33:ツナガリ
お面祭りは盛り上がり、中央では太鼓を叩いているダンが派手なパフォーマンスを披露している。村人達はそれを見て楽しみ、リーシャとルナもお小遣いで買った村のお菓子を手にしながら祭りを楽しんでいた。その途中、ふとルナは足を止めた。肌がピリピリとし、何か不穏な気配を感じ取ったのだ。
「……?」
「どうかしたの?ルナ」
突然何もない所で足を止めたルナの事が気になり、リーシャも立ち止まってルナの方を振り返る。ルナは妙な気配がどこからするのかを探るように辺りを見渡した。視界はお面を被った村人達に覆いつくされ、中々探り当てる事が出来ない。しばらくするとその気配が森の方からする事にルナは気が付いた。
(この気配は……シェルさんがベヒーモスの死体を調べてる時に感じた魔力と同じ……という事はまさか……?)
覚えのある気配にルナはそれがシェルと一緒にベヒーモスの死体を調べている時に感じた魔力である事を思い出した。シェルのように細密な解析魔法は使わなかったが、それでもその強烈な気配から同一人物の魔力であると推測する。という事は、森に魔族が潜んでいるという事だ。
ふと気になってルナはアレンとシェルの姿を探す。自由行動を許されていたので全然気にしていなかったが、よく見たら村人の中にアレン達の姿が見当たらなかった。何やら嫌な予感を感じ取り、ルナはお面を横にズラして焦りの表情を浮かべる。
「不味いかも知れない……」
「え、何が?」
「森から、魔族の気配がする」
「……ッ!」
ポツリと言葉を零し、ルナは小声で森に魔族が居るかも知れない事を伝えた。するとお祭りを楽しんで顔が緩んでいたリーシャも険しい顔つきになり、思わず持っていたお菓子を落としてしまった。しかしリーシャは気にせず、黄金の瞳を揺らしながらルナの事を見ていた。
「それは、こっちに向かって来てる?」
「ううん。森の中に居る……」
「だったら村に来る前に何とかしよう。数は何人?」
「多分、一人だと思う。でも分からない……距離があるからぼんやりとしか感じ取れないの」
情報を聞くとリーシャは考えを纏め、どうするべきかを思案する。しかし彼女の表情は明るくはなかった。何故なら今の彼女は武器を持っていない。祭りの日にわざわざ剣を持ち歩く事は出来ず、アレンと違ってリーシャは聖剣を家に置いて来てしまったのだ。流石のリーシャでも武器なしで魔族に挑むのは躊躇を覚えた。それを見るとルナは勇気を持って進言した。
「私が先に行く……森の中なら抜け道を知ってるから。それに相手の目的が分からないし……様子を見る。その間リーシャは聖剣を取りに戻って」
「ッ……分かった。でもくれぐれも無理しないでね。ルナ」
「分かってる。普段のリーシャもそれくらい慎重だと良いのに」
ルナがそう作戦を伝えると最初はリーシャは乗り気ではない表情だったが、時間がない事とそれが最善であると判断し、仕方なく顔を縦に頷かせた。
そうして作戦が決まるとリーシャは走り出し、人混みの中をすり抜けながら家へと戻った。ルナも気を引き締め直し、家の陰に隠れて柵を乗り越え、森の中へと入って行った。すると草むらの中から待っていたようにクロが現れ、ルナを呼ぶように鳴く。
「クロ、案内お願い」
「ワフ!」
ルナがそうお願いするとクロは力強く吠え、森の奥に向かって走り出した。夜である事からその道は薄暗くどこかジメジメとした恐ろしい雰囲気を出していたが、ルナは恐れる事なく速足でその道を駆けた。
◇
硬い葉が生えた芝生の上を転がり、アレンは地面に伏せる。視界が漆黒の炎で覆われ、炎自体からは熱さを感じないのに身体の奥からジワジワと焼かれるような感覚が広がる。意識が朦朧とする中アレンは何とか手の平を地面に付け、大量の魔力を流し込んだ。身体から魔力が抜けていき、次第に煉獄の炎の苦しみから解放されていく。
