ウニョラポニョ! ウニョラポニョ! んー!! ウニョラポニョ!
短いからちゃんと最後まで読んでください!最後まで読まないと面白さ絶対にわからないです。最後まで読んでも面白さがわからなったら僕のせいです。
あなたはウニョラポニョという生物をご存じだろうか?
ウニョラポニョは三か月前に発見された新種の生物だ。全長は23㎝程度、六本の足が生えていて、体中が美しい白い毛でおおわれている。非常に人懐っこく、あごを撫でてやると『んー!! 』と鳴くのだ。非常にかわいらしい生物だ。
ウニョラポニョという名前の由来は原住民がその生物をウニョラポニョと呼んでいたことに起因する。原住民の言葉でウニョ→神 ラ→の ポニョ→雷 という意味らしい。きっと、原住民も初めてあったときにその可愛さに雷がうたれたのだろう。どんな野蛮人でも、かわいらしいと思う感覚は我々と変わらぬものなのだろう。
原住民はウニョラポニョを神格化し、檻の中に閉じ込め、決して外の人間には見せなかったのだという。だが、それは許されざることだ。生物の自由を侵害し、窮屈な場所に押し込めるなどあってはならない。それがこんなにもかわいらしい生物ならなおさらだ。このような可愛らしい生物は我々先進国の人間が責任をもって全国に輸出し、個体数を増やさねばならない。保護をしなければならない。
兵士たちが発見したとき、ウニョラポニョの個体数は十匹しか確認されていなかった。それが今では全国で二億匹にまで増えた。まさに爆発的な増加率だ。やはり、ウニョラポニョを増やさねばならないというのは神の遺志でもあるのだろう。
今では町を歩けばウニョラポニョに当たると言った具合で、どこを歩いてもウニョラポニョがいる。まさに世は大ウニョラポニョ時代。愛玩動物として家庭やテレビに引っ張りだこだ。特に、ウイルスが世間で蔓延し、株価が大暴落している今のご時世、ウニョラポニョのような愛玩動物と遊ぶことで皆気分を晴らしている。まさにウニョラポニョは神が人類に与えた安息なのかもしれない。
私自身ウイルスに侵されてしまったが、その分ウニョラポニョと遊ぶ時間ができた。幸いなことにウニョラポニョにはウイルスの症状が出ないらしく、好きなだけ遊んでいられる。ああ、娘たちのうらやむ声が聞こえてくるようだ。
「お父さん! お父さん! 」
「どうしたんだいそんなに慌てて。ウニョラポニョなら渡さないよ」
「ウニョラポニョがウイルスを媒体している感染源なんだって! 」
「な、なんだって! 」
私は重い体を起こしリビングへ向かい、テレビをつけた。
「速報です。最近流行りのウイルスの主な感染源がウニョラポニョであることが専門家たちの調査で分かりました。専門家は、各家庭からの早急なウニョラポニョの隔離及び、街を徘徊するウニョラポニョの処分を提案しています」
「そんな・・・。嘘だろ」
妻と娘は不安そうな顔でテレビを見つめる。ウニョラポニョが後ろで『んー!! 』と鳴く
「重ねて速報です。大統領がウニョラポニョの処理と隔離についての法律を全国民に布告しました。中継入ります」
「最近流行っているウイルス。それの原因は全てウニョラポニョだ! ウニョラポニョの存在は国民の生命及び国家の経済に大きな打撃を与えている! したがって、ウニョラポニョを飼育しているすべての家庭はウニョラポニョを保健所にもっていくこと! 私の目指す強い国にウニョラポニョは不要だ! ウニョラポニョを飼育している家庭は一週間以内に保健所に連れていくことだ! 」
「はい。なお、一週間後にウニョラポニョを飼育していることを発見した場合最大で一千万円の罰金があるそうです」
「あなた、どうするの?」
妻が不安そうに私を見る。
「保健所の混雑も予想される。早いうちに保健所にだそう。こいつを持って行ってくれるかい?」
妻はウニョラポニョを持って外に出た。
妻の背を見送ったとき私は一抹の後悔を抱いていた。そう、ウニョラポニョはとても高価だったのだ。
放漫な人類への皮肉のお話です。
主人公が最初に誰かに語り掛けていたのはウイルスで知らない誰かが見えていたから。いいね?