10 川釣り
今日は食料確保の目的で川釣りに来ていた
ミヤコは以前 大蛇を倒した時にここら一帯を住処にしている
子蛇達と何やら約束事をしていたらしい
「ミヤコも釣らないの~?」
「私は外敵退治に専念しなきゃいけないので~~
お兄ちゃんの目の届く範囲にいるから安心してね!」
「巨大な蛇は一匹しかいないのか?」
「そうなのよね~~ 三つのエリアの中では
一番大蛇さんが弱かったかもね~ 母親だから子供守らないとだし」
「……今度さ 動物の言葉教えてくれよ
俺が招いた事だったし 子蛇達にちゃんと謝りたい!」
「分かったわ…… でもまずは今晩の食材を確保しないと!!」
ギラつく炎天下のもと
蝉の鳴き声が集中力を削る中で
川のせせらぎだけに意識してしまう時間が続いていた
一匹も釣れないと魚が大好物のミヤコは機嫌を損ねてしまう
そんなミヤコは何をしているかというと
「シャァァァァアアアアアア!!!!」
「「「「「 クワァァァァ~!! 」」」」」
大河を挟んで侵攻してくる怪鳥の群れを一人で追い返していた
ミヤコはやっぱり強いんだなと 釣れない糸を見つめて俺は感嘆とする
「今日はオデコか……」
食われた餌の残り数を確認して落胆していると
釣り糸の引きはいきなりやってくる
竿を思いっきり振り上げて二日分くらいの大きな魚が宙を舞った
「やった! 見てみてミヤコ!! 釣り上げたよ!!」
「こっちも見てお兄ちゃん!! 大量だよ!!」
倒した怪鳥を山の様に積み上げて
その天辺でミヤコはガッツポーズしていた
格の違いに俺はついつい魚を川に戻してしまう
「せっかくの魚がぁ!!」
「……だって せっかくの僕の成果がショボく感じたんだもん」
「戻すことなかったのに~~……」
食い切れない程の食料は確保したけど
ミヤコの凄さは 通り越して妬みに変わった俺でした