「はぁっ……はぁっ……」
何とか起き上がれるまで回復した後アレンは顔を上げてレウィアの姿を探す。一緒に森の奥まで転がって来た為、すぐ傍に居るはずだ。そう思って辺りを見渡していると、アレンの眼前に黒剣が突き付けられた。
「……ッ!」
「中々やるね、おじさん。でも残念。魔剣の所持者がその魔剣の能力の対策をしていないと思った?」
アレンの目の前では無傷のレウィアの姿があった。確かに漆黒の炎に飲み込まれたはずなのにその炎はなくなっており、何もなかったかのようにその場に佇んでいる。余裕の表情と共にレウィアはアレンの事を見下し、暗い笑みを浮かべた。そんな彼女の黒衣が蠢き、煙のようにユラユラと揺れながら形を歪ませた。それを見てアレンはある事に気が付く。
「闇魔法……影を身体に覆っていたのか……」
「正解。私の服には闇魔法で上から影を纏わせている。もしも誤って炎を浴びたとしても影が盾となり、燃え移る前に影ごと払う事が出来る」
アレンが予測した事を口に零すとレウィアは一度剣を引き、クルクルと剣を回しながらそう答えた。黒衣を指で摘まみ、引っ張ってみると煙のように影が伸びて来た。
「でも流石に驚いたよ。まさか自分ごと炎を浴びて突っ込んでくるなんて……おじさん歳の割には無茶な事するね」
剣を指で撫でながらレウィアは感心したようにそう言う。決して侮っている訳ではなく、本当にアレンの事を見直したようだ。しかしアレン自身は捨て身の作戦も失敗し、魔力もすっからかんになってしまった為、これからどうするべきかを必死に頭の中で考えていた。
そんなアレンの心境を見透かすように、漆黒の瞳でレウィアはアレンの事を見つめる。そして黒剣をゆっくりと振り上げ、無言で死刑宣告を告げる。アレンの表情は絶望に染まる。このまま終わってしまうのか、リーシャとルナの事を守れずに終わってしまうのか。そんな後悔と共に、彼は顔を俯かせた。
「うん、まぁ……合格かな」
チャキンと剣が鞘に収まる音が響く。思わずアレンが顔を上げると目の前ではレウィアは黒剣を腰の鞘に収めていた。少しくたびれたように小さな欠伸をし、彼女は肩をほぐすように片手で揉む。
「……どういうつもりだ?」
何が起こっているのか分からず、アレンは目を戸惑いの表情を浮かべながらそう尋ねる。
てっきりこのままレウィアは黒剣を振り下ろし、アレンを始末した後は勇者と魔王の、リーシャとルナの所へ向かうのだと思っていた。だがどういう訳か目の前の黒衣の少女は黒剣を収め、まるで一仕事終わったかのように警戒心を解いている。それがアレンには理解出来なかった。するとレウィアは肩を回し、無警戒のまま答えた。
「ちょっと試しただけだよ……私もね、無駄な殺しとかはしたくないの。周りからは魔王候補なんて呼ばれてるけど、魔王の座自体にはそこまで興味はないんだ」
先程の敵意を剥き出しにしていた時とは違い、今は普通の少女のようにレウィアは語り出した。
アレンはまだ剣を持っている為、いつでも斬り掛かる事は出来る。その事は彼女も分かっているはずなのに、こんなにも無警戒なのは例え武器が無くてもアレン程度なら対処出来る自信があるからか、それとも本当に戦う気がないのか。アレンは迷うようにレウィアと持っている剣を交互に見た。
「君の目的は……勇者と魔王を殺す事じゃなかったのか?」
「もしもおじさんが良からぬ事を企んでたらそうするつもりだったよ。ただでさえ大陸を消し去るような力を持った存在を二人も育ててるんだからね……だからおじさんの意志を知る必要があった」
