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おっさん、勇者と魔王を拾う  作者: チョコカレー
4章:魔王候補アラクネ
112/207

112:選択



 それからアレンが作戦会議を進めているとファルシアが合流して来た。避難所の確認は終わったようで、そちらは問題ない為アレンを探していたらしい。ファルシアの姿を見るとレウィアは慌ててフードを被り、素顔が見えないようにする。見た目は普通の少女だが、万が一魔族である事が大魔術師に知られたら大変だ。レウィアはアレンを壁にするように一歩下がる。


「……んで、誰なの?そのフードの子は」


 アレンからあらかたの説明を聞き、呪いの犯人にルナが攫われた事を知ったファルシアはふとアレンの後ろに隠れているレウィアの事を尋ねる。魔力は隠している為、何とか魔族である事には気付かれていないようだ。


「ああ、えっと……今回の事件に協力してくれる冒険者だよ。呪いの犯人について心当たりがあるらしい」


 アレンは後ろに居るレウィアの事をチラリと見た後、慎重に言葉を選んでそう説明する。横ではシェルとリーシャが緊張した様子でアレンの事を見守っていた。

 流石に魔族である事を教える訳には行かないが、だからと言って何の説明もしない訳にはいかない。アラクネを倒すという目的は一致しているので、とりあえずアレンは無難な答え方をしておいた。

 冒険者の中にはグランのように一定の標的を追い続ける依頼を受ける者や、長期に渡って魔物と戦う依頼を受ける者も居る。時には独自に活動する冒険者も居る為、今回の事件を追っている冒険者が居ても不思議ではない。


「ふ~ん……そうなの」


 ファルシアは顔を動かしてアレンの後ろに居るレウィアの事を確認した後、納得したのかそれとも追求する気がないだけなのか、そんな返事をして視線を背けた。とりあえずレウィアの事を怪しんではいないらしい。アレンはそれに対して安堵の表情を見せず、あくまでも平静な素振りで居たが、横のシェルとリーシャはほっと胸を撫でおろしていた。するともう大丈夫だろうと思ったのかレウィアはアレンの前に立ち、口を開いた。


「今回の犯人の目的は、恐らく軍勢の確保。奴は呪いで街の人を蜘蛛に変えて、自身の部下を増やすつもりなんだと思う」


 アレンの予測通りアラクネは大蜘蛛の呪いを使用しており、それによって人々を蜘蛛に変えて自身の配下にしていた。改めて聞かされて彼は表情を曇らせるが、それを聞いて何よりも驚いていたのはシェルとリーシャであった。


「なっ……じゃぁあの大量の蜘蛛は呪いで姿を変えられた人達って事?!」

「そうだよ。中には魔物も居ただろうけど。体格によって蜘蛛の大きさも変わるから」


 座っていたベンチの上から思わず立ち上がったシェルの質問に、レウィアはあくまでも冷静に頷いて答える。

 よりにもよって自分達が今まで戦っていたのが魔物にされていた人間達。それを聞いてショックを受けない者は居ないだろう。幸いなのがシェルは大魔法で多くの蜘蛛達を氷漬けにしただけの為、殺してはいないが。それでも人間同士が争っていたと知ると恐ろし過ぎる。


「奴はまず標的にした村や街に紛れ込む。見た目が幼い女の子だからね……村だったら迷子のフリをして、街だったら子供が一人増えても誰も気づかない。そうやって溶け込むの」


 次にレウィアはアラクネのやり口について説明する。その時の彼女の口調はいつもの抑揚がなく何を考えているか分からない喋り方ではなく、憎い相手の事を思う様に僅かに声色が低くなっていた。それだけ彼女にとってアラクネも嫌な相手なのか、もしくはルナを攫われて心配に思っているのか。


「……何でわざわざそんな面倒な事をするの?さっさと呪いを発動させれば全員を蜘蛛に出来るじゃない」


 レウィアの話を両腕を組みながら聞いていたファルシアはふと顔を上げ、そう疑問を口にした。するとレウィアは頷き、おもむろに手を胸元辺りまで上げる。


「理由は二つある」


 指を二本立てて強調するようにレウィアはそう言う。恐らくその二つの理由というのがこれからの作戦に重要な意味を齎すのだろう。アレンは聞き逃さないよう注意深くレウィアの話を聞く。


「一つはお姉さん達みたいな実力の高い魔術師等が居る危険性があるから。闇雲に呪いを使って居場所を特定されれば返り討ちにされるって考えてるんだよ。やる事はめちゃくちゃな癖に、考える頭はあるからね。あいつは」


