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双子エルフは破王様  作者: アナログ牛蒡
4/22

―白い悪魔のエルフ―

アイリス編です。ちょっとグロ表現があると思いますので注意してください。

 あまり整備されていない街道のど真ん中に1つの馬車が停まっていた。その周りには2人の女性が降りており、停まった馬車を壁にするように剣を持った女性が後ろにいる自分より大分下のドレスを着た女の子を守っていた。


 そしてその周りには数名の鎧を着た男たちがニタニタとニヤつきながら囲んでいる。その中で体格のいい男が前に出た。


「ふふふ、さあ、覚悟してもらおうか、お姫様?抵抗しなければ優しくしてやるよ」

「ぶ、無礼な!キサマらなどに姫様は渡しはしない!!」


 そういいリーダー格の男が周りを見渡すと周りの男たちは「ハハハハハハハハ」と笑いを上げる。その内の1人は剣を持った女性を舐め回すようにねっとりとした感じで全身を見ていた。


「隊長、護衛の方は俺が貰ってもいいですかい?」

「ふふふ、お姫様以外は好きにしていいて言われてるからな、いいぞ。」

「へへへへへ、ありがとうございます!」

「っく、下衆な奴らめ!」


 男どもはジリジリと近づいていく。彼女は覚悟を決め、持っている剣に力を込める。


「…………面白そうですね、私も混ぜては貰えないかしら?」

「!?誰だ!」


 突然声が聞こえて皆周りを見渡す。すると1人の男が「馬車の上だ!」と叫ぶ。


 その場にいた者たちは馬車の上を見る。そこには純白の髪に磨かれた翡翠のようなきれいな緑色をした瞳のエルフの美幼女アイリスが立っていた。


 何人かはその姿に下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を向けた。そんな中リーダー格の男は警戒をしている。


「白い髪のエルフ……こいつハイエルフか?」

「だがまだガキだ。もしかしたら珍しいやつかも知れないぜ?しかもかなりの上玉じゃねぇか、へへへへ!」

「………おいガキ、どこから現れた?ただの迷子ってならとっとと帰るのが身の為だぞ?」

「あら、優しいのね?でも残念。私、そこにいる人たちに用があるの。」


 そう言いながら馬車から飛び降り、彼女らと男たちの間に着地した。


「へへへ、お嬢ちゃん。そんなことより俺たちといいことして遊ばないかい?」


 そう言いながらアイリスに近づき触れようとした。すると触れようとした男の右手がゴトッと音を立ててその場に落ちた。


「……へ?うぎゃああああああああああああああああああ、俺の手があああああああああああああああ!!」

「…………近づかないでもらえる?私そういうの嫌いなの」


 男は切断された右手を抑えながらその場で転げまわる。周りで笑ってみていた男たちはその光景を見て一気に警戒を持ち、武器を彼女に向けていく。


「…………このクソガキ……てめぇ、今何したかわかってんのか?」

「ええ、汚い手で触れようとしたから切り飛ばしただけだけど?」


 アイリスはそれが何か?といった感じで首をかしげる。


「ふふふ、どうやらちょいと世の中の厳しさってヤツを知らないようだな。いいぜ、教えてやるよ。てめぇを縛り上げた後、こいつらと一緒に犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ!!お前ら、こいつらをとっ捕まえろ!!」


 その号令と共にすぐさま周りに居た男どもはアイリスに向かって突撃する。何人か後ろにいる者は詠唱を開始する。


「……へぇ、面白い。いいよ少し遊んであげるね、かかってきなさい」


 アイリスは男どもに手をかざすと、その手から風を発生させ近づいた男どもを吹き飛ばしていく。


「く、くそ、こいつ無詠唱で魔法を撃ってきやがる!」

「何なんだこいつ……ただのエルフじゃないのか!?やはりハイエルフなんじゃ……」

「ええい、怯むな!相手はたったの1人だ、陣形を取れ!」


(ふーん、ここの人間も所詮こんなものか……どこに行っても変わらないわね)