レウィア曰く、最初から勇者と魔王を殺すつもりはなく、その二人を育てているアレンが何を企んでいるのかを知る為にこんな事をしたらしい。確かに端から見たら勇者と魔王を育てているという異常過ぎる状況でもある為、アレンはそれに頷くしかなかった。
「だが勇者は君達にとって天敵のはずだろう?殺そうとするのが普通なんじゃないか?」
「それはおじさんにも言える事だよ。おじさんは人間なのに魔王を殺さないでいる。私も同様、魔族だけど勇者を殺すつもりはない。殺したら魔王の子がうるさそうだしね」
アレンが最も疑問に思っていた事を尋ねると、レウィアは髪を掻きながらそう答えた。そして急に暗い表情になり、何かを思い詰めているように拳を握り絞めた。
「……今の魔王城はね、凄く酷いよ。魔王候補達が魔王の座に就く為に競い、争い、手柄を立てようとする……同じ種族なのに、裏では同胞同士が血を流し合っている……」
レウィアはどこか悲しそうにそう言う。元から儚げな雰囲気を持っている彼女が益々暗くなり、本当に幽霊のように見える。そして前髪が目に掛かりながら彼女は自分の握り絞めている拳をそっと見つめた。
「私はね、うんざりなんだ。日々争い合う同胞達に……私も大昔のように〈大陸戦争〉が再び起きるような事は望んでいない。これ以上国が滅びていくのを見たくない」
魔族側にとってもかつて勇者と魔王の戦いによって起こった大陸戦争は恐怖の象徴であった。
人智を超えた存在同士がぶつかり合い、大陸その物が消えてしまう。そんな事がまた起こるのは魔族達にとっても嬉しい事ではない。だからレウィアは勇者を殺さないし、魔王を連れて帰ろうとはしないのだ。
「だから俺が何を企んでいるか知りたかったと?魔王と勇者を育てて何をしようとしているのか知りたかったのか……?」
「うん、そうだよ。結果おじさんはただのお人好しだって事がよく分かった。損しそうな性格してるよね。おじさん」
「……余計なお世話だ」
アレンが恐る恐る尋ねてみるとレウィアは悪戯っぽく笑いながらそうアレンを評価した。損をしそうな性格という言葉にアレンは顔を顰め、少し嫌な思い出がある為前向きに受け入れる事が出来ない。痛い所を突かれたような気分だった。
「けど、だからと言って私を味方とは思わない事だね。魔王が混乱を招く根源である事は変わりない……他の魔王候補は私みたいに優しくはないよ?」
レウィアの言葉にアレンはどこが優しいのかと尋ねたかったが、彼女の真剣な瞳を見てそんな事も言ってられなくなった。恐らく彼女は今回本当に手を抜いていたのだろう。現に彼女は膨大な魔力を持っているのに戦闘中攻撃の為に魔法を使う事はなく、煉獄の剣で拘束して来ただけだった。レウィアが最初から本気でやっていればすぐに首を刈られていたかも知れない。そして他の魔王候補だったらそれを躊躇せずやって来るという事だ。
「さてと……流石に私もそろそろ疲れちゃった」
突然レウィアは小さく欠伸をしてそう言った。大分気の抜けた表情になっており、これだけ見ると普通の女の子だ。先程の恐ろしかった彼女が嘘のようである。
「これ以上用もないし……行こっかな。もう会う事はないかも知れないけど。大魔術師のお姉さんには楽しかったって言っておいて」
「ま、待ってくれ……!」
伝えたい事だけ言い終えるとレウィアは背を向けてその場から去ろうとした。それを見てアレンは慌てて彼女を呼び止め、手を突き出したまま気になっていた事を口にした。
「一つ教えて欲しい……君は魔王が人間の大陸に居る理由を知っているんじゃないか?勇者と魔王は同じ森に捨てられていた……何か知っているんだろう?」
