―街の探索―
校長の長ああああああああああああああああああああああああい話を聞いて一旦元のクラスに戻り、連絡事項を聞いてから念話で入り口付近でお互いに集まることにした。
「……なあ、ほんとにここにくるのか?てか、いつのまにれんらくしたんだ?」
「したぞ、念話で」
「ねんわってなんだ?」
「念話っていうのはな……」
念話について説明しようとした時に3人組の女ん子達が来た。
「お待たせ、その2人がゼロスが友達になった方たちね?初めまして、アイリス・エーデルベインです。弟ともどもよろしくね」
アイリスが微笑みながら軽くお辞儀するとザックスとジャックは口を開けながらボーッとした顔をしていた。
「こっちの赤い髪のやつがザックスで茶髪のやつはジャックだ。黄緑の髪の彼女ははじめましてかな?」
「ええ、彼女はフレデリカ、新しく私と友達になったシエルの1番の親友らしいわ」
そう紹介を終えると今まで黙っていたフレデリカがギギっと動き出した。
「…………ジャック、あんたこいつとともだちになったんだ……ていうか、なにでれでれしてんのよ!」
「……っは!そ、そそそそそそそそんなことはないよ!」
フレデリカは顔を赤くしながらジャックに近づきガミガミと叱っていた。
「よ!シエルこいつとトモダチになれたんだな!」
「う、うん………アイリスさんから……こえ、かけてくれたの……」
「そっかそっか、よかったな!」
ザックスはシエルに友達が出来たことを喜び、シエルは恥ずかしそうにしている光景を見ながら俺たちは互いに近づきアイリスにこっそり耳打ちした。
「……これで去年のことはチャラだ。ちゃんと仲良くしとけよ?」
「うっ………わかってるわよ」
そして俺たちは2人の痴話喧嘩(?)をしばらく眺めてから街を探索することにした。
街は昼時のためそれなりの人がおり、いたるところで屋台を出してる人たちの声が聞こえる。俺たちは食べ物が売っていた屋台で昼飯を購入してちょっとした広場で食べた。
村では食べられない物がありすぎてついつい買いすぎてしまった。だけどアイリスは俺より食べれないから、アイリスが2、3口食べてから全部俺によこした。たまにいたずらで直接口に突っ込まれたけど特に気にしなかった。
その光景を見ていた4人は男子勢は驚いた顔をして女子勢は頬を赤くしていた。
そんなこんなで昼飯を食べ終わった俺たちは探索を開始した。街並みは地球の中世ヨーロッパのようなかんじで、貴族や豪商が住む屋敷が並んでる区画『貴族街』や平民が暮らす区画『平民街』、沢山のお店が並んだ区画『商店街』などが存在している。
ちなみにこの世界の貨幣は全て硬貨で、単位は日本円で例えるなら以下のとおりだ。
金貨=10万円、銀貨=1万円、銅貨=1000円、青銅貨=100円、鉄貨=1円となっている。
そんな中、彼らは商店街で並んでいる商品を眺めながら歩いていると、人気なの無い路地裏からとある気配を感じ、ゼロスは立ち止まりアイリスにアイコンタクトをした。
「みんなすまん、ちょっと待っててくれないか?」
「ん?なんかあったか?」
「ああ、ちょっとトイレだ」
そう皆に言うとその路地裏に1人で入っていった。中に進んで少ししたところの木箱があり、その後ろに行くと微かな魔力を感じ看破の魔法を唱えるとそこから魔法陣を発見した。
「………ふーん、なるほどな。とりあえず見張りを置いておくか」
魔法陣を少し観察したあと、ゼロスは手を横にかざし、赤い瞳を光らせた白いフクロウを召喚する。そのフクロウに見張ることを言うとそのフクロウは闇の中に消えていった。
「……あ、やっときた。おそいぞ~」
「いや~すまんすまん、急に来るもんだから我慢できなくてな~」
そう言いながら何もなかったようにゼロスは皆の前に戻って来て再び街の探索を再開したのであった。
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それから時が経ち、夕日が差し込むなか話しながら歩いていると、フレデリカが皆の前に出てこちらを振り向いた。
「ねえ、ふたりはユグドラシルさまにあったことはあるかしら?」