「……よし、前衛下がれ!」


 リーダー格の男がそう叫ぶと前にいた奴らはアイリスから少し距離を開ける。そして後ろに居た詠唱を唱えていた彼らは詠唱が完了しアイリス目がけて魔法を放った。


「「「―――雷よ、走れ!『ライトニング』」」」


 かざした手の魔法陣から雷が発生しアイリスに向かう。彼女はその雷に向かって片手を伸ばし障壁を展開し全て防ぐ。


「っち、3人の魔法を防いじまうとかどんだけだよ……行けお前ら!」


 魔法を防がれ同様が走ったが、すぐさま剣を持った者たちがアイリスに向かって行く。


(………へえ、すぐ指揮が回復するなんてね。ただの野盗だと思ったけど、案外やるのね)


 そんなことを思いながら近づいてきた彼らの攻撃を避けながら風の魔法で吹き飛ばしていく。


「クソッ、ちょこまかと!」

「はぁ、はぁ、こいつ、ガキのくせに息すら上がってねぇ、バケモンかよ!」


 しばらくして彼女の周りにいる男どもは何度も吹き飛ばされたり全て攻撃を避けられボロボロになり、呼吸が荒くなっていた。そんな中心でアイリスはそんな彼らを見ていた。


「………ふぅ、いい加減諦めてくれるかしら?そろそろ手加減するのも飽きてきたのだけれど?」

「…………へぇ、今ので本気じゃないっていうのか。いいぜ、次は俺が相手になってやる!」


 そういいリーダー格の男が前に出る。男は背中に背負っていた巨大な金棒を取り出す。


「……やっとあなたが出るのね。少しは楽しませてくれるのかしら?」

「ふん、その余裕いつまでもつかな?うおらあああああああああああああああああああ!!」


 そしてアイリスに突進し巨大な金棒を振り下ろす。アイリスはその攻撃を避けると振り下ろした場所にドゴーンという音を立てて地面に大きなクレーターを作る。男の攻撃はそれで終わらず、アイリスに巨大な金棒を振り回し続ける。


「なるほどな、流石に当たらないか……だったら、『腕力増強』」


 リーダー格の男が叫ぶと腕が更に太くなり、先ほどよりも攻撃スピードが上がった。


(急に速くなったわね、でも魔法を使った感じがなかった……これが練技ってやつね)


