市中病院小景2
◎副反応科創設
「第6波来ないね」
「3発め始まってますけど」
「困ったな」
「院長いっそターゲット変えましょう」
「え」
「コロ患から惑患へ。いま激増中ですから」
「心筋炎とか帯状疱疹だけじゃないんだろ。自信ないな」
「どうせ治りゃしません。適当にあしらって薬着けにすりゃいいんです」
「キミもワルになったね」
「ご指導のたまもので」
◎オミクロン株求む
「院長、第6波来ませんね」
「どうしたんだろう3発め始まってるのに」
「増床分丸損です」
「仕方ない。ウイルスをばらまこう」
「え」
「きみ陽性者を連れて来てくれ。私が培養する。オミクロンがいいな」
「ええ~てどうしよう。あ、そうだ」
「連れてきました」
「フガフガ」
「お。本家のオミか。たっぷり取れそうだ」
◎万能薬
「院長、副作用特科で満床ですよ」
「うん。一時は潰れるかと思った」
「それはそうと薬が入荷しないですね」
「供給が不安定だからな」
「収入に響きますよ」
「大丈夫」
「何かルートが?」
「万金丹」
「え」
「秘伝の万金丹がある」
「ヤバいですよ。解毒作用があります」
「そか治るとまずいな」
◎オミクロンパワー
「大変だ。4号の患者がいない」
「え?オミクロン感染者じゃないか。ヤバいよ」
「病棟閉鎖しましょう」
「もう遅いかも。超強力だからね感染力」
「その分毒性は弱い」
「弱いどころかマイナスパワーだよ」
「え」
「感染すると治っちゃうんだ重症者も」
「きゃほー」
「わっほっほ」
「あの声は」
「重症病棟だね」
◎カルト
「第6波、オミクロンで来そうですね」
「でもズタボロですぐ壊れるんだろ」
「症状も出ないとか」
「PCRだけが頼りだね」
「A国はPCR今月で止めるって話です」
「日本もいずれ」
「そしたら判定はどうするんでしょう」
「さあ。霊視でもするんじゃないの」
「もうオカルトの世界ですね」
「オミ自体が既に心霊現象さ」
◎オミクロンミラクル
「院長、新しい診療科大盛況だそうで」
「うん」
「うちの薬どんどん使って下さいね」
「薬いらない」
「は?」
「治っちゃうんだ何でも」
「え」
「オミクロン科ていうんだけど」
「はあ」
「オミ陽性者と患者を一緒に閉じ込めるんだ」
「へ?」
「するとあっという間に全員感染して病原菌駆逐、平癒しちゃう」
「そんな殺生な!」
◎オミクロン科
「うちもオミクロン科創設しよう」
「評判ですもんね」「ひと稼ぎできるぞ」
「大部屋を空けて、あとは陽性者を何人か仕込んでくれば」
「いいよ。ぼんぼん入れちゃえばわかんないから」
「詐欺ですよ」
「お酒飲ませてどんちゃん騒ぎさせれば大抵の病気は治るもんね」
「いやそれは」
「うちで出す薬よりよっぽど効くよ」
◎待望の陽性者現る
「おう。ちょっと無症状になっちまってよ。気になるから検査を」
「承知しました」
「どうでい」
「陽性です。こちらどうぞ」
「もう隔離すんのかい」
「この部屋です」
「しょうがねえなあ」
「みなさん。お待たせしました。真正のオミクロン感染者です!」
「おお待ってました」
「ヒューヒュー」
「なんでい。ここは!」