アレンが気になっていた事、それはリーシャとルナの出自であった。二人は山の森の中で偶然見つけた。だがその時の様子から赤ん坊だった二人は誰かしらの手でそこに置かれていた。普通に考えて勇者の赤ん坊を拾う事すらあり得ない事なのに、それが魔王まで。流石のアレンでも二人が勇者と魔王なのだと確信を持った今、それをただの偶然と片付ける訳にはいかなかった。だから魔族のレウィアなら何か知っているのではないかと望みを賭けたのだ。しかし、真っ黒な髪をなびかせながらレウィアは横顔を見せて人差し指を口元に当て、静かに微笑んだ。
「それはおじさんが自分で調べる事……だよ」
望んでいた答えは与えてくれず、意地悪な笑みだけ残すとレウィアは霧のようにその場から居なくなってしまった。闇の中に溶け込んだのだろう。アレンももう追跡する事は出来ず、呆然とその場に立ち尽くす。ふと天を見上げれば、先程まで美しく輝いていた月の光が弱まり、鈍く光っていた。冷たい風が吹く。それと同時にアレンも小さくため息を吐いた。
◇
暗い森の中をレウィアは歩いていた。影に覆われた黒衣を身に纏いながら彼女は闇に溶け込むように歩いている。辺りからは魔物達の不気味な鳴き声が聞こえてくるが、威嚇や警戒の鳴き声を上げるだけで誰もレウィアの事を襲おうとはしなかった。全員本能で分かっているのだ。レウィアがどれだけ恐ろしく、残忍な魔族であるかを。彼女の持つ黒剣から幾つもの血の匂いがし、彼女の瞳は周りの魔物達の事など眼中にないと言わんばかりに漆黒に覆いつくされている。彼女は迷いなく木の根が多い足場の悪い道を歩いていた。
そんな彼女の前に、ガサリと音を立てながら一人の少女が現れた。レウィアと同じく真っ黒な髪に漆黒の瞳を持った可愛らしい少女、ルナであった。
「……あっ」
ルナは足が滑ってしまったのか、はたまた走っている途中で偶然レウィアと遭遇してしまったのか。しまったと言わんばかりにぽかんと口を開き、固まっていた。そんなルナを見てもレウィアは動揺する事なく、ただ静かにルナの事を見ていた。魔王である事を知っているはずなのに、魔王候補のレウィアは何の感情も持たない。ただ目の前にルナが居る事をあるがままに受け入れていた。
「……こっ、こんばんは」
「ええ、こんばんは」
混乱しているのかルナは緊張して上ずった声になりながらそんな挨拶をした。明らかに不審な態度であったが真面目なルナの為、ついそんな挨拶をしてしまったのだろう。そんなぎこちのない挨拶でもレウィアはそっと優しい笑みを浮かべ、わざわざお辞儀をして挨拶を返した。
「あ、貴方は……魔族っ、ですよね?」
どうやら話はしてくれるらしい魔族だと判断したルナは試しに質問してみる事にした。
魔族と言えど相手が自分の事を魔王だと分かっているかは分からないし、魔王だと分かっていたとしても敵意を向けたり連れ去ろうとする素振りも見れない。ならある程度意思疎通は出来るはずだ。そう考えてルナは少しでも自分に関わる情報を得ようとした。
「そうだよ。名前はレウィア……貴方は?」
「えっ……あ、ルナ……です」
もちろんレウィアはルナの名前を知っている。既に何日も前から彼女は村の様子を伺っていたのである。だが自己紹介とはとても重要な事だ。名前を互いに明かし合う事で心の距離を近づかせ合い、警戒心を解く。そういう重要な儀式なのだ。
「あのっ……私が魔王だって事、気付いてますよね……?」
「もちろん、魔王様」
「じゃあっ……私を連れ去りに来たか、それとも殺しに来たんですか?」