 そんなことを考えながら攻撃をかわし、風の魔法をリーダー格の男に放つ。避けると予想していたが、男はそのまま突っ込んできた。


「へっ、『竜鱗化』」

「!?っち!」


 アイリスの攻撃は竜の鱗のように硬くなった体で防がれ、男が降り上げた攻撃をギリギリにかわす。そこで男はニヤリと笑い、頬を膨らませる。


 男が口から紫色の霧をアイリスに向かって吐き出した。彼女は咄嗟に目をつむり腕をクロスして防御した。その瞬間彼女は横腹に強い衝撃が襲いそのまま横に吹き飛ばされた。


 男が彼女に向かって霧を吹き出した後彼女の無防備になった横っ腹目がけて巨大な金棒を薙ぎ払い、吹き飛ばした。


 彼女はすぐ近くの木に叩きつけられ、ズルリと滑り落ちた。男はニヤニヤしながらやっちまったといった感じの顔をしていた。


「あっちゃー、もろ食らっちまったな。おい、誰か生きてるか確認して来い!」

「へへへ、隊長、先に犯させて欲しいんですがいいでしょうか?」


 苦痛を我慢しながらへへへとニヤついている先ほどアイリスに右手を切り落とされた男がリーダー格の男に言った。ちなみに斬られた右手は傷口を包帯を巻いて止血している。


「う~む、俺が先に頂きたかったが……しょうがないな、いいぞ。ただしあんまりキズモノにするなよ?」

「へへへ、ありがとうございます!」

「あ、魔封の首輪忘れんなよ?やってる間にまた魔法撃たれんぞ」

「わかってますって。せいぜい楽しませてもらいますって……」


 男は漆黒の首輪を手に持ってアイリスの元に向かう。一応付き添いで2人が彼女のもとに向かった。


 自分の部下たちを見送った後、リーダー格の男は馬車の近くにいる彼女たちに振り向いた。


「さて、これで邪魔者はいなくなった。それでは覚悟してもらえるかな?」


 再び周りの男たちは彼女たちにジリジリと近づいていく。剣を持った女性が再び剣に力を込める。


「「「うぎゃああああああああああああああああ!!」」」

「!?どうした!」


 急な叫び声にバッと後ろ向く。そこにはありえない光景が映っていた。


 そこには先ほど吹き飛ばし木に衝突したアイリスの足元に黒い影のようなものがそこにいた男たち3人の胸を貫いていた。彼女はゆっくりと立ち上がり、うなだれながらまるで死体のように両手をぶらつかせている。


「………………ふ……ふふ………ふふふふふふふふふふふ、アハハハハハハハハハハハハハハ!!」


 彼女は顔をばっと上げて狂ったように高笑いをした。そしてギロリとリーダー格の男を見た。


「いいねぇ……完全に油断した。」

「……………馬鹿な、あんな攻撃を食らって動けるだと!」

「はぁ、久々に痛みを感じたよ……最後に痛みを感じたのは勇者との戦闘の時だったかな?まあ、まだ完全に馴染んでないから制御ができていないからだけどね」


 影に貫かれた男たちはみるみると骨の姿になっていき、そのまま灰となって消え去った。


「…………さて、次はあなたたちね」


 ゴウッという音と共に風が吹き、彼女がとてつもない量の魔力とけた違いの殺気を放つ。その場にいる者たちはの魔力と殺気を近距離に感じ、あるものは青ざめて持っている武器をカタカタと鳴らし、足がガクガクと震えている。またあるものは尻餅をつき必死に後ずさろうとしている。中には股間からアンモニア臭がする者もいた。


「う、うわあああああああああああああ!!」


 1人の男が後ろを向いて彼女から逃げ出そうと走り出した。彼女は一瞬の内にその場に消え、男の目の前に現れ、素手で胸を貫いた。そして手を引き抜いて男の血と臓物を撒き散らした。


「………………………………………は?」


 リーダー格の男は開いた口が塞がらなかった。無理もない。先ほどまでいた場所から一瞬で移動し、逃げ出した男の胸を素手で貫いたのだ。


 そこからはもう戦いではなかった。一方的な狩りであった。逃げた者は無数の影の槍に体を貫かれたり、立ち向かった者は体を素手で剣と共に胴体や首を斬り裂いた。彼女はその狩りを楽しむように笑いながら男どもを皆殺しにした。そして、あっという間にリーダー格の男だけが残された。


「この……バケモンがああああああああああああああああ!!」


 リーダー格の男は巨大な金棒を持ち、先ほどのと同じように自分の体に練技をかけ、アイリス向かって突撃した。そして渾身の一撃を彼女に振り下ろした。


「……………………………………は?」

「はい、残念でした」


 男が振り下ろした巨大な金棒はいとも簡単に止めた。男はすぐさま離れようと武器を引っ張った。だが、引き抜くことはできなかった。まるで岩に刺さった剣をぬこうとしても抜けない感じでびくとも動かなかった。彼女は反対の手で男の胸を貫いた。


「ガフッ…………お前は一体………何なんだ?」

「………エルフの姿をしたバケモノじゃないかな?」

「はは………なん………じゃ………そりゃ」


 そして男は灰となって消え去った。彼女は左手についた血をペロっと舐める。


「…………ご馳走さま……ふぅ、ちょっと熱くなりすぎたわね。でもいろいろ面白いこと知ってたみたいだし、帰ったら後でゼロスと共有しておかないとね。」


 そう言いながら自身に魔法をかけ、体についた血をすべてキレイに落とす。


「うん、これで綺麗になった……………さて、お姉さん達、大丈夫かしら?」


 そして何事もなかったようにアイリスは置いてけ堀にされていた彼女たちに話しかけるのであった。

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