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おっさん、勇者と魔王を拾う  作者: チョコカレー
2章:子と弟子と
52/207

52:シェルのお悩み



 広すぎる訳でもなく、かと言って狭すぎる訳でもない丁度良い具合の広さを持つ部屋。そこは日当たりもよく、よく掃除をしている為埃も全くない。置かれている家具はベッド、机、棚と最低限の物で、その机の上には大量の紙束が積まれていた。それに囲まれながら白髪の美しい女性は椅子にもたれ掛かり、悩むように髪を掻いていた。


「困ったなぁ……」


 置かれている資料の一枚を見つめ、クルクルと羽ペンを回しながら白の大魔術師であるシェルリア・ガーディアンはそう呟いた。

 積まれている紙束はシェルがこの村に来てから調査した事を纏めた資料だ。大陸に侵入して来たベヒーモスについてのおかしな点や気付いた事など、果ては自分の予測も全て書き込まれている。

 これの写しをシェルは時折報告書と共に魔術師協会に送っているのだ。魔物達の妙な動きの真相を探る為、これらの情報は全て貴重な研究材料となる。これが今の大魔術師のシェルが行っている仕事であった。

 この調査をしている間はシェルはアレンと一緒に居られる為、とても楽しかった。その為膨大な情報を書き込まなければならない資料の写しの作業も彼女にとって何ら苦痛ではなかった。だがここ最近、その事についてある重大な悩みを抱えるようになってしまった。


「調査する事が……なくなっちゃった」


 小さくため息を吐いて天井を見上げながらシェルはそう呟く。その様子はとても悲しそうで、どこか諦めにも似た哀愁が漂っていた。

 簡単に言ってしまうとシェルの仕事は終わってしまったのだ。別に大魔術師である彼女は魔術の研究をするのが目的の為、しようと思えばする事はたくさんあるのだが、魔術師協会から依頼されていた調査の仕事は終わってしまった。つまりこの村に留まっている理由がなくなってしまったのだ。


「先生は優しいからこの村に居て良いって言ってくれてるけど、このままずっと居候を続ける訳にもいかないし……はぁ、どうしよう」


 本来ならこれで調査は終了し、お世話になった村の人達にお礼やささやかながらのお返しなどをして帰還するのが普通である。だが今回はいつもの調査とは少し違う事があった。調査先に恩師であるアレンが住んでいた事だ。

 シェルにとってアレンは尊敬すべき相手であり、自分が新米冒険者だった頃はよくお世話になった人である。故にシェルは彼の事を先生と呼んで慕った。アレンが冒険者を辞めたと知った時は胸が裂けるような思いを味わい、ろくに会話する事も出来なかった。真相を知った後は一番にアレンを探し、八年掛けてようやく見つけた。そんなシェルにとって特別な人がこの村に住んでいるのだ。離れたくないと思うのが普通である。

 だからこそすぐに纏められる調査の資料でも出来るだけ情報を多くし、余計な地形情報などを追加して出来るだけ調査の任務が長引くようにした。だがそれもとうとうネタ切れ。シェルは真っ白な紙を見つめ、弱々しく口元を引き攣らせた。


「……離れたくないなぁ」


 頬に手を当てて机の上に肘を付きながらため息交じりにシェルはボソリとそう本音を零した。

 究極的に言ってしまうとシェルはアレンと一緒に居たい。新米冒険者の時からシェルにとってアレンは太陽のような存在で、彼の傍に居ると気持ちが安らいだ。その想いは今でも変わらない。むしろ一度離れた分、より強くなった。だから今度こそ隣に立ち、彼と肩を並べて戦いたい。特に今は勇者のリーシャと魔王のルナをアレンは育てている為、その助けをしたいと願うようになっていた。

 シェルは自然と天井に手を伸ばした。まるで何かに祈るように、その細く長い指は空を切る。


「シェルさん何悩んでるの?」

「ひぇわっ……?!」


 突然後ろから誰かに声を掛けられ、シェルは思わず変な声を上げてしまう。慌てて乱れた髪を整え、後ろを向いてみるとそこには金色の長い髪を可愛らしいリボンで纏め、黄金の瞳をした可愛らしい少女が立っていた。綺麗な白いブラウスに青色のスカートを纏い、胸には青い羽のアクセサリーを付けている。そんな彼女の手の平には包帯が巻かれていた。彼女の名はリーシャ。その包帯の下に勇者の紋章を持つ世界を救う運命を背負う少女である。

 シェルはリーシャの顔を見て先程の独り言が聞かれていたかと恥ずかしそうに頬を掻いた。


「リ、リーシャちゃん……居たの?」

「うん。扉が開いてたし、何かシェルさんの声が聞こえてたから」


 空いている扉を指差しながらリーシャはシェルの質問に対して答える。彼女は慌てているシェルの様子を気にしていないのか、キョトンとした表情で黄金の瞳を転がしながらシェルの事を見つめていた。