 一本指を折り、忌々しそうにレウィアはそう言う。

 どうやら魔王候補のアラクネは今回のような大胆な侵略をする割には慎重な所があるらしい。要は村や街の戦力を予め確認してから行動に移るだけの思考力があるという事だ。

 今にして思えば図書塔に現れたのも塔の防衛機能を索敵する為だったのかも知れない、とシェルは気が付く。ルナとリーシャに接触して来たのも魔力や雰囲気が妙だと思っていたから。向こうはそうやって一つ一つ怪しい点を調べて行っていたのだ。


「もう一つは、呪いが簡単に使える代物ではないから。これだけ強大な力なんだから当然弱点もある」


 残っていた最後の一本の指を折り、レウィアはアレンの方に視線を向けながらそう言った。その言葉にアレンもようやく希望を持てそうな情報が出たと知り、僅かに目を輝かせる。


「それはどんな弱点なんだ?」

「まず呪いを発動する時無防備になる。他の事は何も出来なくなるから、その時に攻撃すれば奴は何の抵抗も出来ない」


 アレンの質問にレウィアは足元に転がっている瓦礫を脚で退けながら答える。アレンはその説明をしっかりと聞き、自分の頭の中に叩き入れる。アラクネを倒せる情報ならどんな小さな事でも聞き逃してはならない。そう熱い意気込みで彼は頭を必死に回転させていた。


「そして呪いを発動し終えるととても疲労する。立っている事すら出来なくなるくらいね。だから奴は慎重になってるの。もしも生き残りでも居れば、弱っている自分が狙われる可能性があるから……」


 ようやく見えて来た希望にシェルとファルシアの目にもやる気の光が現れる。強大過ぎる敵の全貌が明らかとなり、どうにか対処出来る存在となったからだ。だがまだ油断する訳にはいかない。例え情報が手に入ったと言っても恐ろしい敵である事には変わりないのだから。


「……じゃぁつまり、呪いを発動する直前か、呪いを上手く躱した後ならルナを攫った奴を倒せるってこと?」


 ここでずっとベンチに座って静かに話を聞いていたリーシャがそう質問した。意外にも彼女は冷静であり、ルナが攫われた事に動揺している素振りがない。ルナが無事である事を信じているのか、彼女の瞳に不安の色はなかった。レウィアはそんなリーシャの方を振り返り、少し彼女の事を見つめると頷いた。


「まぁ、大体そんな感じ」

「現実的じゃないわね。呪いを発動されたら私達はあっという間に蜘蛛になっちゃうのよ?呪いを回避出来るかも分からないし、そもそも犯人の場所も分かっていない。こうしている間にも呪いは発動するかも知れないわ」


 持ってた杖をカンと地面に突き付きながらファルシアはそう問題点を上げる。

 自分達は呪いの犯人の居場所も突き止めておらず、呪いを回避する術も持っていない。そんな状態では戦う事など到底出来ない。まだ避難した人々と一緒に街を出る方が得策と思える。少なくともファルシアは現状ではそう考えていた。大魔術師としても街の人は守らなければならない。その方法は何も呪いの犯人を倒すだけではない。撤退する事も重要なのだ。


「奴の居場所なら分かってる……」


 だがレウィアは急に方向を変えると皆から少し離れ、ある方向に視線を向けた。幾つもの建物が崩壊したその先には、傷一つ付いていない純白の塔が変わらず建っていた。


「図書塔……奴はあそこに巣を張って隠れている。呪いを発動する前に誰かが襲撃して来ないよう、蜘蛛の軍勢を従えて」


 レウィアはその塔を見つめながら拳を握り絞める。既にアラクネの居場所は分かっているのだ。そこにルナも捕まっている。本当なら今すぐにでも助けに行きたいが、彼女の都合上そう迂闊に行動する事は出来ない。もしも自分が人間の大陸に居たという痕跡を少しでも残せば、他の魔王候補達がこちらにやって来る理由として利用するかも知れない。慎重に動かなければならないのだ。そんな足枷が課せられているような今の自分の現状にレウィアは苛立つように唇を噛みしめた。


「呪い自体も、発動したら突然全員が蜘蛛になる訳じゃない。黒い霧みたいなのが発生して、それに触れたら変異しちゃうの。だからそれに触りさえしなければ呪いが発動している間も動く事は出来るし、呪いも本体を倒せば解ける」


 そっと握り拳を解くと、レウィアは落ち着いた口調で一番重要な事を説明する。

 これは一番嬉しい情報とも言えるだろう。呪いは何も無差別という訳ではなく、対象に触れたら変異するものらしい。これならレウィアの言う通り霧のようなものに触りさえしなければ戦う事は出来るし、街の人達を救える可能性も高くなった。アレンは希望を持ち、ぐっと剣の柄を握り絞めた。


「それなら、何とかなるかも知れないな」

「……まぁ、さっきよりは希望が持てるわね」


 アレンがファルシアの方を向きながら前向きにそう言うと、彼女も仕方ないと言わんばかりにため息を吐いて頷いた。ファルシアとしても呪いの犯人を捕まえられるならそれに越した事はない。可能性がある程度あるというならばルナの救出作戦に参加する価値はあると判断したのだ。


