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W.W.W.  作者: 渡良瀬雄三
プロローグ
2/46

第2話 運命の時

プロローグを2話に分ける必要なかったな……。

「う~んやっと終わった~」


時計を見れば、21時を少し過ぎたくらいだった。

思ったより早く終わったな。


「やれやれ、初めはどうなるかと思ったが問題が単純でよかった」


データを保存してからPCの電源を落とし、机の上を片付けて荷物を鞄につめる。

誰もいないオフィスの戸締りをして、会社のあるビルを出る。

歩いて10分くらいの少し離れた駐車場に行き、自分のクルマに乗り込む。


「はぁ~つかれた……」


ため息をつきながらエンジンをかける。

元気に回るエンジンの音を聞き、かかりの悪さや異音が無いことに安心する。


「よし、今日も元気だな。」


俺の給料のほとんどをつぎ込んでいるのだ。元気でないと困る。

生産から15年経ち、経年劣化で部品はボロボロ。

野ざらし駐車のため、見た目もボロボロ。

それでも2リッターの水平対向エンジンは快調に動き、俺をどこにでも連れて行ってくれる。

今の会社に入社してから中古で買って、10年以上乗っている思い入れのある車だ。

金も手間もかかるが、子どもの頃からの憧れだった。

少し目を瞑ってPCのモニタに痛めつけられた目を休ませた後、シートベルトを着け駐車場から出る。

会社は田舎にあり、交通量も通行人も少なくて車通勤には好条件だ。



20分ほど運転して、水田の中を横断する直線の道に出る。

道がまっすぐなのと水田が広がる平野なこともあり、ここはスピードを出す車が多い。

だからこそ、俺はいつもこの道を通る時は特に安全運転を心がけている。


対向車線に大型のトラックが見えるが、遠目に見てもスピードを出しすぎな気がする。

職業ドライバーがスピードを出しているのは違和感があるが、中にはそんな人間もいるのでとくに気にしないことにした。


そして俺はそのまま車を走らせる。

刻々とお互いが近づいていき……トラックが急に進路を変えた。


俺の方に。


「ウソだろ!!!」


俺が法定速度で走っていても時速60kmは出ているうえに、トラックは遠目から見てもスピード違反の速さだ。

もっと遠くであれば回避も間に合ったかもしれないが、これは近すぎる。

本能のままに左にハンドルを切りながらブレーキを踏み込む。


俺はこれまで車には金をかけてグレードの高い部品を取り付けてきた。

グリップ力の高いタイヤ、制動力の高いブレーキパッド、それらはすべていつか来る有事のためだった。


だが、無情にもそのすべてが能力を発揮できないほどの近さだった。

時間にすればほんの一瞬。

突然の出来事だが、俺の頭は驚くほど冷静に、助からないと結論を出した。

そして金属がひしゃげる音と、人生で感じた事のない強い衝撃を最後に俺の記憶は途絶えた。

インド人を右に!

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