「ひょっとしてお仕事中だった……?」

「あ、ううん、大丈夫。丁度終わった所だよ」


 シェルが仕事中だったのではないかと考えたリーシャは申し訳なさそうに顔の位置を低くしながらそう尋ねた。慌ててシェルは机の上にある紙を隠して手を振るい、仕事は終わったと嘘を吐く。


(終わったどころか、もう仕事自体も終わっちゃってるんだけどね……)


 汗を垂らして渇いた笑みを浮かべながらシェルはそう心の中で呟く。

 仕事がひと段落付いたどころか、依頼されていた仕事が終わってしまったのだ。最早やる事がないくらいで、暇を持て余す状態である。リーシャはその事に気づいているのかいないのか、何かを探るように首を傾げてシェルの事を見つめていた。リーシャは妙な所で勘が良い。シェルは不審な点を見せてしまったかと緊張でゴクリと唾を飲み込んだ。


「何か心配事でもあるの?私子供だけど相談に乗るよ」

「えっ……いや別に、心配事というか……えっと、その……」

「?」


 シェルが何かで悩んでいると思ったリーシャは心配そうにそう言い、子供の時分でも良ければ相談に乗ると拳を握ってはりきりながらそう言った。子供らしい可愛い仕草だが、自分が思っている事をリーシャに教えても良いのか分からないシェルは困ったように顔の前で手を動かしていた。

 しばらくシェルは悩んでいたが、結局リーシャに白状する事にした。普段は明るい性格で細かい事など気にしなさそうなリーシャだが、彼女は妙な所で鋭い時がある。今回だって既にシェルが悩んでいた所を見られてしまったのだ。明らかに何か思われている。それならばうじうじ悩んでいるよりいっそ白状してしまった方が楽だろう。シェルはそう考えた。そしてリーシャに今自分が悩んでいる事について語った。


「えーー!? じゃぁシェルさん帰っちゃうの?!」

「う、ん……まぁ、一応言われてた調査は終わったから、この村に留まる理由はもうないんだよね……」


 既に調査が終わり、シェルがいつでもこの村から離れられる状態だという事を知るとリーシャは本当に驚いたように目を見開き、信じられないとでも言いたげに眉を歪ませていた。


「で、でも父さんが寂しがるよ?ルナだってシェルさんに凄い懐いてるのに……」

「私も皆とは一緒に居たいよ。この村の人達はとても良い人達だし、居心地も良い……でも、いつまでも先生のお世話になる訳にはいかないから……」


 リーシャはシェルが帰る事を嫌がっているようであった。彼女にとってもシェルのような存在は姉的な立場である為、居なくなってしまうのは寂しいのだ。シェルだってこの村には居たい。リーシャとルナも本当の妹のように可愛いし、彼女達の才能の開花を見届けたいという思いもある。だが既に調査が終わっている以上、シェルがこの村に滞在し続ける理由はない。アレンだってシェルが理由もなくいつまでも居座るのは迷惑なはずだ。少なくとも彼女はそう考えていた。


「そんなの大丈夫だよ。シェルさんは家事の手伝いもしてくれてるし、ルナの魔法も見てくれてる。父さんも凄い助かってるって言ってたよ。ここに居て欲しいはずだよ」

「……でも……」

「お願い行かないでよー、シェルさんー」


 リーシャはあの手この手で何とかシェルを引き留めようとする。挙句の果てが抱き着いて駄々をこねるという何とも子供らしい手段であった。そんなリーシャを見てシェルは僅かに微笑み、彼女の頭をそっと撫でてあげた。撫でられていたリーシャは顔を上げ、おもむろに黄金の瞳でシェルを見つめる。


「それともシェルさんは何かやらなくちゃいけない用事とかがあるの?」

「いや……そういう訳じゃ」


 不意にリーシャは首を傾げながらシェルにそう尋ねた。

 シェルが村を離れようとする理由は何か別の目的があるからではと考え、質問してみたのだ。しかしシェルにはわざわざアレンが居るこの村を離れてまで果たしたい目的がある訳でもなく、むしろアレンを見つける事が目的だった為、フルフルと首を横に振るった。それを聞いてリーシャは安心したように笑みを浮かべる。


「だったら良いじゃん。この村に居てよー」

「う、う~ん……」


 それならば何ら問題はないとリーシャは明るく答えた。その純粋な言葉にシェルは困ったように頬を掻いた。

 確かにリーシャの言う通り村を離れる理由はないし、自分自身もアレンの傍に居たいと思っている。だが他人である自分がアレンの家庭にいつまでも居座ってるのは申し訳ないと考えているのだ。特にアレンの娘達であるリーシャとルナは勇者と魔王という世界の命運を分ける鍵と言える程重要な立場の子達である。そんな環境にただアレンと一緒に居たいからという理由だけで居座るのはやはりやましいとシェルは思ってしまったのだ。


