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異世界に転生して時間魔法しか使えない俺  作者: けろ
第二章 迷宮都市編
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第三十八話 迷宮の食糧事情



迷宮の1階層を無事にクリアした俺達は、ステータスの確認を終えて2階層への転送装置に乗る。

システムメッセージに同意して次の階層へと転送された俺達の視界に入ってきたものは、先ほどまでと変わらない草原と青空であった。


「なんかさっきまでと変わらないな」


階層ごとに大きく構造が変わるようなダンジョンではないらしいことが分かる。

迷宮前にガイルさんから聞いた話では5階層ごとに出現する敵が変化し、10階層ごとにフロアボスがいて迷宮の雰囲気が変わるということであった。

1~10階層では草原・森を中心としたフィールドが広がるとのことである。

このエリアでは「獣族」に属するモンスターが主に現れるということであった。

確かに、今まで接敵した魔物も「ウルフ」「ラビット」「バード」といった獣で構成されている。


草原である2階層に降り立った時点で既に昼時であったので、とりあえずキャンプを設置して昼食とすることにした。

午前中に転送装置を探しながら魔物を狩ったので、「魔物の肉」は十分集まっていた。

なので、「食品加工」の技能で俺が料理を作る。


一同はキャンプに設置されたテーブルに着き、食事をしながら先ほどの探索時に入手したスキルポイントとコネクトを確認する。

現在のスキルポイントは 540 で、コネクトは 1350 ほどであった。

1階層でステータスを確認した時に、戦闘要員のラズメリノが迷宮技能を持っていないことを把握していたので、今回のポイント配分は彼女の技能習得に費やすことに決まる。

パーティの合意の下、ラズメリノはファイターの技能である「スラッシュ」を習得した。


・スラッシュ:対象一体を素早く切りつける攻撃で、「スラッシュ」に成功するともう一度通常攻撃を放つことができる。


「スラッシュ」の習得必要ポイントは500であり、残りのスキルポイントは 40 となった。

昼食も食べ終えて、午後から探索をするかどうかパーティで話し合ったところ、しばらくは2階層で魔物狩りをするということになる。

2階層の雰囲気が1階層とあまり変わらないので、様子見を兼ねて迷宮嵐が酷くなるまで魔物狩りをするということである。

キャンプを設置したまま、午後からは魔物狩りに励む俺達。

ラズメリノが技能を習得したことで加速する俺達の狩りは、もはやただの作業のようになっていた。

こういう作業が結構好きなんだよな俺。

冒険者時代にやってた「フタバ草拾い」も実は結構気に入ってたんだよなあ、地上に戻ったら冒険者の真似事をやるのも悪くないかもしれないな。


夜まで延々と無心で魔物を狩り続ける俺達だった。

狩りに勤しむ俺達は、1階層よりも敵の発生が早いことに気づいたのである。

どうやら、敵の種類は変わらずとも階層を経るごとに迷宮の難易度は上がっているということが分かった。


夜も更けてきたので、俺達はキャンプに戻り夕食の準備と各種施設の設置に移る。

料理の準備を進める俺と、トイレやシャワーを設置するアンデルス。

その間エイレネやラズメリノ、ルークとミシュラの4人は迷宮での反省事項について会議している様子であった。


「時々ラズメリノが前に出すぎることが多いな」

「ルークも盾をしまうタイミングが遅くて、時々盾が壊れて貼れない状況がでてるわね」

「ミシュラの陽動も少し盾から離れすぎててカバーできないことがあって、その度に死ぬんじゃないかと思って冷や冷やするぞ」

「怖いこと言わないでくださいよ!そもそも私はマーチャントですからね!?」

「死なれてしまうと流石に私のヒールでも復活できませんからねぇ」


基本的に盾の後ろに入りっぱなしの俺とアンデルスには分からない前線事情が彼らにはあるようであった。

ただ、俺達二人には俺達にしか分からない野営職人事情があるのだ。

草原では微妙に夜風が冷たく、キャンプがテントの陰になるように風向きに気を使ったりしている。

アンデルスも、シャワー中に室内が真っ暗にならないように月明かりが見えるように小窓を作ったりして工夫しているようであった。

その辺の話しをメンバーにすると「へえー」と言ったような微妙な反応が返ってくる。

いや、こうなるのは仕方ないのは分かるんだが、なんとなく誰かに評価してもらいたくなることってあるよな?

