―村の生活―
今回は村の日々を書きました。
転生してから6年が過ぎた。ここまででいくつか分かったこととやってきたことをまとめてみた。
まずはこの世界についてだ。この世界は前にいた世界より戦車とか飛行船といった類の技術力はないが、それ以外は大体似たような世界みたいだ。
種族も多数存在しており、人間やエルフの他にもドワーフや獣人、少数だが竜人もいるようだ。ドラゴンとかリザードマンくらいなら会ったことがあるが竜人という種族はあったことはない。いずれあってみたいものだ。
国も様々あって、それぞれの種族が収める国や帝国が存在している。
この村は『シロツナ』と言う名前の村で、『ナーディナル』というエルフが収めている国の辺境にある村らしい。
次にこの世界での俺たちについてだ。
黒い髪で瞳の色が赤色の男である俺の名はゼロス・エーデルベイン。白い髪で瞳の色が緑々の女の方はアイリス・エーデルベインという名前である。
黒と白の髪は珍しく、特に黒い髪は滅多に見ない色らしい。他の色もいなくはないが、基本エルフの髪の色は金髪である。
白い髪はエルフの上位の存在のハイエルフと同じらしく、彼女はハイエルフの生まれ変わりじゃないかと言われている。
次に俺たちは転生してから先に始めたことは、この世界の言語と文字を覚えることだった。
これは他の世界での経験で、話が通じなくて国1つが敵対してしまったことがある。ちなみにその国は巨大なクレーターとなって消えたけど……。
文字もしかり。読めないと無駄にお金を取られたり、変な契約をさせられそうになった。もちろん、そんなやつはムカついたから塵1つ残さず消し飛ばしてやった。
とにかく5歳までひたすらいろんな本を見た。わからないところは俺たちの父ダーソンと母シャルティーに教わった。
まあ、会話に関してはまだ子供だから、ある程度年齢が行けば自然と覚えれるだろう。
5歳になってからはお父さんとは剣や槍、弓などの稽古を、お母さんとは魔法の練習をした。2人とも昔は腕のある冒険者だったらしくそれなりの実力みたいだった。他にもたまに来るお兄さんやお姉さんにもいろんなことを教えてもらった。
私たちは転生前よりちょっとだけ弱くなっているけど神々相手でも普通に倒せるくらいはあるので、大人相手でも一応勝てるくらいにかなりもの制限をかけた。たまに負けてあげないとお父さんがすねちゃうからね……。
魔法の方も魔力に制限をかけて初級魔法は簡単にできるくらいまでかけた。お母さんからは「この歳で初級魔法ができるようになるなんてさすが私たちの子ね!」と誇らしげに自慢していた。
ここでわかったことは、どうやらゼロスは近接戦闘が得意だけど、魔法を制御するのが苦手でうまく使うことができない。
私は弓や魔法を使うのが得意だけど、ゼロスより近接戦闘が苦手であるということがわかった。
どうやら二人に別れた影響らしかもしれない。だけど、スキルや今まで習得した魔法などの技術はそのまま使える。
今やっている訓練や練習は無駄だと思っていたけど意外と勉強になることもある。
例えば練技というものだ。これは身体強化魔法に近いもので、魔力を使わずに強化したり攻撃することができる技だ。
体には魔力とは違う気力というものがあり、厳しい修練を積むことで体得することができる。その力を
コントロールできるようになれば飛行魔法のように空を飛んだり、手から砲撃魔法並みの攻撃ができるようになる。
昔戦ったやつの中に剣先から斬撃を飛ばしてくる者がいた。あまり気にしていなかったけど、おそらく同じ原理のものだったと思う。
ただ、練技は魔力と相反する性質を持っており、基本的に同時に扱うことができない。できたとしても素質がないとそれを使用することができなかったり、無理に使用して大きな隙が生まれてしまう。できるようになれば通常より強力な効果を発動することができる。
私たちには誰もいないところで試して成功したので素質はあるようだ。練技自体はこっそり練習して使えるようにしておくとした。
そして次なのだけど……これは今まで気にしていなかったけどどうやら私たちには生活力が低く、特に料理がとてつもなく下手であることがわかった。
転生前までは奴隷にすべてやらせたり、適当なところに行って奪っていたりなど自分から何かをすることをしなかった。
