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知識の箱の最高傑作  作者: 佐田祐美子
夜会水晶
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頑固VS頑固

ロリって何歳までですかね?

詳しい年齢を書かないのはそこのところを気にしてるのと、年表書いた時に年齢のズレをめっちゃ出してしまう雑な性格だからです。








「ディー様が王子だからってカフカ様は誑かされているのです!」


「ディーが王子様なのはさっき知ったんだもん! わたしはわたしの意思でディーについてきてるんだよ!」


「目を覚ましてください。ディー様は読み聞かせた絵本に出てくるような王子ではありません。白馬にも乗っていません」


「お馬さんなくても魔法で空を飛べるからいいんですぅ~!」



 ……なんだこの会話は。



 レーテがカフカを連れ帰ると言って聞かず、話し合いの論点はどんどんずれていく。それにしてもレーテは仮にも王族であるおれに対して失礼ではないだろうか。不敬罪で訴えたら勝てる気がする。言うんじゃなかった。「姉貴から預かっている以上、おれに決定権はないからカフカを説得しろ」だなんて。お互いに頑固すぎる。


 欠伸を噛み殺して窓を見れば、外はすっかり日が落ちている。ここまで目立ってしまった以上、船でさっさと次の街へ行こうと思っていたのだが……話し合いはびっくりするくらい平行線だった。


「いいですかカフカ様。貴女は歴代の巫女姫の中でもずば抜けた才能の持ち主なのです。いわば最高傑作(マスターピース)と同じなのです」


「おい」


 聞き捨てならない暴言に思わず口を挟む。レーテが黙り、カフカがびくりと体を震わせた。そうなるよう威圧を込めた。


「人間をモノと同じにするんじゃねー。最高傑作(マスターピース)はどう使われようが文句は言わない。モノだからな。けど人間には心があるんだ。モノは壊れたら直しゃいいが、人間はそうもいかない。そんな簡単なことすらわからないのか」


「……っ、け、けれどっ」


 驚いた。反論してくるのか。ふーん、そうかそうかと思ったら腹の底が冷えていく。ただでさえ面倒事に巻き込まれてイライラしていたんだ。もう手段は選ばない。


「カフカ、お前は占いができなくなる可能性があっても旅を続けたい。そうだな?」


 カフカは怯えながらもはっきり頷いた。瞳に迷いはない。それを見ておれはさりげなく荷物の位置を確認する。次いでレーテを睨んだ。


「レーテ、お前は俗世にいたらカフカが穢れて占いの能力が失われるから戻って欲しい。そうだな?」


「え、ええ……そうです」


 言質は取った。おれは淡々と続ける。


「じゃあ、カフカが穢されても占いができるってなったらどうよ」


 え、と驚いた二人が言葉を発するより早く、おれはカフカに口づけた。


「んっ!?」


 逃げようとしたのを察して後頭部と腰に手を回して絡めとる。たぶん一角獣が反発してぱちぱちと空気が爆ぜるが、それは魔力を流して押さえ込んだ。ぎゅっと閉じた唇をちょいと舌先で舐めてやると少し唇を開いたので、ふうっと息を吹き込んだ。まあこのくらいでいいだろう。解放してやってレーテに向かって軽く手を上げた。


「これで占いできなくなったら呼ぶわ」


 荷物とカフカを抱え上げて窓から飛ぶ。向かいの民家の屋根に着地した瞬間、レーテの怒号が響き渡った。


「なーにしてくれやがるんですかこのロリコンがぁーっ!」


 流石に言い返せない。直後レーテが放った魔法が水の縄だったのは好都合だ。火の魔法で相殺させれば、水蒸気が目眩ましの代わりになる。


「カフカ様ー!?」


 屋根を駆けて飛び移り、仕上げに足元に風魔法を爆発させて大きく跳躍。汽笛の鳴った船に着地した。エンジンの低い振動と共に陸が離れていく。レーテは追ってきていないようだ。


「はぁ、めんどくさ……」


 カフカを立たせて頭に手を乗せる。するとわかりやすくびくっと跳ねたのには苦笑した。


「悪い。レーテを撒く為とはいえ強引だったな。もうやらねーから安心しろ」


「うん……」


 俯いて表情は見えないが、小さい返事が聞こえた。しばらくは気を遣わないと駄目そうだ。


「さ、旅を続けるぞ」


 手を差し出すと、カフカはそうっと人差し指を掴んだ。








それと、『だめ』『ダメ』『駄目』が表記揺れしているかもしれませんが、台詞中だとどれを使ってもいいと思ってます。『だめ』と『ダメ』だと言い方が違う感じしますし。

地の文だと『駄目』を使っているつもりですが、なってなかったらそれは誤字です。あるでしょうね情けないことに。

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