「まぁ、私もすぐに村を離れる訳じゃないから……少し先生と相談してみる」

「うん! それが良いよ。父さんだったら絶対居て良いって言ってくれるもん!」

「そうかな……ふふ、有難うリーシャちゃん」


 一応リーシャを安心させる為にもシェルがその場しのぎでアレンに相談すると伝えると、リーシャはこれで問題は解決したと言わんばかりに手をパンと叩いた。彼女はアレンが絶対にシェルがここに住む事を認めてくれると思っているようだ。そう考えてくれるのはシェルも有難かったが、やはりそこまで自分に自信が持てない為、心から笑みを浮かべる事は出来なかった。







 光の届かぬ薄暗い森の中に弱々しい光の球が浮遊していた。どこかを目指すようにその光の球はフワフワと移動している。しかしその移動の仕方は定まっておらず、右へ行ったり左へ行ったりと安定していない。まるで傷を負った動物のようにその光は輝かしさすら失っていた。

 やがて光の球は小さな泉へと辿り着く。ほの暗いその場所で光の球は形を変え、薄桃色の髪を長く伸ばし、綺麗な容姿をした美女へと姿を変えた。薄い布で身体を覆い、背中からは光の翼を生やした異様な姿。それは明らかに人間とは別のものであった。


「ッ……うぅ」


 彼女は精霊の女王。精霊達の中でも一番地位が高い存在であり、強大な力を持つ存在。かつては前勇者に力を貸し、魔王討伐に大きく貢献したと言う。しかもそんな彼女も今では弱り果て、発光している身体の光は弱々しく、その美しい顔にも影が差していた。

 皮肉な事にこうなったのは本来精霊の女王が守護するべき相手である勇者のせいであった。

 どうやら今回の勇者は今までの勇者達とは考え方が違うらしく、あろう事か宿敵である魔王とも共に暮らしているという信じられない事をしていたのだ。その歪みを正す為にも彼女は勇者の元へ向かったのだが、結果は返り討ち。自身の身体は傷つき、姿を維持するのも困難な程になっていた。故に身体を休める場所を探しながら移動を続け、この暗い森へとやって来たのだ。

 精霊の女王は表情を歪ませ、忌々しそうに自身の腕を掴んで強く握り締める。女王である自身がこんな惨めな姿になっている事に強く不満を抱いていた。するとそんな彼女を嘲笑うかのように辺りに薄っすらと霧が現れた。それを見て女王はハッと顔を上げて辺りを見渡す。


「クスクス、随分と派手にやられたねぇ。精霊の女王ちゃん」

「貴方は……っ!?」


 どこからともなく男のからかうような笑い声が聞こえて来る。それを聞いて女王はとある木の上を見上げた。するとそこには風変わりな青年が木の枝に立っていた。

 サラサラとした薄緑色の髪を眉まで伸ばし、細い目に口元は常に笑みを浮かべている。人当りの良さそうな笑顔だが、どこか怪しい雰囲気も併せ持つ不気味さを持ち、手を隠す程長い袖の民族衣装のような服装を身に纏っていた。奇妙な模様も描かれ、黒の線が入っている。何よりも背中からは虫のような四対の羽が生えており、その時点で人間とは違う生き物である事を物語っている。そんな青年の事を見て精霊の女王は信じられないとでも言わんばかりに目を見開いた。


「妖精王……!!」

「久しぶりだね。君がそんな姿になってるとは思いもしなかったよ」


 かの者の名は妖精王。妖精族を束ねる長であり、かつては精霊の女王と同じく勇者に魔王を打ち倒す力を授けた存在。しかし真面目な精霊の女王とは違い妖精族は少々悪戯好きな所があり、森に隠れ住んでいる事もあって人々とは壁がある人間側も妖精は妙な生き物として認識していた。要するに妖精王という男は少々厄介な性格をした者だという事だ。流石の精霊の女王もそんな奴を相手にしたくはない。顔見知りという事もあって彼がどんな人物なのかは知っていた。だが同じ勇者を守護する存在として、傷を負った今の状況では彼に頼るしかないと、精霊の女王は考える。そんな思惑中の彼女に妖精王は軽口でも叩くように話し掛けた。


「まさか勇者が魔王と手を取り合うとはねー。流石の僕もびっくりしたよ」

「あ、貴方……!? 勇者様の存在に気づいていたの!?」

「君が動き出した辺りにね。探すのに苦労したよ。ピクシー達に探させたんだけどあの子達ってひ弱だからさー、魔物のいる森は探してなかったんだよね」


 何でもないかのように妖精王は手を振りながらそう言う。

 精霊の女王が小精霊達を使って勇者を探させたように、彼もまた自分の部下であるピクシー達を使って勇者を探させたのだ。そしてこの様子だと精霊の女王が勇者を捉えようとしたのをピクシーを通して伺っていたらしい。