ルナは恐る恐るそう質問し、レウィアが自分の事を魔王だと見抜いている事を知る。予想はしていたがいざ目の前の魔族が自分の事を魔王だと知っていると思うとルナも何故か恐怖を抱く。何かされるのではないか?そんな不安を抱き、更に質問を続けた。するとレウィアはまた優しい笑みを浮かべ、腰を下ろすとルナ同じ目線で語り掛けて来た。
「ご安心を、魔王様。私はただ様子を見に来ただけ……我らの主である魔王様が大切に育てられているかを確認しに来ただけだから」
本当は他にも色々確かめに来たのだが、今はルナを安心させる為にもレウィアはそう伝えた。とは言っても信じてもらえるかは分からないし、話だけ聞けば怪しさは多い。だが少なくとも敵意がない事だけはレウィアも伝えたかった。
「大切に育てられているか……?」
「うん、そう。良かったね魔王様。貴方のお父さんは貴方が魔王だと分かってても育てようとしてる、とても勇気のある人間だよ」
「……ッ!」
ルナはアレンの事まで言われて明らかに動揺した表情を見せた。
ルナが長年気になっていた事。それはアレンが自分とリーシャの正体を知っているのかという事。その疑問を目の前の魔族の少女レウィアは簡単に明かしてしまったのだ。ルナは戸惑い、何を質問すれば良いのか分からなくなる。そしてふと、思い出したかのように彼女は震える口を開いた。
「貴方は……何者なんですか?」
名前を問うたのではない。魔族である事を問うたのでもない。レウィアという少女がどのような存在で、何が目的なのかを知りたくてそう尋ねたのである。だがレウィアは、その疑問にも答えてくれる程親切ではなかった。
「それもいずれ分かるよ。ルナ」
最後にそれだけ言うとレウィアは立ち上がり、黒衣の影に飲まれるようにその姿を闇の中に溶け込ませた。魔力も完全に途切れ、ルナは追えなくなる。ぽつんと一人残されたルナは後からやって来たクロに不安そうに鳴かれるのであった。
再び闇に紛れたレウィアは先程よりも駆け足で森の中を歩いていた。そして追って来る者は誰も居ない事を確認すると歩みを遅め、ゆっくりと歩きながら小さくため息を吐いた。
「良かったのですか?正体を明かさなくて」
「……今はその時じゃないよ」
歩いていたレウィアの隣の木から突然漆黒の鎧を纏った魔族が現れた。男の魔族でしわが深く、大分歳を取っているようである。そんな突然現れた魔族の男を見てレウィアは驚かず、まるで最初からそこに居たのを知っていたように振舞った。
「ですが、もしも本当に魔王だと言うのなら……彼女はあの方の娘。であるならば貴方の腹違いの妹という事ですぞ。レウィア・ウル・ルーラー様」
「…………」
魔族の男の言う言葉を聞いてもレウィアは振り向かず、背を向けたまま歩き続けていた。その儚げな表情に何の変化も見せず、ただルナと同じ黒の瞳を闇で染めながら、影の道を歩き続ける。
「他の魔王候補方が知れば必ずやあの子を狙います……自身が魔王になる為に。魔王を討ち取ったという功績を得る為に、皆が狙うでしょう」
「……だからこそ、この場所が良いんだよ。遠い人間の大陸で、辺境の土地の村。この場所なら彼らも簡単には見つけられない」
魔族の男がどれだけ必死に訴えてもレウィアは歩みを止めるだけで、何かをしようとする事はなかった。ただそれを傍観し、受け入れる。彼女は寂しそうな瞳をしながらポツリと呟いた。
「今は様子を見る……あの子が幸せなままなら、それが一番良い事なんだから」
それだけ言うと今度こそレウィアは迷いなく森の出口の方へと進んで行った。魔族の男もこれ以上は何を言っても無駄だと判断し、諦めてレウィアの後を追う。こうして山の中からは二人の魔族が去って行った。その魔族の王である魔王は残されたまま。