「ん?いや、ないけど」
確かあそこは一般では公開されていなく、限られた者か『巫女』と呼ばれている者しか入ることができない。入る事自体はべつに何でもないのだが、周りには『戻りの森』があり、ちゃんとした手順で入らないと根元近くには行けない。
そして根元近くには行けてもその先にある『大樹の間』と呼ばれる小さな湖があり、そこには『大精霊ユグドラシル』と呼ばれる精霊と会える場所があるのだが、そこで限られた者か巫女しか入れない。そうでない者は進むことができない。
「ふふーん、なんと、わがシンユウのシエルはあったことあるんだ!」
「!ふ、フーちゃん、それ……いわない……やくそく!」
「あれ?そうだったかしら?」
シエルは顔を真っ赤にしながらポコポコと可愛らしくフレデリカの頭を叩いていた。
「へーすごいじゃない。もしかしてシエルは巫女なのかしら?」
「そうだよ!でもまだミナライだからちゃんとしたミコじゃないの。いまはまだミコナおねえちゃんがミコなんだけどすごいでしょ!」
そこでフレデリカは両腕を腰に当ててふふーんとドヤ顔をした。まあ、知ってるんだけどな。
ウンディード家は代々巫女の家系で、大体は女の子しか生まれない。その巫女はユグドラシルと会って、『予言』と呼ばれる壁画のような物を渡される。
「へえ、私たちは来たばかりだから知らないのだけれど、今の予言はどんな内容なのかしら?」
「ないよう?えっと……えーっと……わからない!」
思わぬ答えで、2人して一瞬カクンっとずっこけた。
「うーん、だったらそろそろくらくなってきたし、かえるついでにみにいかない?」
後ろにいたジャックがそう答えた。予言はよほど酷い内容じゃない限り中央広場と呼ばれる場所にある予言板と呼ばれる場所に最近のものが置かれている。過去の予言は、美術的価値があるとして国の美術館に寄贈されている。
「そうだな、ジャックの言うとうり暗くなってきたし帰るか。ついでにちょっとだけ中央広場の神託を見に行くか?」
そう切り出し、帰る途中にある中央広場へと向かった。
中央広場に到着し予言板のところへ行くと、夕方にも関わらず鎧を来た者や科学者のようなものがあーだこーだ言いながら見ていた。私たちはそんな人だかりの中をかいくぐって予言板の目の前に来た。
そこには中央に半身が白と黒に分かれている人物がおり、白い右半身は天使のような翼に光り輝く剣を持っている姿で、黒い左半身は悪魔のような翼に禍々しい姿をした杖を持っていた。その下には様々な種族の姿をした人々が倒れ、倒れた人の山ができているものだった。
「うーん、いつみてもなんなのかよくわからないエね~」
「そうだねー……シエルくんはなにかこれについてきいてたりしてないの?」
そう聞いたジャックだがシエルは首を横に振った。
「おねえちゃんでも……わからない……っていってた」
「そっか~、じゃあしょうがないね」
そうやってうーんうーん唸っていると後ろにいる何人かの冒険者のような人たちが話していた。
「おい、知ってるか?最近、教国でいざこざが起こっているらしいぜ……」
「知ってる知ってる。確か新しく出てきた……『聖魔教』だっけ?確かこの絵を見たある教徒が立ち上げた新しい教団だろ?」
「ああ、あいつら日に日に力を付けてきてるらしいぜ。いつか乗っ取られんじゃないかって言われてる。あー怖い怖い……」
『聖魔教』か……今後出会うかも知れないから少しは覚えておくか。
「さて、そろそろ帰るか……」
そうして俺たちはその場を後にし、ゲートに向かってそれぞれ帰宅したのだった。
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その日の夜、ゼロスが見つけた魔法陣がある路地裏に1人のフードを被った男が入っていく。その男は魔法陣の前に行き、片手をかざして呪文を唱えると魔法陣は消え、小さな扉が出現した。男はその扉に入っていこうとしたが「ホー」という鳴き声が聞こえた。男は慌てて振り向いたが、そこには何もいなかった。
「気のせいか……」
