とりあえず、落ちゲーやらして?
両手でゲーム機を持ち、いつものように落ちゲーの最高得点を目指していた。
「ぐぁーっ!くそっ!あと50足りなかったか!」
日本ランク、いや、世界ランクで一位をとっている人物の名前は『MAO』
どこの誰だかわからないが、ゲーム開始からつい先日まで一位をほぼ独占していた『HIRO』をあっさり蹴落として、一位に君臨している。姉と同じ名前も気にくわないが、一位に君臨していることが気にくわない。
俺はベッドの上でごろんと仰向けになった。
途端に、持っていたはずのゲーム機が手から奪われた。
慌てて、ベッドから起き上がり、がばっと綺麗に土下座をする。我ながら見事な土下座だと思う。頭上に恐ろしいほどの風量で何かが通りすぎるのを感じ、母がやはり怒り心頭なのだと感じた。
「ごめんなさいっ!今から勉強しますから、ゲーム機返してくださいっ!」
一応、形だけ、言葉だけという感じではあるが、口にして頭をあげると、そこにはRPG風な服に身を包んだ人物がいた。
「なぁーんだ。姉ちゃんか。なに?今度のコスプレは、それなの?」
姉はコスプレイヤーだ。なんというか、素人なんだけど、妙に力が入ってて、本物にかなり近づける、というか。元を見せてもらうと、おぉ!!すげー!!本物みてぇ!と感動するレベルだ。たまにこうして見せに来てくれたりする。
「すっげー。本当に生えてる」
頭から生えたように見える『魔王の角』に触れれば、固く出来が素晴らしい。カチューシャも見当たらないようにうまく髪に馴染んでいる。
誉めているのに、姉はふるふると怒り心頭な感じの顔つきになっていく。これは誉めるポイントが違うのか。力を入れたのは、他の部分……化粧、ではなさそうだよな。毎回だしってことは、服、もしくは、靴。しかし、今回のコスプレの元がわからない。わからないが、靴と思って、ひょいっと姉の足を持ち上げた。
途端に、姉がバランスを崩し、頭から生えた角を床に激突させて、割ってしまった。
「う、うわぁぁあああっ!!!」
大変なことをしてしまった、と思ったのだが。
後ろがうるさい。おかしい、と振り向けば、そこには、姉の友達であろうか、同じくRPG風の、こちらは勇者御一行様といったスタイルだ。
なるほど。誉めてほしかったのではなく、カメラマンしろってことでしたか。
ーーーって、おかしくね?
俺の部屋は?ベッドは?ここどこよ
まさか俺、異世界召喚とかされちゃったわけ?
うわー。チートな能力あるのかね?
ようやく事態に気づいたとき、
魔王をーーーどうやら姉のコスプレとして認識していた人が、魔王だったようで。しかも、角が折れたことによって、弱体化というか、ほぼ無力化?したようでーーーあっさりと倒した勇者として、祭り上げられることになった。
おかしいな?
勇者として異世界召喚とかされたら、冒険して、普通に大変な目に遭うけど、たいていチート能力でのりきって、あとハーレム状態とか普通にあって……とかが普通だよな?どういうこと?
とりあえず王様になにかほしいものがあるかって聞かれたから「落ちゲーのできるゲーム機」をねだってみよう。
とりあえず、落ちゲーの続き、やらして?
最高得点のMAOを倒すんだから。
タイトル。苦手なんですよ。
落ちゲーしてたら、異世界召喚とかされちゃったし、ついでに魔王倒しちゃったみたい?
とか仮で入力してたんですが。
思いっきりネタバレしてるなぁ、で、やめて。
とりあえず、落ちゲーやらして?
にしてみた。
しかし、魔王が情けないのしか書いてない気がしてきた。
気のせいではないですね。すみません