俺はアンデルスとお互いの微妙な気遣いを評価しあうことが多いのであった。


野営の準備も整い、いよいよ夕食を食べ始めることになる一同。

肉のみの食事も今日で4日目ともなると、そろそろ肉を見るのも苦しくなってくる。

しかし、他に食材を持っていないので栄養補給として仕方なく肉を食う日々であった。

少し食生活に不満が溜まってきた一同だが、ミシュラの放った言葉で少し事情が変わる。


「あの、アイテム購入で食材という項目があるのですが……」


いい加減肉は嫌だというメンバーの気持ちを代弁するが如く、ミシュラは食材の入手方法を提案した。

ミシュラの言葉にパーティメンバーは皆、「コネクトで食材を買おう!」という雰囲気になっている。

肉を食べながらも、テーブルに着くメンバーはアイテム購入の「商品リスト」の食材の欄を見て話し合いを始める。

入手できるのはあくまでも「食材」であるので、「肉」のように簡単に焼くだけで食えるようなものは少なかった。

しかも、厄介なことに食材は滅茶苦茶高いのである。

「新鮮野菜セット一人前」が 5000 コネクトとかで売られているのであった。


「なにこれ!?ちょっと高すぎませんこと!?」


圧倒的お嬢様のラズメリノですら、迷宮4日目ともなると庶民的な金銭感覚に陥っていた。

午後からひたすら魔物を狩りつづけていた俺達だが、入手したコネクトは 7200 程である。

ほぼ半日ずっと魔物をしばき続けて「新鮮野菜セット一人前」を一つしか購入できないのだ。

エリスさん達パーティがレインさんの手料理でなんとか食事事情を乗り切っていたといっていたことを思い出した瞬間だった。


「これじゃ肉を食い続けるしかねえな……」


比較的肉食なルークは肉でもなんとか我慢できると言う。

しかし、普段から肉をあまり好まない女性陣は食生活にストレスを感ぜずにはいられないらしい。

「野菜」以外でもっと安く購入できるに肉以外の食べ物は無いか「商品リスト」から探す俺達。

最も安い素材である「春雨」ですら一人前 2000 コネクトとぼったくりのような値段設定であった。

仕方ないので、今回は女性の3人分だけ「春雨」を購入することになったパーティである。


「とりあえず春雨スープを作るぞ」


俺の「食品加工」技能で肉と塩と春雨を使った「春雨スープ」を三人分作る。

結構な量の春雨が入っていて、「春雨スープ」はスープというよりも「ヌードル」のような様相をしていた。

もちろん、男達は肉である。

肉でもなんとかなるとは言っているルークですら、女性陣が食べる「春雨スープ」を羨ましそうに見ていた。


「なんとかならないかな?」


テーブルで肉を食べる男三人は無い知恵を絞って、食糧事情を解決できないか思案する。

最初に考えたのは魔物をもっと高効率で狩り、食糧を購入することである。

しかし、これをすると食糧購入のみにしかコネクトを使えなくなってしまう。

次に考えたのが、フィールドで「木の実」や「果物」、「野草」を調達することだが、実のならない木と雑草しか生えていない以上これも難しい。


「どうにもならないか……」


半ば諦めた状態で商品リストを眺めている時、俺は起死回生の一手を発見する。

これを発見した時に思わず「うお!」と変な声を出したため、悲しそうに肉を食う二人が俺の方を見て驚く。

俺はたった今発見した名案を二人に伝える。


「食材が無いんだったら自分で作ればいいんだよ!」


「遂におかしくなったか……」と可哀想なものを見る目で俺を見る二人だったが、商品リストのあるページを見せると二人も似たように興奮した様子になる。

俺が発見したあるものとは「食材の種」であった。

「食材の種」は、トラバドールの技能で設置できる「農場」で育てることで、数日間の時を経て「食材」へと生まれ変わるのである。

しかも、種は食材そのものとは異なり「非常に安価」で購入することが出来るのだ。


「ジャガイモの種が一人前で 200 コネクトか」


最も安く、最短2日間で栽培できる「ジャガイモの種」はパーティ全員分の種を購入しても 1200 コネクトである。

他にも「ニンジンの種」や「キャベツの種」などの野菜シリーズが豊富に取り揃えてあった。

「小麦の種」や「大麦の種」などの穀物類もあり、パンなんかも作れそうだなと思った俺である。

迷宮特有の不思議現象としては、「米の種」という謎のアイテムもあった。

埋めると数日で「米が生えてくる」らしい。


「残った1200コネクトで買ってみるか……」


一番安いジャガイモなら買えるということで、女子達に相談して種を購入することになった。

メニューから「アイテム購入」を開き、「ジャガイモの種」を6つほど買ったあとで、あることに気づいた。


「俺のスキル習得リストに「農場設置」なんてないぞ?」


