表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知識の箱の最高傑作  作者: 佐田祐美子
よいこのしおり
18/53

露店商

わざと一人称外してます。

ちょっと閑話的な意味合いが強いです。







「お嬢さん、本はいらんかね?」


 声を掛けてきたのは露店商。お爺さんが言うとおり、麻布の上には辞典から絵本まで、様々な本が山積みにされていた。お爺さんはその中から一冊、山が崩れないように器用に引き抜いた。


「これなんかどうかね。『涙の童話集』。おや、童話なんて子どもっぽいって顔をしたね? いやいや、これは子どもの寝物語には似合わない、湿っぽい話を集めた童話集さ。大人の入口に立ったばかりの、お嬢さんみたいな人にぴったりの本だよ。値は……お嬢さんの小遣いひと月分でいい」


 少し迷ってから、手持ちの硬貨を数枚お爺さんに渡した。途端に悲しそうな顔をされる。


「そうかそうか。お嬢さんも苦労しているんだなぁ。よかったらそこの栞、一枚選んで持っていきなさい。お金はいいから、よーく選ぶんだよ」


 露店の隅にある欠けた花瓶。そこに色鮮やかな栞が数枚生けられている。じっと見つめて、緑色の栞を手に取るとお爺さんは「おや」と意外そうに声を上げた。


「桃色のじゃなくっていいのかい?」


 頷いて小声で礼を言った。タイミングよく、名前を呼ぶ声が聞こえてきた。そちらへ走る。栞を挟んだ本を隠すように抱えて――




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