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早速始まりの街に行ってみる

 転移先は運良く街のそばだった。

 看板には、[始まりの街 ミッドガルズ]と書いてあるように見えた。

 やはり言語は習得済みの状態になるようだ。

 ここで“やはり”というのには理由がある。それについては後々話すとしよう。

 そばに水たまりがあった。ふとそこに映った姿を見る。

 黒髪だし、身長も170センチ、体重は量れないから分らないけど見た目は姿は元々生きていたころと同じだった。

 服は生きていたころのものとは違った。

 いかにも冒険者って感じの服になっていた。

 日本で着ていたふくだとこっちだと目立つもんな。転生特典って言ったところなのかもしれない。

 まずは気絶しているこの女神を宿屋にでも連れて行くことにしよう。


「兄ちゃん。いい服着てるじゃねぇか。持ってるもの全部置いて行きな!!」


 上はチューブトップ、下はショートパンツを着ている小柄でボーイッシュな女の子が

 手にナイフを持って俺の方を見て言ってきた。

 やつにいきなりからまれてしまった。

 えっと......これは想定外。いきなり物盗りに会うとは初心者転移者にとってはハードすぎるだろ。

 でもこういう場合はこの台詞を言っておきたい。


「やめておきな、あんたみたいな嬢ちゃんが物盗りなんてするもんじゃないぜ!!」

「そんなこと言われてやめるなら物盗りなんてやらないっての!!」


 こっちに向かって走ってくる......と思ったらこけた。


「あーーーー!!!!痛い!!痛いよぅ!!」


 頭を思いっきりぶつけたみたいだ。


「なかなかやるじゃない。」

「何もしていないんだが......」

「兄ちゃん惚れたぜ......あんた名前は?」


 女の子に惚れたと言われたけどそこに反応しない方がいい気がする。しかし、名前くらいは聞かれたし答えてやるか。


「スグルだ。あんたは?」

「こらこらこんな美少女が惚れたって言っているんだからなんか言えよ。照れてるの?シャイなの?シャイボーイなの??」


 脇腹を肘でつんつんしながらにやけてそう言ってきやがった。

 どうしようこの自称美少女グーで殴ってもいいのかな?


「うちの名前はセリカ!これからよろしく。」


 ステータスボードが表示された。[名前:セリカ 職業:盗賊]


「盗賊と仲良くしたくはないんだが......」

「大丈夫!盗賊は今日でやめるよ。というかさっき始めたばかりなんだけどね。飽きちゃったし。」


 なんだろう。関わらない方がいい気がしてきた。


「悪いね。先を急ぐのでここで失礼するよ。」


 足早に女神を背負い宿屋へ向かった。


「あ、ちょ、待って!!」


 またこけた。今のうちにと言わんばかりにその場を離れた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「いらっしゃい。2人さまかえ。」


 しわしわのおばあちゃんが出迎えてくれた。ステータスボードが表示された。[名前:トメ 職業:宿屋オーナー]

 名前がトメってなんだかしっくりくるな。


「はい。今連れが疲れて寝てしまったので宿をとりたいのですが。」

「はいよ。2人で銀貨3枚だえ。」


 ありがたいことにこの世界のお金は最初から持っていることになっているらしい。

 まあ、銀貨5枚しかないけど。

 銀貨2枚をおばあちゃんに手渡した。


「2階の突き当りの部屋だえ。」


 そう言うと鍵を渡してもらえた。

 とりあえず女神をベッドに寝かせ女神から奪ったスキルを見ることにした。

 結構な量のスキルがあったから調べるのに以外と時間がたってしまった。

 さっき使った異世界転移スキルだけどチャージ中って表示されている。


「1299時間......」


 当分この世界にいないとだめってことだな。

 どうやらスキルにはそれぞれチャージ時間があるようだ。特にこのスキルはチャージ時間が長いようだ。

 何時間かたったころに女神が目を覚ました。


「ここは?」

「君大丈夫かい。街の外で気絶しているのを見つけて宿へ運んだんだ。」


 とりあえず咄嗟に街の外で見つけたことにしてそう言った。


「うぅ。何も思い出せない......」

「きっとモンスターにでも襲われてその時頭を打ったのかもしれない。」


 困惑している彼女を見て安心させるために俺はうそをついた。


「とりあえず落ち着くまでここにいると良い。名前は......思い出せないならミカと呼んでもいいかな?」

「はい。構いません。」

「俺は少し用事があるから外に出かけてくるけどここで待っててもらってもいいかな?」

「はい。大丈夫です。ご心配おかけします。」


 彼女――ミカに見られながら俺は外に出かけることにした。

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