まさかのトラバドールの専用技能である「農場設置」がスキル習得リストに存在しなかったのである。

その状況に焦る一同だったが、「農場設置」はおろか、何一つ習得可能技能がないことに俺は気づき、ある一つの仮説を打ち立てる。

その仮説とは「レベルアップすることで覚えられるスキルが増える」というものであった。

現在レベル1の俺は、既に習得可能技能をすべて覚えてしまっているのではないかということである。

先ほどの戦闘で貯めたスキルポイントは 2450 ほどあるので、習得技能リストの端の方にある「レベルアップ」に関してパーティで会議する。

どうやら1から2へレベルアップするために必要なポイントは 2000 ポイントであるようなので、現状でもレベルアップが可能であることが分かった。


「レベル2で「農場設置」を覚えられる保障は無いがどうする?」


賭けのような側面を強く持つレベルアップだが、現在発生している食糧問題を解決する可能性がある以上、パーティの意見としては「レベルアップしろ」ということであった。

「師匠は能力値も低すぎるのでちょうどいいでしょう」とエイレネが言う。

確かに今の俺は魔物の一撃を食らったら即死する自信がある。


「それじゃあレベルを上げるぞ?」


一応パーティに確認を取った俺は「レベルアップ」の項目を選択した。

すると、パーティ内で「クロノのレベルが2になった!」とシステムアナウンスがはいった。

どんな風に能力が変わったかを確認するためにステータス画面を開く。

ステータスは次のように変化していた。


■ステータス■

名前:クロノ

迷宮ロール:トラバドール

Lv: 2


●基本能力値●

力  : 1 → 3

魔力 : 1 → 3

体力 : 1 → 3

精神力: 1 → 3

素早さ: 1 → 3


特性:

・「旅の心得」:戦闘終了時に得られるスキルポイントが1.5倍になる。(トラバドールの固有スキル)

・「トラバドールの心得」:「HP+10」「防御力+5」(トラバドールの固有スキル)

・「リーダーの資格」:迷宮内のシステム多数決で対立意見と同数票になった場合、リーダーの意見が優先される。

・「クロノスの系譜」:スキル習得で「迷宮時空魔法」の項目にある魔法を習得できるようになる。(特殊スキル)


習得技能:

・「キャンプ設置」:迷宮内でキャンプを設置する。

・「食品加工」:「食材」を加工することができる。

・「水道設置」:水道の蛇口を設置することが出来る。

・「探索地図」:迷宮内の構造が把握できる地図を作成する。

・「ファイア」:下級攻撃魔法。対象一体に火球をぶつけて攻撃。クールタイムは「10秒」。


●装備●

・「布の服」(防具)(Fランク):「防御力+1」

・「三角帽子」(防具)(Fランク):「防御力+1」

・「袋」(防具)(Fランク):「防御力+1」


●合計能力値●

最大HP: 20 → 40

攻撃力: 10 → 30

魔法力: 10 → 30

防御力: 13 → 23

精神力: 5 → 15

素早さ: 5 → 15


どうやら、数値上では基本能力値がそれぞれ2ずつ上がっているようである。

これでようやく他の生産職並みの耐久力を手に入れた俺であった。



第38話時点でのステータス



■ステータス■

名前:ルーク

迷宮ロール:ナイト

Lv: 1


●基本能力値●

力  : 4

魔力 : 1

体力 : 5

精神力: 2

素早さ: 2


特性:

・「盾の心得」:盾で攻撃を受ける時「防御力+20」(ナイトの固有スキル)

・「シールドガード」:盾を構えて「前衛」「中衛」「後衛」の味方を敵の攻撃から守る。盾の耐久値が無くなると一定時間盾を使えなくなる。(ナイトの固有スキル)

・「ナイトの心得」:「HP+50」「防御力+20」「攻撃力+10」(ナイトの固有スキル)


習得技能:

・「シールドバッシュ」:「シールドガード」中に発動可能。「1レンジ以内」の敵を盾で殴り「スタン状態」にする。クールタイムは「5秒」。


●装備●

・「金属の剣」(右手)(Fランク):「攻撃力+5」

・「鉄の盾」(片手盾)(Eランク):「防御力+15」

・「金属の鎧」(防具)(Fランク):「防御力+7」


●合計能力値●

最大HP: 100

攻撃力: 55

魔法力: 10

防御力: 67

精神力: 10

素早さ: 10



■ステータス■

名前:エイレネ

迷宮ロール:プリースト

Lv: 1


●基本能力値●

力  : 1

魔力 : 5

体力 : 2

精神力: 4

素早さ: 3


特性:

・「回復の心得」:「回復魔法」のクールタイムを30%カットする。(プリーストの固有スキル)

・「プリーストの心得」:「HP+10」「魔法力+10」「精神力+10」(プリーストの固有スキル)


習得技能:

