9 事故
「ミヤコ?! 寝てなきゃ駄目だよ!!」
「あっお兄ちゃ~~ん! お水持ってきてくれたの~?」
トロ~んとした表情を近付けられると不意に意識してしまう
会話している最中にもミヤコはスクワットを止めない
過剰に汗を掻いているのに動きを止めないミヤコを尚更心配し
「ちゃんと寝てミヤコ!! 普通じゃないから!!」
「大丈夫大丈夫!! はいお兄ちゃんもぉ~~?!
ダイジュブダイジュブ~~!! エヘヘヘ!!」
既に後悔していた
こんな事態になるなら木の実なんて取りに行かなかったのに
いつも頼りになっていたミヤコが制御不能になってしまったら
そう考えるだけで安心の我が家が 一層怖く感じてしまっていた
無理矢理にでもミヤコをベッドに寝かせて
俺は助けを求めて家の外へと飛び出す しかし
「僕一人じゃ…… 森を抜けられない……」
散々家の周りを往復してれば いつの間にか夜へ
シチューの残りをミヤコに食べさせる訳にもいかず
全部自分が平らげて ミヤコにはパンとミルクを与えていた
不思議と症状は治ったのか 寝ているミヤコは怖いくらい静か
いつも言われてからする お風呂や歯磨きを済ませて
拭えない恐怖を抱きつつも彼女と同じ布団の中へ
「ごめんなミヤコ…… 俺のせいで……」
閉じている目を見て謝る俺は このあと震えることになる
真っ暗な寝室に輝く妖艶な眼光が二つ解き放たれ
自分に馬乗りになった瞬間 やっと俺は理解した
「お兄~~ちゃ~~ん♡」
「ちょ…… どうしたんだよミヤコ…… ミヤコさん!?」
「ハァハァハァ…… お兄ちゃんも立派な男の子なんだよね~♡」
腰を前後に振るミヤコの全てはハイに達していた
「ごめん…… ……ごめんなさい 謝るからぁ!!」
その後のことは覚えていない
翌朝にはミヤコの記憶は吹っ飛んでいた
マタタビは猫を酔わせて運動を活性化させるだけの物だと思っていたが
獣人には媚薬効果もあったのかと 今となっては何も分からない