「ただし、それならシェルリアは作戦から外すべきでしょうね。負傷してる上に魔力もすっからかん。戦力になるとは思えないわ」

「なッ……!」


 突然のファルシアの主張にシェルはローブを翻し、声を上げて彼女の方に勢いよく向く。


「わ、私は戦えます! 傷だって塞がってるし、魔力だって魔法薬を飲めば……ッ」


 自分がまだ戦える事を証明する為に歩き出し、シェルはファルシアへと詰め寄る。しかしその足取りは不安定で、足元に転がっていた瓦礫に躓くとシェルは膝を付いてしまった。よく見ると彼女の指先は震えており、顔色もあまり良くない。万全な体調とはとても言えない様子だ。


「その身体じゃ足手まといよ。魔法薬だって失った体力を戻せる訳じゃないのよ?あんたは救助に力を使い果たしたんだから、大人しく後ろに下がってなさい」

「ッ……」


 膝を付いているシェルの頭をコツンと杖で小突き、ファルシアは戒めるようにそう言葉を掛ける。

 避難所で住人達から聞いたのか、ファルシアはシェルが救助活動をしていた事を知っているようだ。その時の疲労の事を考え、シェルがこれ以上戦うのは危険だと判断したのだろう。アレンもリーシャからその事を聞いていた為、ファルシアの意見に同意だった。


「ファルシアの言う通りだ。無理はしないでくれシェル。お前はもう十分戦ってくれただろ」

「せ、先生……」


 流石にアレンにまで忠告されるとシェルも反論する余地はないと思ったのか、悔しそうに拳を握って俯いた。責任感の強い彼女からすれば自分がルナを救出する作戦に参加出来ないのは余程許せないらしい。その気持ちはアレンも分かるが、それ以上にシェルに苦しんで欲しくないと願っているのだ。


「あんたはもしもの時の為に避難所の人達の所に居なさい。この作戦が失敗したら住人を守れるのはあんただけになるんだからね」


 シェルの事を見下ろしながら指を突き付け、ファルシアはそう言い聞かせる。

 避難した住人達はこの謎の事態に恐怖し、蜘蛛達の侵攻を恐れているのだ。最悪の場合は街を放棄しなくてはならない。そして作戦が失敗した時には被害を増やさない為にこの情報を他の村や街にも伝えなくてはならない。その役割は大魔術師である彼女達の仕事であった。シェルもその事は頭で理解しているのか、唇を噛みしめながら頷く。


「わ、分かりました……私は避難した人達の護衛に務めます」

「それで良いのよ。まぁアレンさんの事は心配しなくて良いわ。何せあんたより優秀な青の大魔術師の私が付いてるんだからね」

「ッ……それは、頼もしいですね」


 ファルシアはふんと鼻を鳴らしてここぞとばかりにシェルを挑発する。シェルは自分に落ち度があるが故に言い返す余地がなく、ファルシアの事をジト目で睨みつけながらかろうじて返事をした。


「話が纏まったところでもう一つ忠告しておく事がある。蜘蛛の目は呪いの犯人の目と繋がっていて、奴は蜘蛛を介してこちらを見つけ出す事が出来る。だから極力蜘蛛に気付かれないようにして」


 シェル達の様子を伺っていたレウィアは話が終わったところを見てふっと手を上げ、念を押すようにそう説明をした。


「はぁ?そんな事まで出来るの?ズル過ぎでしょ」

「そう……だから私は別行動させて欲しい。私なら蜘蛛達を殺さずに無力化する事が出来る」


 ファルシアが不機嫌な声を上げるとレウィアも同意し、ある提案を出す。そんな彼女の手はそっと自身の腰にある黒剣に伸びていた。

 煉獄の剣。対象の魔力を燃やす炎を纏う魔剣。確かにレウィアが所有する剣ならば魔物である蜘蛛達を苦しめるだけで殺さずに無力化する事が出来る。


「どうなの?アレンさん」

「え、ああ……彼女がそう言うなら、俺は問題ないと思うよ」


 レウィアの正体を知らないファルシアはアレンなら適切な判断が出来るだろうと考え、顔を向けて尋ねる。アレンはちょっと驚いてから考えるように顎に手を当て、すぐにレウィアなら大丈夫だろうと思って頷いた。


「有難う」


 アレンがレウィアと視線が合うと、彼女はフード越しにそうお礼を言った。その時の彼女の顔は僅かに笑っているように見えたが、フードの陰でよく見えない為、アレンは気のせいかと深く考えなかった。


