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朝凪が連れていく  作者: 百瀬ゆかり
1/10

0 出逢い

この度は「朝凪が連れていく」をクリックして頂きありがとうございます。


こちらのサイトでの作品掲載は初めてなので仕様に慣れるまでは色々、かかるかもしれません。

よろしくお願いします。

とある島に赴任する前に悪い出来事はミルフィーユみたく重なって起きた。

残念なことに十坂明彦は不幸に見舞われた。

大型連休に予定してた旅行は突然キャンセルになり、学生時代から交際していた彼女に前振りなく振られる。原因は至って不明。

それから部屋に侵食していた相手の私物を大掃除みたく処分して気分が多少晴れやかに傾いていた時に通達された異動命令。どうやら田舎に飛ばされるらしい。


こりゃあ、好都合だ。

心機一転と受け取っていいんじゃないか。


その時の僕の心境は少しぶっ飛んでいた。

刺激の少ない環境に慣れて、振り返ってみるとかなり大きな断捨離をしたもんだ。付き合いがほとんどない人間の連絡先は消した。元交際相手のもだ。

それ伝の友人関係も削除した。余計なデータは容量の無駄遣いだ。


田舎の島へ移住の為に引越し準備をした時、こんなに部屋は広く感じたのかと明彦は首をかしげた。処分に困ったものは意外にも少なく、ダンボール複数であっさりと片付いた。

異動先の近くにある物件も条件も悪くない。

少し調べてみればその島は野菜と海の幸が美味しいと謳っていた、楽しみだ。


そんなこんなで都合の良いものに意識を向けて、新しい環境に溶け込むために仕事、生活、人付き合い。

ようやく心に余裕が持てた頃。

長い梅雨が明けて季節は夏に変わっていた。

蝉時雨をバックに竹林道を登っていくと視界いっぱいの緑から太陽光の白に塗り替えられて。



竹林道を抜ければしばらくは下り坂。

ペダルを漕がずとも車輪はカラカラと回っていく。

水平線に浮かぶ積乱雲を横目に生命溢れる黄色に目が奪われた。


小さな太陽がざわめく広大なひまわり畑。

夏の風物詩だなぁ、となんとなく眺めている時に僕の関心は黄色の中にいる白に突如として奪われた。



────あれは幻だったのだろうか。




太陽の花畑に微笑むその顔は何処か儚い。

都会でバラみたく着飾る女性とは比べ物にならないくらいに、その姿は浮世離れしていた。


今思えばそれは一夏の恋とも言えるかもしれない。それは人々の記憶から消え去ったとしても私の記憶からは永久に消える事はないだろう。


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