そうつぶやいて再び扉の方へと入っていった。中に入ると小さな個室のような場所で中央に円状のテーブルと8つの椅子がある。そんな中は同じ格好をした者たちがそれぞれ椅子に座っていた。その男も空いてる席に座ると1人の男が喋り始めた。
「……揃ったな?ではこれから報告会を始める。まず、王国班から報告してくれ」
「了解した。王女のことだが、去年誘拐するのに失敗し王国内に逃げられた。そのせいで王女の周りの警備が厳重になってしまっている。今のままだと王女を誘拐することができないだろうな。今は様子見で行くしかないだろう」
「……なるほど、誘拐に失敗したのも痛かったが、我が国の中でもかなりの実力を持ったガウス殿がいなくなった方も痛いな。捜索班、その後の進捗はどうだ?」
リーダ格の男は探索班の者に尋ねると首を左右に振った。
「……ダメだ、死体の1つ見つからない。ここまで来たらもう死んだと確定するしかないかもな」
「そうだな、では陛下にはそう報告しておこう。すぐに撤収し他の班に合流させるので指示を待ってくれ。次に教国班、報告してくれ」
リーダー格の男はそう教国班の女性に声をかけた。彼女は咳払いを1つしてから話し始めた。
「わかったわ。こちらでは『聖魔教』と呼ばれる新しい宗派が現れたわ。これであの国は3つの宗派で分かれることになったわね」
「ふむ、確か『女神教』と『神聖教』だったか?『聖魔教』というのはどういう奴らなんだ?」
「そうね、今エルフに国に掲示されている予言に描かれている天使と悪魔が合体したような姿をした人?を崇拝している宗派ね。具体的な内容はまだ決まってないみたいだけどね……」
「ふむ、そうか。うまく使えば教国の奴らを壊滅させることができるかもしれないな……。引き続き奴らの動向を探ってくれ、できれば聖魔教を味方に付けてくれ」
「かしこまりましたわ」
教国班の女性は男に軽く頭を下げる。
「うむ、では次にエルフ班、報告頼む」
「わかった、こっちでは新しい予言があったらしい。まだ公開されてはいないが、複製された物を入手してきたから確認してくれ」
そうしてエルフ班の男は懐から紐で筒状に丸められた紙を取り出し、テーブルの中央に広げた。周りの者たちも紙の中を覗いた。
それは山の頂上付近が吹き飛び、その中から翼を広げた禍々しい黒いドラゴンが現れていた。山の麓には右側に燃える村、左側には鎧を着た兵士たちが黒いドラゴンに向かっている絵だった。
「………これは竜人族か?しかし黒い竜ていうのは聞いたことないな」
「ああ、確認されているのは炎竜、氷竜、風竜、土竜の4種だ。魔物でも黒い竜……黒竜というべきか?そんなのは確認されていない」
「……女神教だと、女神の姿は白く輝く白い竜とも言われているわ。確かそれに似た何かがあったのだけれど……なんだったかしら?」
教国班の女性がそうつぶやくとリーダー格の男は片手を顎にあて、少し考える。竜人族は他の種族に比べて数が少なく、基本人がこない場所にところに集落を作り、他の種族との交流はしない。奴隷商人どもがその数が少ないことから高く売れるが、奴らは他の種族より戦闘力が圧倒的に強く、獣人族の獣化に似た能力『竜化』という竜の姿に変身できる能力がある。
そんな中、魔族班の男が青い顔しながらプルプルと震えていた。
「おい、どうしたんだ?」
「…………魔族の中で聞いたことがある。奴らが信じている『邪神教』という宗派で、邪神の姿が黒く禍々しい竜であると言われているんだ。その竜がそこで出現した場所は破壊しつくされ、凶悪な魔物や魔族だけが住む場所に作り変えると言われているんだ」
「なんだと!?くそ、それが事実なら奴らの領土が増えてしまうことになるぞ!」
彼らは額に汗をかき、お互いの顔を見ていた。リーダー格の男は咳払いを1つした。
「……とりあえず、このことも含めて陛下に報告する。他の2人はどうだ?」
「ああ、次は俺だ獣人国だが……」
そして彼らはしばらく報告会を続けるのであった。だが、そんな彼らは気づいていない。話している最中、それぞれの影の中に紛れ込んだ赤い瞳を光らせた白いフクロウの存在を………。
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