹の大蛇の目の色が変わった
正直この時だけ この人は何を言ってるんだろうと
身が竦み出した頃には それは始まっていた
「「 シャ~~~!!!! 」」
「ギャァァァァァ!!!!」
言葉を交わせて得られていた安心感
しかしそれは一変して生き死にを決めるサバイバルへと
遠くからミヤコの指示が飛んでくる
「まずは大蛇の縄張りの外へ逃げましょう!! そこがゴールです!!」
「ダジュゲデ~~~~!!!!」
必死に逃げて怖い目に遭って 痛い思いを経て人は強くなる
この世界が日本だったらミヤコを訴えてやりたいと
この時の俺は真剣に考えていた だけど現実と向き合わねば
所詮真剣でも現実逃避 今を生き残ろうという事を第一に考えなければ死
「頑張ってお兄ちゃん!! 生への執念を高めてぇ!!」
「ガエリダイ~~~~!!!!」
木の根っこの下を潜り 葉を纏って姿を隠し
川を飛び越え 岩を登り 余計なことを考えなければ
いつの間にかエリアの境に辿り着いていたのだ
「ゼェゼェゼェ……!!」
「タイムは6時間23分!! 最初にしては及第だよ!」
「今日は…… 今日はもう……」
「食料調達しなきゃね!! ほら立って立って!!
ほら早く魚を釣らないと夜になっちゃうよ?!!!」
「鬼…… ミヤコの鬼……」
「休んでもいいけど死んじゃうよ?」
弱音を吐かないと決めていた のどかに暮らしていた頃は
明日の自分のことなんて考えていなかったんだと
川にゲェするその時の甘ちゃんな俺は 身を以て体感していた