 その言葉を聞いて精霊の女王は驚愕の表情を浮かべた。自分が必死になって調べた情報を世間話のように軽く話し、勇者と魔王が協力しているという事実すら気にも留めない様子でいる。その姿に同じ勇者を守護する存在として疑問を感じずにはいられなかった。だが、今の自分には誰かを頼るしか手段はない。女王は藁でもつかむ思いで話を続けた。


「だ、だったら話は早いわ。貴方も勇者を守護する存在なら分かるでしょう?勇者様をあの下劣な男から……」

「君は本当に馬鹿だねぇ」

「!!?」


 勇者が魔王と手を取り合うなど断じて許されない事である。魔族は滅ぼすべき種族であり、その一族の王である魔王は絶対に生かしてはおけない存在だ。その魔王を匿い、更には勇者も洗脳しているあの男も始末しなければならない。その思想に囚われている精霊の女王は妖精王の訴えかけるが、彼は冷たい笑みを浮かべ、鋭い瞳を彼女に向けた。


「自分が何で勇者ちゃんに拒絶されたか分かってないのかい?本来勇者を守護すべき君は彼女の思いを踏みにじり、彼女の最も嫌だと思う事をしたんだよ」


 妖精王はピクシーを使ってリーシャやルナ、アレン達の生活の様子を伺っていた。勇者を見つけたらすぐに自分の元に引き込もうとした精霊の女王とは違い、まずは勇者と魔王がどのような関係なのか、アレンが何を以てして勇者と魔王を一緒に育てているのか観察する事にしたのだ。その結果、何故リーシャが精霊の女王を拒絶したのかを理解し、妖精王は彼女をたしなめた。


「で、でも私は……勇者様の為に……!」

「その勇者ちゃんが争いを望んでいないんだよ。魔族を憎む君と違ってね」


 精霊の女王は首を振りながら訴えかけるように胸に手を当ててそう叫んだ。自分は勇者の為に行動したのだと自分の行いを正当化しようとした。しかし妖精王はそれを聞き入れない。彼は木から飛び降り、女王の前へと降り立った。


「君は勇者ちゃんに自分の思想を押し付けようとしただけだ。考えの強要は君が嫌う魔族がしてた事じゃないのかい?」

「……ッ!! ち、違うっ……私は……」


 妖精王の言葉が胸に突き刺さり、精霊の女王は現実を受け入れられないように項垂れて頭を抱えた。フルフルと弱々しく顔を振り、まるで幽霊に怯える子供のように震えている。そんな彼女は妖精王は変わらない笑顔で見下ろしていた。


「大丈夫だよ、深呼吸して……まずは傷を癒そう。女王ちゃんに今必要なのは休息だから」

「……う……ぁぁ」


 震えている精霊の女王に妖精王は姿勢を下げて近づき、優しく肩を撫でながらそう言葉を掛けた。先程とは違って冷たかった笑顔は優しいものとなる。だがその瞳だけは優しさには包まれておらず、ただ静かに精霊の女王の姿を捉えていた。鋭い鞭と甘い言葉、それを巧みに扱いながら妖精王は精霊の女王を再起不能にさせる。今では彼女は恐怖に怯える子供のようであった。そんな彼女を優しく抱き寄せ、頭を撫でながら妖精王は口元を歪に引き攣らせる。


「安心して。君は僕の言う通りにすれば良いんだ。そうすれば勇者ちゃんとの関係も修復させてあげる……その代わり、色々聞かせてもらうよ」


 妖精王の言葉は弱っている女王にとって甘いものだった。自分が願っていた目的が否定され、手段も間違っていたと証明され、自分は何の為に存在しているのかと自身を見失っている彼女にとって、手を差し伸べてくれる妖精王は例え別の目的があると分かっていても大きな支えだったのだ。故に自身を見失わないよう、自身の大切な何かが折れてしまわないよう、彼女はその手に縋りつく。

 女王はただ小さく頷くしかなかった。最早彼女には何の抵抗力もない。悪戯好きの妖精に、頭を垂れる事しか出来ないのだ。その様子を見て妖精王は満足そうに屈託のない笑顔を浮かべた。そして細い目を静かに光らせ、ある事をポツリと零す。


「……それに、〈あの魔術師の子〉もちょっと気になるからね」


 零れた言葉は精霊の女王の耳には届かず、霧の中へと隠れていく。そのまま薄かった霧は深く二人を包み込み、霧が晴れた時にはそこにはもう彼らの姿はなかった。


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[気になる点] アレンも、いつまでも居ていいって言ってた気がするけど覚えてないのかな
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