まあ、基本何も食べなくてもお腹も好かないし、生きていけることはできたので必要なかったのだ。
なぜそう気づいたかというと、お母さんが料理をしているところ見て興味がわいたので手伝わせて欲しいとお願いし、お母さんがいなくなったあとに味付けをしたんだけど………あれはひどかった。その日の晩御飯で地獄を見ることになった。
危うく両親が晩御飯で死ぬところだった。私たちは状態異常なるものは一切効かない。ただクソ不味い飯だったと……。
死なれては困るので状態回復の魔法をかけてその部分の記憶を改ざんした。
晩御飯は焼却した。なぜか燃やしている最中死者の悲鳴なものが聞こえたが、聞こえないふりした。
これはのちのち旅に出た時にいちいちクソ不味い毒物を食べずに済むために、お母さんからしっかりと勉強しよう。
最後に村の中での日々についてだ。この村の子供は私たちだけではなく少数だけど10人くらいはいる。エルフは長寿で老化もしないので子供の数自体も少ないため人間よりは数が少ないと言われている。
そんな村では稽古以外ではこっそり村の外に出て何か面白い物がないか探していた。
たまに熊とかイノシシ、魔物と遭遇したけどゼロスが「……旨そうだな」と呟くと大抵は逃げて行った。それ以外は襲って来たけど、返り討ちにして肉だけ剥ぎ取ってこっそり村の入り口に置いている。
もちろんその肉は丸焼きにして、美味しく頂きました。焼くくらいなら私たちでもできる……たまに焦げちゃう時もあるけど……。
「……おいアイリス、そろそろ出発しようぜ。」
「わかっているわよ、今行くわ。」
そんなこんなで今日も森の探索に出発です。
「あ~今日は何が出るかな~またイノシシとかでないかな~。」
「ちょっと、最近のあんた食うことばっかりじゃないの?まあ、私も食べたいけど……。」
「ん~転生前も似たようなこと考えてた次期あったから普通じゃね?あの時はひたすら暇だっただけだからな。」
「ああ、そうだね。あんたの場合運動してる量が私より多いからそう思えるんじゃない?」
「なるほどな~。」
そんなことを話していると索敵魔法に何かが引っ掛かった。その方向に遠視の魔法で確認してみた。そこには村の狩人が獲ってくる耳が鳥の羽のような兎の羽根兎がいた。
「お!旨そうな兎がいるじゃねえか。」
「そうね、ん?ねえ、あっちに何かいるわよ?」
アイリスが見た方向を見ると人が乗った馬車があり、その回りには馬車を囲むように鎧を着た男たちがいた。
そんな連中が囲んでいる馬車には2人の人物がおり、1人はその連中から守るように剣を構えている女性と、歳はゼロスたちより少し上のドレスを着た女の子がいた。
「……襲われて現在ピンチってところかな?」
「どうする?一応この世界の人間でどっかのお姫様っぽいけど……。」
「ん~、どうすっかな~。っと、こっちにも反応あるな……あれは熊か?なんかいつもより大きいぞ。」
「……そうね、この感じ魔物化しているんじゃないかしら?」
次に彼らが見つけた熊は身長三メートルを越える巨大な熊で、禍々しいオーラを纏っていた。幸い彼らには気付いてはいないが、その熊の近くに小さな魔力が2つ存在していた。
その2つの魔力を見ると彼らと同じエルフの子供だった。どうやら彼らとは別に森に迷い込んでしまったのだろう。そのことに気づいた熊がその子供らを捉えた。
彼らは魔物化した熊に気づき逃げようと走りだしたが、走っている途中で片方の子供が転んでしまい、足を止めてしまった。そんなことを気にせず熊は彼らに近づいていく。
「……しょうがないな、助けるか。」
「まあ、気が乗らないのはわかるけど……魔物化した熊って美味しいのかしら?」
「…………必ず食、じゃなくて助けるぞ!」
食欲に塗れているゼロスを見たアイリスは、これが元が同じなのかと思うと呆れたが、魔物化した熊はどんな味なのか気になっていたので自分にも呆れた。
「どっち行く?」
「俺は熊の方をやる‼」
「じゃあ私は人間の方ね、先に食べたりしないでよ?」
「わかってるよ、ちゃんと待ってやるから。」
ゼロスは熊がいる方を向き、アイリスは人間のいる方を向いた。
「「……さあ、狩りの時間だ!」」
その掛け声と共にそれぞれ走り始めた。
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