13 魔法を取得
今日は攻撃魔法を教えてくれるらしい
順番的に基礎体力だと思っていたのだけれども
何故かミヤコは魔法を先に覚えていた方が良いのだという
「さぁお兄ちゃん!! 何を覚えたい?!
炎? 水? 雷? 風? 土?!!」
禁書とか呼んでいた辞典を手の上で開き
俺は咄嗟にシンプルな質問を投げかけた
「特訓で覚えるものじゃないの?」
「ケモノトーンと同じだよ さぁどれにする?」
「じゃぁ…… 雷!! 強そう!!」
「わかったわ!!」
お馴染み ミヤコが詠唱すると一瞬の内に魔法を取得できた
神秘のベールに包まれる高揚感に浸る間もなくミヤコが進言する
「もう一つだけ覚えましょう!」
そう言って何故か〝鉄魔法〟を覚えさせた
「……なんで鉄なの?」
「私は護身魔法と呼んでいるわ
土魔法から派生して上位互換とまで言われるくらい知れ渡っているの
岩魔法よりも硬い物質で 身に纏えば早々怪我はしないわ!!」
「これって…… 禁書だからすぐに身につけられたんだよね?」
「不満があるようだね~~ お兄ちゃん」
「だってこんなに簡単に覚えても つまんないもん……」
「そういうことなら 残念がるには早いよ!」
試しにミヤコが作ってくれた 木と藁の簡易的な練習台
そこに魔法を放ってみろと言ってきた
「えぃ! ……出ない」
「素人並みの攻撃魔法を出せるまでにも半年は掛かるの
ここからは基礎能力の強化!! それに比例して上昇する精神力!!
身体と共に成長する精神は魔法のエネルギーなんだよね!!」
「心の力ってことか……」
「ここから先は実践あるのみ!!
庭の周りを走っていても大して経験値は得られない
だから翌週のお出かけにはお兄ちゃんも同行だよ!!」
その夜は中々眠れなかった
誕生日プレゼントを貰ったような
サンタさんにプレゼントを貰ったような
ゲーム機を買って貰ったときのような
そんな特別な日だった
「フン…! フゥン……!!」
「お兄ちゃんもう寝るよー!」
「少しでも…… ビリビリってなるくらいまで!!」
「そう簡単に出来ないんだよ~~ ちゃんと教えるから我慢して」
数時間ベッドの上で手を伸ばし続け 疲れた頃には布団に包まっていた
ミヤコがちゃんと寝かしつけてくれたのだろう