・「ヒール」:下級回復魔法。対象一人のHPを回復する。クールタイムは「20秒」。

・「ファイア」:下級攻撃魔法。対象一体に火球をぶつけて攻撃。クールタイムは「10秒」。


●装備●

・「布のドレス」:(防具)(Fランク):「防御力+3」「精神力+5」

・「聖職者の帽子」:(防具)(Fランク):「防御力+2」「魔法力+5」「精神力+5」



●合計能力値●

最大HP: 30

攻撃力: 10

魔法力: 65

防御力: 15

精神力: 40

素早さ: 15


■ステータス■

名前:ラズメリノ

迷宮ロール:ファイター

Lv: 1


●基本能力値●

力  : 6

魔力 : 1

体力 : 3

精神力: 1

素早さ: 3


特性:

・「攻撃の心得」:「前衛」で攻撃する際に「攻撃力+20」

・「ファイターの心得」:「HP+20」「攻撃力+20」「素早さ+5」



習得技能:

・「スラッシュ」:対象一体を素早く切りつける攻撃で、「スラッシュ」に成功するともう一度通常攻撃を放つことができる。



●装備●

・「ロングソード」(片手剣)(Eランク):「攻撃力+15」

・「金属の小手」(防具)(Fランク):「攻撃力+2」「防御力+3」「素早さ+3」

・「布のスカート」(防具)(Fランク):「防御力+2」「素早さ+3」


●合計能力値●

最大HP: 50

攻撃力: 97

魔法力: 10

防御力: 20

精神力: 5

素早さ: 26


■ステータス■

名前:ミシュラ

迷宮ロール:マーチャント

Lv: 1


●基本能力値●

力  : 1

魔力 : 1

体力 : 1

精神力: 1

素早さ: 2


特性:

・「商売の心得」:魔物撃破時に獲得コネクトが倍になる。(マーチャントの固有スキル)

・「マーチャントの心得」:「HP+20」「防御力+10」(マーチャントの固有スキル)


習得技能:

・「アイテム購入」:メニューからコネクトを消費してアイテムを購入することが出来る。


●装備●

・「布のジャケット」(防具)(Fランク):「防御力+3」

・「ディアストーカー」(防具)(Fランク):「防御力+2」

・「黒いパイプ」(防具)(Fランク):「防御力+1」


●合計能力値●

最大HP: 30

攻撃力: 10

魔法力: 10

防御力: 21

精神力: 5

素早さ: 10


■ステータス■

名前:アンデルス

迷宮ロール:アルケミスト

Lv: 1


●基本能力値●

力  : 1

魔力 : 2

体力 : 1

精神力: 2

素早さ: 1


特性:

・「生産の心得」:魔物撃破時に「生産素材」を一定確立で手に入れることが出来る。(アルケミストの固有スキル)

・「アルケミストの心得」:「HP+20」「防御力+10」(アルケミストの固有スキル)


習得技能:

・「アイテム生成」:素材を利用してアイテムや設置物を作成することが出来る。


●装備●

・「革のエプロン」(防具)(Fランク):「防御力+5」


●合計能力値●

最大HP: 30

攻撃力: 10

魔法力: 20

防御力: 20

精神力: 10

素早さ: 5


■ステータス■

名前:クロノ

迷宮ロール:トラバドール

Lv: 2


●基本能力値●

力  : 1 → 3

魔力 : 1 → 3

体力 : 1 → 3

精神力: 1 → 3

素早さ: 1 → 3


特性:

・「旅の心得」:戦闘終了時に得られるスキルポイントが1.5倍になる。(トラバドールの固有スキル)

・「トラバドールの心得」:「HP+10」「防御力+5」(トラバドールの固有スキル)

・「リーダーの資格」:迷宮内のシステム多数決で対立意見と同数票になった場合、リーダーの意見が優先される。

・「クロノスの系譜」:スキル習得で「迷宮時空魔法」の項目にある魔法を習得できるようになる。(特殊スキル)


習得技能:

・「キャンプ設置」:迷宮内でキャンプを設置する。

・「食品加工」:「食材」を加工することができる。

・「水道設置」:水道の蛇口を設置することが出来る。

・「探索地図」:迷宮内の構造が把握できる地図を作成する。

・「ファイア」:下級攻撃魔法。対象一体に火球をぶつけて攻撃。クールタイムは「10秒」。


●装備●

・「布の服」(防具)(Fランク):「防御力+1」

・「三角帽子」(防具)(Fランク):「防御力+1」

・「袋」(防具)(Fランク):「防御力+1」


●合計能力値●

最大HP: 20 → 40

攻撃力: 10 → 30

魔法力: 10 → 30

防御力: 13 → 23

精神力: 5 → 15

素早さ: 5 → 15


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