「ふん……で、なに?まさかおチビちゃんも付いて来る気なの?」

「もっちろん! だって妹が攫われたんだよ?助けようとしないお姉ちゃんが居る?」


 大体の役割分担が決まったところでファルシアはずっと気になっていた事を口にした。それは先程からやる気満々の様子で純白の剣の柄を握っているリーシャの事であった。


「あのねぇ、いくら多少戦えるからと言って、これからとても危険な奴の所に行くのよ?流石にアレンさんも反対でしょ?自分の娘を危険な所に行かせるのは」

「えー、私だって戦えるもん! ね、父さん!」

「あー……えっとぉ……」


 急に話を振られてアレンは困ったように頬を掻く。

 確かにファルシアの言う通りリーシャを危険な所に連れて行く事には躊躇いがある。だかだからと言ってリーシャがルナを助けたいと思う気持ちも無碍にできない為、簡単に拒絶する事も出来ない。父親としてここはシェルと一緒に下がって欲しいと言うべきか、自分の小さい頃と性格が似ているリーシャの気持ちを汲むべきか、アレンは悩んだ。そして慎重に考えた後、彼はおもむろに口を開く。


「俺としては……シェルと一緒に避難所に行って欲しい」

「ええーー!」


 アレンの願いにリーシャは大層残念そうに大声を出す。横ではファルシアが満足そうに頷き、両腕を組んだ。だがアレンの言葉はまだ続いていた。


「ただ……リーシャが本気でルナを助けたいと思っていて、どんな事をしてでも救うって覚悟があるなら、俺はそれを止めようとは思わない」


 無気力に手をぶら下げ、アレンはどこか諦めたようにそう言う。その言葉を聞いてファルシアは信じられないとでも言いたげに怪訝そうな表情を浮かべ、対照的にリーシャはぱぁっと顔を明るくした。


「父さん……!」

「ちょっ……アレンさん、本気なの?」


 本当ならアレンも止めたい。もしかしたらリーシャも危険な目に遭い、アラクネに捕まるという可能性もある。そもそもリーシャとルナを街に連れて来なければこんな事にはならなかったのだ。ならばまた連れて行こうとすればより状況は悪化するかも知れない。そんな不安があると言うのに、アレンはどうしてもリーシャの事を拒絶する事が出来なかった。自身もかつては間違っていると分かっていてもその道を進もうとした。どんなに無謀で、どんなに危険でも止まろうとはしなかった。誰かに制止されても、止まる気などなかった。覚悟を決めた者にはどんな言葉を掛けても無駄なのだ。だからアレンはただ静かに願う。この選択が最悪の未来に進まない事を。


「別に……良いんじゃない?」


 そんな悩み苦しんでいるアレンに助け船を出すようにレウィアが話に入り込んで来た。背中は向けたまま顔を動かして視線だけアレンに向け、レウィアは静かに言葉を述べる。


「子供は親と一緒に居るべきだよ。それが一番安全で、安心出来る……どこか知らない所で危険な目に遭うよりは、常に一緒に居る方が対処出来るでしょ?」


 リーシャが勇者であるからてっきり反対すると思っていたが、意外にもレウィアはリーシャが同行する事に賛同的だった。と言うよりかはリーシャがアレンの傍に居る事を望んでいるようである。

 彼女はそれだけ言うと顔を背けて前を向いてしまう。もうその顔がどんな表情をしているかは分からない。だがアレンには彼女が少しだけ寂しそうに見えた。ただの気のせいかも知れないが。


「はぁ……まぁ私も、アレンさんが反対しないって言うなら何も言わないわよ。でも身の安全は自己責任で頼むわよ。後でぎゃーぎゃー言っても知らないからね」

「私そんなこと言わないよ! 大丈夫、ちゃんと父さんから剣術習ってるから!」


 ファルシアは諦めたようにため息を吐くとリーシャに背を向けてそう忠告だけ言う。するとリーシャは問題ないと言わんばかりに元気な声で自身の胸を叩いた。

 とりあえずこの意気込みなら大丈夫だろうとアレンもリーシャの事を信じる。そして塔の方向を向いているレウィアの元へと歩み寄った。


「有難う……助言してくれて」

「別に……勇者の力があればルナが助かる確率が上がると思っただけだよ」


 アレンがお礼を言うと、レウィアはフードを深く被り直しながらそう答えた。

 あくまでもリーシャを連れて行くのは作戦を成功させる為。そんな冷たい雰囲気を醸し出し、いつもの何を考えているか分からない彼女となる。だがそれでもアレンはレウィアが本当は優しい性格なのだと信じていた。


「絶対助けるからね。ルナを」

「ああ……もちろんだ」


 レウィアは腰にある黒剣をカチンと鳴らして誓いを立てるようにそう言う。アレンも力強く答え、自身の決意表明として胸に刻みつける。

 塔は純白で、崩壊した街の中でただ静かに建っている。その中は邪悪な蜘蛛の巣窟となっており、ルナが囚われている。アレンは拳を強く握り締めた。



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